新型コロナウイルスの変異種

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新型コロナウイルスの変異種が急拡大している。

2020/10/22 新型コロナウイルスの変異種、急拡大

厚労省は12月25日、英国から航空機で入国した男女5人(2人は羽田、3人は関西空港)からウイルス変異種が検出された発表した。
政府は26日以降、英国や南アからの入国者に指定宿泊施設などで3日間の待機を求め、再検査で陰性を確認する。

12月26日には、東京都内在住の男性機長(英国から帰国、検疫除外)と家族の女性から変異種が検出された。いずれも入院しているという。

この変異種は VUI-202012/01(the first "Variant Under Investigation" in December 2020) と呼ばれる。

国立感染症研究所は12月22日、次の通り発表した。

  • 南東イングランドで増加しているCOVID-19症例の多くが、新しい単一の系統に属していることが確認された。

  • この新規変異株(VUI-202012/01)はいままでの流行株よりも感染性が高い(伝播のしやすさを最大70%増加)ことが示唆され、ウイルス量は、増加していることが示唆されている。
  • 現時点では、重症化を示唆するデータは認めないが、症例の大部分が重症化の可能性が低い60歳未満の人々であり、評価に注意が必要である。
WHOは、今回のイギリスでの変異株はもともと重症化リスクの低い若者に多く感染していることもあり、重症化するかどうかについては、はっきりとしたことは言えず、現時点で重症化と関連しているようにはみえないとしている。 
  • 英国は、12月20日から今後数週間、南東イングランドで「Tier 4」レベル(外出制限等を含む最も強い措置)となることを発表した。
  • VUI-202012/01は、武漢株と29塩基異なり、スパイクタンパクの変異(deletion 69-70、deletion 144、N501Y、A570D、D614G、P681H、T716I、S982A、D1118H)とその他の部位の変異で定義される。


VUI-202012/01 には N501Y という変異を含む 17個のアミノ酸基の変異が入っている。
この変異によってヒトの細胞表面にある ACE2 へのくっつきやすさ(親和性)が増加することがわかっている。

69番目と70番目のアミノ酸がなくなる deletion 69-70という変異では、免疫系から逃れやすくなることもわかっている。

P681H という変異の部分ではスパイクタンパク質の切れやすさが変わる可能性がある。


峰宗太郎氏 https://news.yahoo.co.jp/byline/minesotaro/20201224-00213969/

  • この株は免疫抑制者等において一人の患者での長期的な感染で免疫回避による変異の蓄積が加速度的に起こった結果である仮説が考えられる。
アメリカで、自己免疫疾患を患い、免疫抑制剤を投与されていた男性が、最初に新型コロナウイルス感染症と診断されてから2度再発し、5ヶ月後に死亡したケースが過去に報告されている。

ゲノム解析の結果、この男性は複数回感染したのではなく、ウイルスが体内で速いペースで変異を起こし、体内で勢いを盛り返していたと考えられている。

つまり、新型コロナウイルスは、このように体内で免疫を回避する変異を起こす可能性があるといわれている。


峰宗太郎氏(上記)

  • 南アフリカでも、感染性の変化に最も影響を与えうると考えられる変異の一つであるN501Yを認める変異株が見つかっているが、系統としては進化的関連を認めない。

  • 現時点では、ワクチンの有効性への影響は不明である。

新型ウイルスのワクチンは、少なくとも現時点では、ほぼ確実に効く。

世界保健機関(WHO)は12月21日、英国で広がる新型コロナウイルスの変異種について、これまでに開発されたワクチンが有効だとの認識を示した。

先行している3種類のワクチンすべてが、現存のスパイクタンパク質に対して免疫反応を生み出す。ウイルスのいくつかの異なる部分を攻撃できるようにするため、スパイクタンパク質の一部が変異しても、ワクチンは効果を発揮するはずである。

ただ、さらなる変異を許した場合には懸念が生じる。「このウイルスは、ワクチンから逃げ延びる過程にあるのかもしれない」

今回の変異種は、新型ウイルスがより多くの人に感染しながら、同時に適応も続けていることを示している。

英グラスゴー大学の
David Robertson 教授は、「新型ウイルスはおそらく、ワクチンを逃げ延びる変異をするだろう」と結論づけた。

インフルエンザのように、絶えずワクチンを最新のものにしていく必要があることを意味する。

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-55391842

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