日本での新型コロナウイルスワクチンの開発状況

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厚労省は2020年6月、新型コロナウイルスワクチンの国内における早期供給を促すため、ワクチン生産体制等緊急整備事業の公募をおこない、6社に対して総額最大約900億円の助成を決め、複数のワクチンを国内で生産する体制を整えるとした。

2020/8/23 新型コロナウイルスワクチンの日本における生産体制の構築

その時点での情報をもとに、現状をまとめた。

現時点では国内ワクチンの承認がいつになるか予想できない。

ワクチンのPhase Ⅲ治験では、多数の人を対象に、ワクチン接種者と偽薬接種者での発症者比率を比較するが、日本では感染者が少ないため、偽薬接種者の発症率も低くなり、ワクチンの効果が判定できない。

接種が始まったPfizerのワクチンは、米国での承認をもとにした特例承認によるものである。

特例承認は、①疾病のまん延防止等のために緊急の使用が必要、②当該医薬品の使用以外に適切な方法がない、③海外(日本と同水準の国)で販売等が認められている、という要件を満たすもので、法律では、
対象品目は「新型インフルエンザのワクチンと新型コロナウイルス感染症にかかる医薬品」で、
「日本と同水準の国」は「米国、英国、カナダ、ドイツ、フランス」のみである。

注 「新型コロナウイルス感染症にかかる医薬品」はレムデシビルの承認申請を見越して追加された。 当初は「英国、カナダ、ドイツ、フランス」だけだったが「米国」を追加した。

中国やロシアで承認されても、日本では特例承認の対象にはならない。

特例承認されたワクチンであれば、国内での製造承認は比較的容易に得られると思われる。

既報の通り、世界保健機関は新型コロナウイルスワクチンの生産量を増やすため、生産能力に余裕がある製薬会社は他社のワクチンを作るよう呼びかけており、フランスは国を挙げて他国のワクチンの国内生産に注力しているが、日本では動きが遅い。

2021/1/8 新型コロナワクチンの委託生産 広がる


  厚労省助成金
2020/8



海外

ワクチン

武田薬品工業 約301億円

Novavax(下表⑤)が開発中のワクチンの製造技術移転、生産設備の整備、スケールアップ
光工場の新型インフルエンザ製造設備を転用、年250百万回分以上を生産

別途、Moderna (下表⑥)ワクチンの日本でのPhase Ⅰ/Ⅱ 臨床試験開始
2021年前半より5000万回の接種分を輸入し、国内供給

英 AstraZeneca
下表④
約162億円 日本に1億2千万回分供給で最終合意
25%分は輸入し、75%の9千万回分を日本で委託生産
原液

① 輸入、② JCRファーマに製造委託

バイアル充填 第一三共バイオテック KMバイオロジクス
保管・流通 第一三共 Meiji Seika ファルマ

2021/1/30 アストラゼネカ、ワクチンを日本で製造委託 

JCRファーマ AstraZenecaワクチン製造受託

希少疾患を対象としたバイオ医薬品の開発・製造
細胞培養の技術に強く、原液製造用の大型タンクなどの培養設備保有

KMバイオロジクス 約 61億円 明治ホールディングスの連結子会社 
AstraZeneca 原液製造に係る既存設備の改造、精製・ユーティリティ設備の整備、原材料保管・品質管理作業に係る設備の新設等
(原液製造はJCRファーマに決まった。)

国産

ワクチン

KMバイオロジクス 独自ワクチン  前臨床段階 
国立感染症研究所、東京大学医科学研究所、医薬基盤・健康・栄養研究所との協業による不活化ワクチンの開発
2020年度内の国内臨床試験開始を目標
アンジェス
 下表①
約 94億円 Phase Ⅱ/Ⅲ段階

ワクチンの実生産(大規模生産)体制の早期構築を 図るための事業
2020/6/26 アンジェスのコロナワクチン、大阪市大病院で治験へ

タカラバイオがその製造を担い、AGC Biologics社が中間体の分担製造、Cytivaが精製用資材の優先的な供給で、更にシオノギファーマが中間体の分担製造で協力体制に加わった。

塩野義製薬
 下表③
約223億円 組換えタンパクワクチン感染研/UMNフ ァーマ/塩野PhaseⅠ/ Ⅱ段階

遺伝子組換え技術を用いて培養細胞よりコロナウイルスのタンパク質抗原を製造しコロナウイルスタンパク質抗原を人に投与するための注射剤

第一三共 約 60億円 メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンDS-5670  前臨床段階 

第一三共バイオテックの工場での生産体制整備

IDファーマ/感染 アイロムグループのIDファーマ  前臨床段階
コロナウイルスの遺伝情報を
持ったセンダイウイルス(仙台の東北大で発見)投与するワクチ人体の中コロナウイルスのタンパク質(抗原)が合成される

GMPに準拠したベクター製造施設・細胞培養加工施設(CPC)を保有

海外
生産
Medicago
 下表②
田辺三菱製薬のカナダ子会社

2020/7/17 田辺三菱製薬、カナダ子会社の新型コロナウイルスワクチンの第1相臨床試験開始を発表

合計 約901億円  

WHO リスト

Developer/manufacturer Platform Type doses Timing
 
days
Route Phase 承認
Osaka University/ AnGes/ Takara Bio DNA AG0301-COVID19 2 0, 14 IM Ⅱ/Ⅲ
Medicago(カナダ 田辺三菱製薬) VLP Coronavirus-Like Particle COVID-19 (CoVLP) 2 0, 21 IM Ⅱ/Ⅲ
Shionogi Protein subunit Recombinant protein vaccine S-268019 (using Baculovirus expression vector system) 2 2,21 IM Ⅰ/Ⅱ
AstraZeneca + University of Oxford Non-Replicating Viral Vector ChAdOx1-S- (AZD1222) (Covishield) 1-2 0, 28 IM

UK 2020/12/30
EU 2021/1/29
WHO 2021/2/15

Novavax(米) Protein Subunit SARS-CoV-2 rS/Matrix M1-Adjuvant (Full length recombinant SARS CoV-2 glycoprotein nanoparticle vaccine adjuvanted with Matrix M) 2 0, 21 IM

Moderna/NIAID米国立アレルギー感染症研究所) RNA mRNA -1273 2 0, 28 IM

FDA 2020/12/17
EU 2021/1/6

Pfizer/BioNTech
+ Fosun Pharma
上海復星医薬
RNA BNT162 (3 LNP-mRNAs ) 2 0, 28 IM

UK 2020/12/2
FDA 2020/12/11
EU 2020/12/21
WHO 2020/12/31

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