サムスントップ、贈賄罪差し戻し審で懲役2年6月、再び収監

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韓国サムスン電子トップの李在鎔副会長が朴槿恵・前大統領らへの贈賄罪に問われた差し戻し審で、ソウル高裁は1月18日、贈賄罪などを有罪とし、李被告に懲役2年6月(求刑は9年)の実刑判決を言い渡した。
執行猶予は付かず、再び収監された。 下記のとおり2017/2~2018/2の1年間収監されており、残り1年6月となる。

サムスン電子は経営トップが不在になる。

サムスン側は上告を検討するが、すでに最高裁は二審が贈賄額を36億ウオンとみなしたのに対し86億ウオンとみなし、差し戻しており、今回の高裁判決が確定する可能性が高い。

付記 

サムスン側は1月25日、高裁判決を受け入れ、上告を断念したと明らかにした。検察側も上告せず、26日午前0時に判決は確定。
収監中の李被告の残り刑期は約1年6カ月で、満期の場合は2022年7月に出所することになる。

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李被告は2017年2月に逮捕・拘束され、同年8月の地裁判決で懲役5年の実刑判決を受けて収監された。

控訴審判決公判が2018年2月5日開かれ、検察側は懲役12年を求刑していたが、ソウル高裁は地裁判決を破棄し、李被告に新たに懲役2年6カ月、執行猶予4年を言い渡した。
李被告は約1年ぶりに釈放された。

2018/2/5 サムスントップ釈放

上告審で韓国大法院(最高裁)は2019年8月29日、前大統領の朴槿恵被告、朴被告の友人の崔順実被告、サムスングループの実質トップである李在鎔・サムスン電子副会長らがかかわった国政介入事件の上告審判決を言い渡した。

李在鎔被告については、執行猶予付きの二審判決を破棄し、審理を高裁に差し戻した

二審では、朴被告の収賄額は86億ウオンなのに李被告の贈賄額は36億ウオンとしたが、サムスンが購入した馬3頭の購入費を賄賂に含めるかどうかの差である。
最高裁はこれも賄賂と認めた。

法律では、横領額が50億ウオンを超えると5年以上の懲役刑となっている。

2019/8/29 韓国最高裁、朴前大統領とサムスン電子副会長の二審判決破棄、差し戻し 

高裁での差し戻し審は異例の経過をたどった。

2019年10月の初公判で裁判官が改善策を促し、サムスン側が外部の有識者らで構成する「順法監視委員会」を立ち上げた。
2020年5月には李氏が「国民への謝罪」を表明する記者会見を開き世襲を否定した。
2020年12月の最終弁論で李被告は「最高の透明性、道徳性を持つ会社にする」との誓いの言葉を口にしていた。

ソウル高裁は今回、贈賄罪などを有罪とし、李被告に懲役2年6月(求刑は9年)の実刑判決を言い渡した。

なお、収賄側の朴槿恵被告については、 韓国最高裁は2021年1月14日、検察の上告を棄却、刑が確定している。

2021/1/15 朴槿恵・韓国前大統領、懲役20年が確定  

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サムスン電子の李在鎔副会長は別途、2015年のサムスン物産と第一毛織の合併過程における背任、サムスンバイオロジクスの粉飾会計などサムスン経営権継承を巡る一連の疑惑でも裁判を受けている。

争点は次の3つ。

1.サムスン物産・第一毛織の合併の違法性
2.第一毛織子会社のSamsung BioLogicsの4兆5000億ウォン粉飾会計疑惑
3.李副会長が関与したのか

検察は本件を3年以上先延ばしにしていた。

2020年5月26日、李在鎔副会長はソウル中央地検に出頭、17時間に及ぶ聴取を受けた。地検は5月29日にも再度呼び出して聴取した。

検察は6月4日、李在鎔副会長らについて、資本市場法違反(不正取引及び相場操作行為)や偽証などの容疑で逮捕状を請求した。

ソウル中央地裁は6月9日未明、「被疑者を拘束する必要性が不十分」として、サムスン電子副会長に対する検察の逮捕状請求を棄却した。

韓国の検察捜査審議委員会は6月26日、検察に対し、本件捜査を中断し不起訴にするよう勧告した。強制力はないが、検察の捜査に影響を及ぼす。   

しかし、韓国のソウル中央地検は9月1日、李在鎔サムスン電子副会長を株価操作などの罪で在宅起訴した。

検察が勧告に従わずに起訴に踏み切ったことで、裁判は最長1年半かかり、最終的に最高裁が判断する事態となれば、決着までさらに2年を要することもあり得る。

2020/6/2 韓国検察、サムスン電子副会長を再度聴取、経営権継承巡る疑惑


2020年10月25日にサムスン電子 李健熙会長(78歳)が死去した。
2014年に急性心筋梗塞で倒れ、長く入院、実質的に長男の李在鎔副会長に権限移譲しており、副会長が会長に就任する予定である。

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