山口の石炭火力計画 取り止め

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電源開発(愛称 Jパワー)と宇部興産の山口宇部パワーは2015年から山口県宇部市西沖の山の宇部興産所有地で西沖の山発電所(仮称)新設計画を進めてきたが、4月16日、計画を取りやめると発表した。

西日本エリアにおいて電力需要は横ばいで推移すると見込まれることや、再生可能エネルギーの導入が拡大していることなど、事業環境を巡る状況を総合的に判断した結果としている。

山口宇部パワーは2015年2月に、宇部市西沖の山において、120万kW級(60万kWx2基)の石炭火力発電設備の建設の検討および準備を進めるため設立された。

当初の出資者は、Jパワー45%、大阪ガス45%、宇部興産10%で、2026年の稼働を目指していた。

これを受けて環境相は2015年6月12日、「西沖の山発電所」について、「現段階において是認しがたい」との意見書を経産相に提出している。

山口宇部パワーはその後も環境影響評価手続きを続けていたが、2019年4月24日、計画変更を検討し、環境影響評価手続を休止すると発表した。

大阪ガスは投資を回収できないと判断し、本計画からの撤退を決定、出資比率をJパワー 90%、宇部興産 10% に変更するとともに、発電能力も半減し、60万kW級(60万kWx1基)とした。

今回、石炭火力への批判が高まりを受け、建設しても投資の回収は困難と結論付け、断念した。

経済産業省・資源エネルギー庁は3月22日、非効率石炭火力の早期削減を狙い、発電効率実績の目標を「2030年に43%」とすることを決めた。電気事業連合会は「43%は非常に高い目標だ」としている。


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2015年頃には石炭火力計画が相次いだ。

九州電力、出光興産、東京ガスの3社は2015年3月27日、千葉県に大型の石炭火力発電所を建設することで合意したと正式発表した。
九電が管外に発電所を造るのは初めて。

3社が均等出資し、出光が千葉県袖ケ浦市に持つ貯炭場に隣接する約30ヘクタールの遊休地に最大で100万kWの石炭火力2基を建設する。
投資額は4千億円規模の模様で、2020年代中ごろの稼働を目指す。

2015/4/22 首都圏向け、火力発電計画 相次ぐ 

しかしその後、石炭火力計画については撤退が相次ぐ。


東燃ゼネラル石油と関西電力の子会社 関電エネルギーソリューションは、東燃ゼネラル千葉工場敷地内に100万kWの石炭火力発電所の建設プロジェクトの事業化検討を進めていたが、2017年3月23日、計画の断念を発表した。(図①)

2017/3/29 東燃ゼネラルと関電の石炭火力プロジェクト 断念

中国電力、JFEスチールのJVの千葉パワー(中国電力 73%、JFEスチール 27%)は2018年12月27日、石炭火力発電については十分な事業性が見込めないと判断し、「蘇我火力発電所」の建設を中止すると発表した。 (図②)

2018/12/30 千葉の石炭火力計画中止

千葉パワーはその後、天然ガス火力発電所開発の事業実現性検討を行ってきた が、2021年3月31日、本計画は十分な事業性が見込めないと判断し、本検討を中止するとともに、千葉パワーを解散すると発表した。 世界的に化石燃料への逆風が強まるなか、大型投資の見直しに至ったと報じられている。

2021/3/31  中国電力とJFEスチール、千葉の天然ガス火力発電所計画も断念 

出光興産、九州電力、ならびに東京ガスは2019年1月31日、千葉県袖ケ浦市にある出光興産所有地を活用した千葉袖ケ浦エナジーの石炭火力発電所の共同開発を断念すると発表した。 (図③)

電力小売り全面自由化後の需要をにらみ、発電でも首都圏への参入が本格化するとみられたが、石炭火力3計画は全滅した。

なお、上図のLNG発電のうち、JXと東京ガスの「川崎天然ガス発電」の 3・4号機増設計画はコストアップで採算が悪化し、2017年7月に撤回された。

東京ガスと昭和シェル石油(現 出光興産)の扇島パワー3号機は2016年2月に運転開始した。

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