ドイツ与党のキリスト教民主同盟(CDU)党首選挙 

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ドイツ与党のキリスト教民主同盟(CDU)は1月15~16日にオンラインで党大会を開き、16日に党首選挙 を行なう。地域の代表者1001人が投票する。

ドイツは連邦議会選挙を遅くとも2021年秋には実施するが、CDUの新党首は総選挙の結果、次期首相に就任する公算が大きいとみられている。

CDUは南部バイエルン州を地盤とする姉妹政党・キリスト教社会同盟(CSU)と統一会派を組んでいるが、「CDU-CSU」の支持率は現在1位を維持しているおり、この勢いを保てば次期首相に選出される可能性が高い。(但し、前回選挙では統一会派は1位ではあるが過半は取れず、 ドイツ社会民主党:SPDとの連立でようやくメルケル首相が再選された。)

しかし、高支持率の背景にはメルケル首相個人の人気もあるとみられ、CSU党首は「メルケル氏によって得ているボーナスは消える」と警鐘を鳴らしてい る。

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メルケル首相は2018年10月末に、自らが党首のCDUが独ヘッセン州議会選でも敗北、連敗した責任をとり、党首を退任する考えを表明した。
2021年の任期切れまでは首相にとどまり、その後 、政界を引退する意向を示した。

CDUは2018年12月7日、メルケル首相の後任の次期党首を選ぶ選挙を行い、決選投票の結果、党幹事長のAnnegret Kramp-Karrenbauer 女史を選出した。

しかし、新党首は2020年2月10日、次期首相候補となることを断念し、党首も辞任する意向を固めた。

党首就任から1年あまりが経過し、政治的な失言や選挙での相次ぐ敗北で求心力を大きく失っていた。
就任以降、指導力を発揮できず、直前には旧東ドイツのテューリンゲン州支部が党中央部の指示を無視して極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」と連携し、同氏に屈辱を与えた。

CDUは2020年2月24日、新しい党首を決める臨時党大会を4月25日に開くと決めたが、新型コロナウイルスへの感染 の拡大で、臨時党大会の開催を延期した。
感染が収まり次第、開催するとしたが、その後もCOVID-19は拡大を続けて、2020年12月の党大会も中止し、新党首選出を延期した。

2020/10/31 ドイツ与党CDU、新型コロナで新党首選出を延期、メルケル後継は誰? 

CDU指導部は2020年12月14日、2021年秋までの連邦議会選挙を控える中、感染が収まる見込みが立たないため、2021年1月15~16日のバーチャル(オンライン)での党大会の開催に合意した。

メルケル首相は1月5日、各州首相の同意を得て、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるための規制を再び強化すると発表した。感染が深刻な地域の住民は居住地から15キロまでに移動が制限される。レストランや商店、学校の閉鎖は少なくとも1月末まで続ける。英国で感染力の高い変異種が広がっており、メルケル首相は「我々はとりわけ慎重でなければならない」と語った。

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現在、次の3人が候補に挙がっているが、いずれも決め手に欠け、混戦になると見られている。

候補(年齢) 2020/12調査*
Norbert Roettgen (55)  元環境相  31.7% 外交政策に精通
「脱原発」を決めたドイツ政府のエネルギー政策を環境相として推進。
女性登用に積極的で若い世代への浸透も図る。
ただ、地元の州議会選挙で惨敗した責任を問われ、2012年に環境相を更迭された経緯もある。
Friedrich
Merz (65)
元党下院議員団長  28.8% 「非主流派」
移民に厳しい姿勢を示し、党内保守層の支持を得ている。  
2009年にメルケル氏との路線対立に敗れて政界を離れた後は公職に就いておらず、コロナ対策では存在感を発揮していない。
Armin
Laschet (59) 
ドイツ最大人口州のNorth Rhine-Westphalia州首相 11.8% 寛容な難民政策や同性婚容認、脱原発といった比較的リベラルな政策を進めてきたメルケル首相の路線を踏襲するとみられる。
同州内で発生したコロナ集団感染への初動対応が遅れ、州首相としての力量に疑問符が付き、支持が低迷。


 *シュピーゲル誌が2020年12月中旬に実施した「CDU党首に最もふさわしい人物」を問う調査

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