公取委、リニア中央新幹線に係る談合事件で命令

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公正取引委員会は12月22日、リニア中央新幹線に係る地下開削工法による品川駅及び名古屋駅新設工事の指名競争見積の参加業者に対し、下記の排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。

業者 排除措置命令 課徴金 減免制度
大林組 31億1839万円 30%
清水建設 12億331万円 30%
鹿島建設
大成建設
合計

4社

43億2170万円

大林組及び清水建設は、調査開始日から遡り10年以内に命令を受けたことがある者に該当するため、5割加算した算定率を適用。
鹿島建設及び大成建設は、違反事業者であるが、本工事を受注していないため、課徴金納付命令の対象とはなっていない。


リニア中央新幹線建設工事をめぐるゼネコン大手4社(大林組、清水建設、鹿島建設と大成建設)による談合事件は2017年12月8日の東京地検特捜部による偽計業務妨害容疑での家宅捜査で明らかになった。

12月8日の東京地検特捜部による家宅捜査の後、大林組が公取委に自主申告をおこなった。
その後、12月18日に公取委と特捜部が独禁法違反で調査を開始し、その後に清水建設が自主申告を行った。

公正取引委員会は2018年3月23日、大林組、鹿島、清水建設、大成建設の大手ゼネコン4社と、鹿島と大成建設の幹部2人を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で検事総長に刑事告発した。

東京地検特捜部は告発を受け、4社と2人を同罪で起訴した。

大林組と清水建設は公判で起訴内容を認め、2018年10月に東京地裁でそれぞれ2億円と1億8千万円の罰金刑が言い渡された。大成建設と鹿島は否認しており、来年3月に判決が言い渡される見通し。

東京地裁は、幹部職員らが受注予定業者を決めた上、見積価格や積算資料などを周到に連絡し合ったと指摘。「ゼネコン業界トップの一角を占める両社が、国家的プロジェクトで違法な受注調整をし、社会に与えた影響は大きい」と非難した。

大林組に対しては「他社に先駆け捜査に協力した」としつつ、「清水建設を談合に誘い入れるなど、刑事責任は重い」と断じた。一方、清水建設については、「関与した時期は他社に比べて遅い」とし、求刑より減額した。

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独禁法では、調査開始日前の1番目の申告事業者は課徴金が全額免除されるとともに、公取委による刑事告発が見送られる
その他については以下の通り。

課徴金 刑事告発 一般認識
開始前 第1申告者 全額免除 見送り 大林組
第2  50%減額
第3~第5 30%減額
開始後 最大 3社 &
開始前と合わせ
  最大5社
30%減額 清水建設

改正独禁法が2020年12月25日に施行された。課徴金変更、協力度合いで罰金減免。

2019/3/15 独禁法改正案、閣議決定


大林組は2017年12月8日の東京地検特捜部による
偽計業務妨害容疑での家宅捜査の後(公取委の独禁法調査開始前)、公取委に自主申告をおこなった。

しかし、課徴金減免には次のような手続きが必要である。

(調査開始前の自主申告)

 ①まず調査開始前に、違反行為の概要を記載した「様式1号」を提出
 ②さらに公取委が通知する期限までに、不正行為に関与した自社や他社の役職名や時期などを明記した詳細な報告と営業日報などを添えた「様式2号」を提出

(調査開始後)
 調査開始日から20営業日を経過した日までに「様式3号」を提出し、公取委が把握していない情報を提供

今回の場合、大林組は調査開始前に1号様式を提出したが、様式2号の提出前の12月18日に独禁法違反容疑の調査が行われた。

このため、調査開始前に様式1号と様式2号を提出するという要件を満たせず、調査開始前の自主申告とならず、課徴金免除も刑事告発見送りも受けられなかった。

大林組は 清水建設とともに、調査開始20営業日の前に様式3号を提出し、「調査開始後の申告」での30%減額となった。

2018/2/5 リニア中央新幹線建設工事をめぐるゼネコン大手4社による談合事件での課徴金 

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「調査開始前の自主申告」の手続きには問題がある。

公取委は業者から「様式1号」の提出を受けると、違反があったことを知るため、いつでも調査を開始できる。

様式2号提出期限を業者に通知するが、今回のように、その提出期限前に調査を開始できる。

このため、「調査開始前の自主申告」で全額免除、刑事告発見送りを「確実に」受けるためには、「様式1号」と「様式2号」を同時に提出することが必要である。

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