関西電力高浜、美浜原発の再稼働問題

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関西電力は2021年4月22日、高浜原発1、2号機で建設中のテロ対策施設「特定重大事故等対処施設」の完成が期限 (2021年6月9日)に間に合わなくなった発表した。

特定重大事故等対処施設は2017年12月に敷地造成を始め、2019年4月から本体工事を進めてきた。
「工事が想定より大規模になったことから、期限までに間に合わない」とし、「工程などを見直し完成時期は未定」としている。

付記 福井県内の40年超の原発3基を巡り、杉本達治知事は4月28日午前、再稼働に同意すると表明した。

関西電力は5月12日、美浜原発3号機を、6月下旬にも再稼動させると発表した。但し、テロ対策工事が期限の10月下旬までに間に合わないため、再稼働した後に一度停止させる。   

付記 関西電力は、6月23日に美浜原発3号機の原子炉を起動し、翌24日に臨界に達する。その後は、諸試験を実施し、7月27日には総合負荷性能検査を実施し、本格運転を再開する予定。

関電の原発の状況は下記の通り。

40年超は高浜1、2号と美浜3号で、40年超工事が稼働に必須。高浜1号、美浜1号は完成
再稼働には地元の了解が必要

テロ対策施設は期限内に完成しないと停止。

40年超

テロ対策工事

2020年状況 現状
認可 期限 40年超工事 テロ対策施設
高浜 1号 2016/6/10 2021/6/9 未稼働 40年超工事未完
テロ対策工事未完
未稼働 2020/9/18 完了 期限(6/9)に間に合わず
2号 未稼働 2021/4 完了?
3号 2015/8/4 2020/8/3 停止 2020/1 定修で停止、トラブル発生
停止中に
テロ対策期限到来
2021年3月7日 稼働  ー 完了
4号 2015/10/9 2020/10/8 停止 テロ対策工事未完 2020/10/7停止 定修中2020/10/72021/5/  ー 工事中
美浜 3号 2016/10/26 2021/10/25 未稼働 40年超工事未完
テロ対策工事未完
6月下旬稼働
(地元了解済)
2020/9/18 完了 2021/10/25が期限
(その後停止)
大飯 3号 2017/8/25 2022/8/24 停止 2020/7定修 1次系配管に損傷  定修中2020/1/62021/4/5)水漏れで延長  ー 2022/8/24が期限
(それまで稼働)
4号 停止 2020/11/3 定修入り 定修中2020/10/72021/5/  ー


原子力規制委員会は2019年4月24日の定例会合で、原発に設置が義務付けられているテロ対策施設が期限内に完成しない場合、期限の延長を認めないことを決めた。原則として原発の運転停止を命じる。

テロ対策施設は「特定重大事故等対処施設」と呼ばれ、2011年の福島第一原発事故後にできた新規制基準で設置が義務付けられた。
原子炉から離れた場所に建て、遠隔制御で原子炉を冷やす設備を備える。原子炉が航空機の衝突などによる攻撃を受けても、電源や冷却機能などを失わないようにする。

2019/4/25 テロ対策施設未完成の原発、運転停止へ 

再稼働には地元の同意が必要だが、これまで難色を示していた知事が近く再稼働の承認を決めるとされてきた が、工事の遅延で再稼働は遅れることになる。

稼働すれば、40年超原発では最初となる。

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各原発とも、使用済燃料の保管能力が少なくなっているが、特に関西電力が大きな問題を抱える。

関電は2015年以降、使用済み燃料を一時保管する中間貯蔵施設を県外に建設する方針を示してきた。

2017年11月に当時の西川知事が大飯原発3、4号機の再稼働に同意する際、関電は2018年に県外候補地を示すと約束した。だが選考は難航し、「2020年を念頭に」と先送りした 。

杉本達治知事は2020年12月2日、「提示が既に2年遅れ、地元と関電の信頼関係が崩れている」とし、40年超原発(高浜1、2号、美浜3号)の同意判断に当たり、年内提示が「全ての条件に先んじる」と踏み込んだ。

