Trump大統領、モロッコとイスラエルの国交正常化を仲介、代償に紛争地のモロッコ主権を勝手に認める

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Trump大統領は12月10日、モロッコとイスラエルが国交正常化で合意したと発表した。トランプ米政権の仲介でイスラエルと和平合意した4カ国目のアラブ諸国となる。

イスラエルのネタニヤフ首相はモロッコとの国交正常化を「歴史的」とたたえ、両国間の直行便運航が間もなく再開すると述べた。

イスラエルは、アラブ諸国の中でエジプトと1979年に、ヨルダンと1994年に国交正常化した。

米政権はイスラエルとアラブの関係正常化を仲介している。

Trump大統領の仲介で、8月13日にイスラエルとUAE、9月11日にイスラエルとバーレーンが国交正常化した。11月の大統領選に向け実績としてアピールする狙いがある。

ホワイトハウスは10月23日、イスラエルとスーダンが国交正常化に合意したと発表した。


国交正常化には至らないが、レバノンの国民議会議長は10月1日、対立するイスラエルと海洋境界の交渉を開始することで合意したと発表した。国交のない両国間の直接の政治協議は過去30年で初めて で、トランプ米政権が仲介した3年にわたる間接的な接触を通してまとまった。

2020/10/7 レバノンとイスラエル、海洋境界交渉へ


モロッコとイスラエルの国交正常化発表に際し、Trump大統領はモロッコの国王モハメド6世と電話会談し、「西サハラ全体に対するモロッコの主権を認めた」と伝えた。

西サハラの領有権を巡って、南北分割統治を主張するモーリタニア(1979年には領有権を放棄)とモロッコ、独立を画策するポリサリオ戦線が対立している。

独立派武装組織 Polisario Front は、西サハラの5分の1を実効支配し、数十年にわたって自決権を要求してきた。国連の仲介で停戦が続いていたが、11月にモロッコの軍事作戦開始を受けて停戦終了を宣言、両者の間で緊張感が高まっている。

Polisario Front は、「間もなく退任するTrump大統領がモロッコに帰属しないものを帰属させた事実を、最も強い言葉で非難する」と表明。国連は、西サハラを係争地とみなす立場に変化はないと発表した。

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イスラエル外務省は12月12日、ヒマラヤ山脈の 非アラブの小国ブータンと国交を樹立したと発表した。イスラエルは8月以降、トランプ米政権の仲介でアラブ首長国連邦(UAE)などアラブ4カ国と国交正常化で合意。

イスラエル紙エルサレム・ポストによると、ブータンとの国交樹立に米政府は関与していないという。

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