日立製作所、米GlobalLogicを買収、日立金属を売却  

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日立製作所は3月31日、米GlobalLogicを総額95億ドルで買収すると発表し た。(詳細後記)


一方で、日立製作所は約53%の株式を保有する上場子会社の日立金属を売却すると報道されていたが、米投資ファンドのBain Capital と日本産業パートナーズ、ジャパンインダストリアルソリューションズのコンソーシアムが独占交渉権を得たことが分かった。

昨年8月から交渉されてきたもので、日立は持株全てを売却する。この場合、TOBとなる。

証券取引所内外、どちらの取引であっても、買付け後の株式等所有割合が1/3を超える場合はTOBによる実施が義務付けられている。

日立は全株売却を考えているため、日立化成の場合と同様、上限なしのTOBとなる。

日立金属の事業は下記の通り。電線事業は2013年7月に日立電線を統合したもの。

日立金属については、少し古いが、右を参照  2016/1/28  日立金属、米国の医療機器用部品会社買収 


日立製作所は「選択と集中」を旗印に、成長分野と位置づけるエネルギーなどのインフラやIoT(モノのインターネット)事業に経営資源を集中させる方針である。

非中核分野を次々に売却しており、2009年に22社あった上場子会社は2019年には日立化成、日立金属、日立建機、日立ハイテクノロジーズ (2020/2 日立ハイテクに改称)の4社に減った。

子会社 時期 持株比率
日立物流 2016/5/19 59.01%→30.01% 株式の29%をSGホールディングスへ譲渡
日立キャピタル 2016/10 60.61%→33.40% 株式の23.01%を三菱UFJフィナンシャル、4.20%を三菱UFJリースに譲渡
日立国際電気 2017/1   4割超→ゼロ グループで保有する4割超をKKRに売却(配当金を合わせ752億円で)
KKRはTOBを実施、傘下のHKホールディングスの完全子会社とし、2018年に工機ホールディングスと改称。

KKRは日立国際電気の半導体製造装置事業を分離、2018/6にKokusai Electricを設立したが、
2019/7 これをApplied Materialsに22億ドルで売却した。→中国の承認得られず、解約

日立工機
(電動工具)
2017 
  
40.25%→ゼロ
KKRに売却(KKRがTOB)
日立アーバンインベストメントも 10.90%→ゼロ
クラリオン 2018/10 6割超→ゼロ 仏自動車部品大手フォルシアに譲渡、売却価額は899億円 
日立オートモティブ
システムズ
2019/10 66.6% ホンダのケーヒン、ショーワ、日信工業と統合
ホンダが33.4%

2020年には上場4子会社のうちの日立化成株式を51.29%全てを 昭和電工に譲渡した。

2019/12/2 日立製作所、子会社日立化成を昭和電工に売却へ
2019/12/25 昭和電工、日立化成にTOB 

今回の日立金属の売却が実施されると、以前の御三家が全て売却されることとなる。

これにより日立製作所は以前の重工業企業から変身する。

日立製作所は2021年1月31日、上場子会社である日立ハイテクの完全子会社化に向けてTOB(@8000円、総額5311億円)を実施すると発表した。

日立ハイテク計測・分析技術を生かした社会イノベーション事業の成長加速を行なう。
これに加え、日立ハイテクの体外診断機器事業(グローバルNo.1)を中核事業として育成、ヘルスケア・アナリティクス分野に進出する。



日立製作所は3月31日、米GlobalLogicを総額95億ドルで買収すると発表した。

GlobalLogicはカリフォルニア州に本社を置くシステム開発企業で、日立が「Chip-to-Cloud」と呼ぶ、データを業務の現場からクラウドまで連携させながら活用するためのシステム開発を得意とする。

日立は本買収を通じてGlobalLogic先進的なデジタルンジニアリングのケイパビリティ大手テック企業をはじめとする強固な顧客基盤獲得し、日立のデジタルインフラ/データマネジメント/デジタルソリューション事業を担う米国子会社であるHitachi Vantara LLCグローバル展開をリードするLumadaを強化する。

Lumada:顧客のデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション/サービス/テクノロジーの総称

日立ハイテク計測・分析技術を生かした社会イノベーション事業の成長加速を行なうため、完全子会社に向け、TOBを実施した。

GlobalLogicとの統合で、ミッションクリティカルでの信頼性が重要な受託型から、アジャイル、クラウドベースの協創型へと事業ポートフォリオを高成長市場に拡大させる。


東原敏昭社長は「Lumadaを進化させてグローバル展開を加速させるための買収」と説明した。

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