しかし、関電は年内に県外候補地を示せなかった。

関電は県外に中間貯蔵施設をつくると約束したが、使用済み燃料を受け入れるところはない。関電だけでなく、全ての原発に共通する悩みである。

電気事業連合会は経産相に、東電と日本原子力発電が設立した「リサイクル燃料貯蔵」が建設を進める中間貯蔵施設(青森県むつ市)の共同利用を検討すると報告した。

この施設は、東京電力と日本原子力発電用のものであるが、これを他社も使用できるようにしたいというものである。

これに対しむつ市長は「青森県やむつ市は核のごみ捨て場ではない。中間貯蔵場所は全国で探すべきなのに、それがないまま突然『むつ市でお願いします』とはならない」と述べ、強い不快感を示した。

2020/12/21 日本の原発の最近の諸問題

知事は本年2月2日、「議論の入り口に立っていない」と述べ、中間貯蔵施設の県外候補地を提示することが前提だと改めて主張した。

しかし、2月12日に関電の新しい提案を受け、方針を変換した。

関西電力の森本孝社長は2月12日、県庁で知事と面談し、中間貯蔵施設の県外計画地点について、青森県むつ市の施設を電力各社で共同利用する案を含めて検討を進めていると報告した。「2020年ごろ」としていた確定時期は「2023年末を最終期限とする」と表明した。

森本社長は、昨年12月に電気事業連合会がむつ市の施設の共同利用案を表明し、国や電事連が地元理解に取り組んでいると説明。「当社として選択肢の一つとして国や電事連と一体となって対応したい」と参画に意欲を示した。

「2023年末の期限までに計画地点を確定できない場合には、その後確定できるまでの間、美浜3号機、高浜1、2号機の運転は実施しないという不退転の覚悟で臨みたいと考えている」とも発言した。

杉本知事は面談後の取材に、運転開始から40年を超える関電原発3基(高浜1、2号 美浜3号)の再稼働に向けて「議論に入る前提はクリアした」と評価した。

知事は2月16日開会した定例県議会で、「県議会で再稼働について議論に着手していただき、慎重にご検討いただきたい」と述べ、議会に検討を要請した。

高浜町は2月1日、高浜1、2号機の再稼働について同意を表明した。
美浜町は2月15日、美浜3号機の再稼働への同意を表明した。

3月31日に福井県の原子力安全専門委員会のメンバーが安全対策の状況などを確認した。 委員会は4月22日、美浜3号機と高浜原発1、2号機について、「継続的な安全性向上を図っている」とした報告書を知事に提出した。

県会は4月23日、臨時議会を開き、美浜3号機と高浜1、2号機の40年超運転について「原子力との共生を目指す立地地域の思いを十分踏まえた的確な判断を強く求める」とする請願を賛成多数で採択、再稼働に事実上同意した。最大会派の県会自民党は、40年超運転を前提としたエネルギー基本計画の見直しを求める意見書案を発議し、賛成多数で可決した。

杉本知事は4月24日には両原発を視察、後日、経産相から原子力政策の明確な方向性や国が前面に立つ覚悟を確認できれば、会見を開いて同意を表明するとみられる。

付記

知事は4月27日、関西電力の森本孝社長がオンラインで会談し、森本社長は、「高経年化対策をしっかりと行い、安全運転を積み重ねて県民の不安解消に努めたい」と述べ、40年を超えた原発の再稼働にあたっては、▼特別な総点検を行うことや、▼原子炉の起動の際には、人員を通常の倍にして万全の態勢で臨む方針を示した。

また、梶山経済産業大臣とも会談し、梶山大臣は、▼原子力を将来にわたって持続的に活用する方針や、▼40年を超えた原発について、(1基あたり)最大25億円を交付する新たな制度を創設することなどを説明した。

知事は4月28日、運転開始から40年を超えた関西電力の原発3基の再稼働に同意すると表明した。「原則40年、最長で延長20年」とする現行ルールができて以降初めて。

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