鴻海、米ウィスコンシン工場の投資・雇用計画を大幅削減

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ウィスコンシン州政府は4月19日、台湾の鴻海精密工業の米子会社 Foxconn Technology Groupと税優遇契約の見直しで大筋合意したと発表した。

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2017年7月、鴻海の創業者郭台銘がホワイトハウスに招かれ、トランプ大統領の目の前で米中西部のウィスコンシン州に新工場の建設計画を発表した。

総額100億ドルに上る巨額投資で、液晶パネルの一大生産拠点をつくる、1万3000人の雇用が生まれると説明した。
外資系企業による新工場への投資としては米史上最大とされた。

ウィスコンシン州は当時のScott Walker知事(共和党)が税優遇措置や州・地方政府による道路関連の投資を含め最大40億ドル規模とされる優遇契約を結んだ。

トランプ米大統領は2018年6月28日、ウィスコンシン州での新工場起工式に出席した。

1万5000人の雇用を創出し、ウィスコンシン州経済に年間34億ドル貢献するだろうと発言。同工場を「世界の七不思議」に続く8番目の不思議だと称賛した上で、米国のコンクリートと鉄鋼で建設されると述べた。

大統領はソフトバンクの孫正義社長を壇上に呼び、米国への投資で「マサさんに感謝したい」と述べた。

トランプ大統領は2018年11月の中間選挙を2020年の大統領選の前哨戦とみて、共和党のScott Walker知事の再選を狙い、利益誘導で鴻海の新工場の誘致を成功させた。

しかし、知事選では民主党が勝利し、大統領選でもトランプは敗北した。

実際にはFoxconnは同工場における生産品目を中小型液晶パネルやサーバー部品、人工呼吸器などへと繰り返し変更しており、建屋の完成後もほとんど稼働していない状態が続いていた。
工場誘致策を批判し、2018年の州知事選で勝利したTony Evers 知事(民主党)はFoxconnに対し税優遇契約の見直しを求めていた。

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今回、Foxconnは予定していた100億ドルの投資を6億7200万ドルに縮小し、雇用計画を1万3000人から1454人に減らす。
州政府は同工場への税優遇措置を28億5000万ドルから8000万ドルに縮小するという。

Foxconnは、2017年当時の予測は「想定外の市場の変動によって変化した」と説明し、州政府との合意について「世界市場の変化する状況に対応して事業機会を追求する柔軟性」が得られたとした。

ウィスコンシンを"one of the -- if not the -- largest manufacturer of data infrastructure hardware in the United States" にするとしたが、具体的内容は明らかにしていない。

Evers 知事は、今回の合意は従来契約に比べて納税者の負担が27億7000万ドル減り、雇用創出を税優遇策の条件とする措置が維持され、同工場の支援に州・地方政府が投じた数億ドルの資金が保護されると強調した。Foxconnが雇用と設備投資の目標を達成できれば、実績連動型の税優遇措置として6年間で最大8000万ドルを受けられるとした。

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