EU、新型コロナワクチンの輸出規制を強化

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EUの欧州委員会は3月24日、1月末に導入した新型コロナウイルスワクチンの輸出規制の強化方針を発表した。

ワクチンが契約通り EUに供給されることを狙い、EUへの輸出を制限しているワクチン生産国や、ワクチン接種率でEUに先行する国への出荷を停止できるようにする。

3月25日のオンラインでのEU首脳会議の議題になる見込みで、欧州委の提案は(人口を考慮した)「特定多数」が反対しない限り、導入されるが、特定多数が反対する可能性は低い。

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EUは1月29日、輸出の透明性を高めるためとして、域内の工場で生産されたワクチンを輸出する際、事前申告と許可を必要とする措置を導入すると発表した。

3月末までの措置としていた。

2021/1/31 EU、ワクチンの輸出規制 

イタリア政府は3月4日、イタリア国内で製造されたAstraZenecaのワクチンのオーストラリアへの輸出を差し止めたと発表した。

欧州委員会は3月11日、新型コロナウイルスワクチンの輸出制限措置を6月まで延長すると発表した。

欧州委によるとEUはバルカン諸国やアフリカへの支援用も含め、最大26億回分のワクチンを契約しているが、EUへのワクチン供給が遅れているため延長に踏み切った。

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今回は「相互関係」と「釣り合い」を重視し規制を厳格化する。

相手国のワクチンや原料のEU向け輸出制限の有無に加え、接種率や感染状況の比較を承認可否の判断基準に加える。
EUへの輸出を制限しているワクチン生産国や、ワクチン接種率でEUに先行する国への出荷を停止できるようにする。

今回の措置は、英製薬大手AstraZenecaからの大幅供給減でEUの接種計画に遅れが生じていることによる。特に、オランダのLeidenにあるAstraZenecaの下請けの Halix で生産されたワクチンについて英国がEUに供給しないことを問題視している。

EUは3月17日に、不足しているコロナワクチンを域内市民向けに確保するため、英国への輸出を禁止する可能性を示唆した。これまでにコロナワクチンを接種した人数の人口比は、英国の方がEU加盟国と比べて高い。

EU当局者は3月21日、オランダで生産したAstraZenecaのワクチンについて、英国からの輸出要請を拒絶していることを明らかにした。Halixが生産したものはEUに届けられる必要があるとしている。

AstraZenecaはHalixが生産するワクチンについてEUに承認を申請しておらず、EU域内で使用できないが、EU当局によると承認手続きを進めているという。

EUのフォンデアライエン欧州委員長は、AstraZenecaのワクチンをめぐり「われわれには輸出を禁じる選択肢がある」と語り、ワクチンをEUに優先供給するよう同社に警告した。「他国への供給を始める前にまず欧州との契約を履行せよというのがメッセージだ」とも強調した。

EUは先進国唯一の大規模な輸出元であると強調。「(輸出は)双方向であるべきだ。EU市民への適時で十分なワクチン供給を確保しなければならない」と訴えた。

英国はEUの「ワクチンナショナリズム」をけん制しており、EUを離脱した英国とEUの関係が緊迫化する恐れがある。

EUでは今回のワクチン輸出承認制度は特定の国を対象にしているわけではないとしている。

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EUの高官は、「これはEU対英国の話ではない。AstraZenecaとの問題だ」と話した。

AstraZenecaが英国にワクチンを供給し続けた一方で、EUとの約束の大半を反故にしていたとしている。

これについてAstraZenecaは、EUとの契約では「適切な範囲で最善を尽くす」ことが決められており、製造面での困難に直面しながらも、最善を尽くしているとしている。

欧州委員会がワクチン供給と製造能力について判断を誤ったという批判がEU内外から出ている。

欧州委は世界最大のワクチン輸出者という評判を得るため、たった6週間で31カ国に4000万回分のワクチンを輸出した。この恩恵に最も預かっているのが英国で、この期間に1000万回分を受け取ったとされる。

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