イラン、韓国のタンカーを拿捕、「化学物質で海を汚染」と主張

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イラン正規軍の革命防衛隊の海軍は1月4日、ペルシャ湾を航海していた韓国船籍のタンカー「韓国ケミ(Hankuk Chemi )」号を海洋の化学物質汚染を理由に拿捕し、自国の港であるBandar-e Abbasに移動させた。


同船舶は7200トンのエタノールを積み、サウジアラビアのAl-Jubail からペルシア湾を航海し、アラブ首長国連邦(UAE)東部のFujairah港に向かっていた。



同船舶は韓国船籍で、韓国人船員5人のほか、インドネシア・ベトナム・ミャンマー国籍の船員が乗船している。

拿捕船舶の船籍はDM Shippingで、イタリアのd'Amico Tankerが51%、三菱商事が49%出資する。同社は「公海上であり、海上汚染はなかった」と説明した。

英国海軍情報交換センター「英国海運貿易オペレーション」はイラン当局とこの船舶の間に相互交信があり、その後船舶がイラン海域に航路を変更したと伝えた。

この海域では、これまでイラン-米国間の緊張が高まりを受けて、第三国の商船やタンカーがたびたびイラン当局に拿捕される事件が発生してきた。

オマーン・マスカット港の南海域で作戦を遂行していた韓国海軍「清海部隊」がホルムズ海峡に緊急出動した。

ロイター通信は、今回の事件が、米国の経済制裁で韓国銀行がイランの石油販売代金を凍結している問題(後記)によって両国間の緊張が高まった状況で発生したと指摘した。

イラン外務省は同日、韓国による70億ドルの資金凍結解除に向け協議するため、韓国当局が数日中にテヘランを訪れる見通しと発表した。

米国務省はイランに対し、拿捕した韓国船籍のタンカーを直ちに解放するよう求めるとともに、イランが経済制裁から逃れるために航行の自由を脅かしていると非難した。「イランがペルシャ湾で航行権や自由を脅し続け、国際社会による制裁圧力を和らげようとしているのは明らか。われわれはタンカーの即時解放を求める韓国の呼び掛けに連なる」と述べた。

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イランが返済を要求している代金は、韓国のIBK企業銀行とウリ銀行に開設されたイラン口座にある70億ドル。

韓国は2010年からイラン産コンデンセートなどを輸入して、その代金を2つの口座に入金し、イランはこの代金を利用して韓国の物品を輸入してきた。

米国がイランとのドルの取り引きを禁止したためにとられた方法で、米国もこれを認めていたが、2019年9月、米国がイランに対する制裁を強化したことで2つの口座が凍結された。

トランプ米大統領は2018年5月8日、欧米など6カ国とイランが結んだ核合意から離脱すると表明した。

米国は2018年11月5日、イランの石油や金融部門を中心に経済制裁第2弾を再開した。

米政府は2019年4月22日、イラン産原油の禁輸措置について、日本を含む8カ国・地域に対する適用除外措置を5月1日から撤廃することを決定した。

トランプ米大統領は2019年9月18日、イランへの大幅な制裁強化を指示したと表明した。これにより、イランの韓国内の口座が凍結された。

これを受けてイランは、韓国が違法な制裁に賛同しているとして、韓米関係を「主従関係」と表現しながら、強く批判している。

韓国は、2020年5月から制裁に触れない人道的な取り引きとして、凍結された口座の代金を利用してイランへ医療品を送っているが、取り引き額は数十万ドル規模に限られている。

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