ENEOS、石炭事業から撤退

| コメント(0)

石油元売り最大手ENEOSホールディングスの大田勝幸社長は5月12日、オンラインでの決算発表記者会見で、石炭事業から撤退する方針を決めたと表明した。

「いまの石炭の環境問題に対する大きな流れなどを考えると、将来の当社のコア事業として持つ必要はないと判断した」と理由を説明した。

ENEOSは前身の旧日本石油時代の1981年に石炭事業に参入。豪州やカナダの炭鉱の権益を持ち、共同運営や開発を手掛けるほか、年間約1000万トンの石炭を日本の電力会社などに販売している。

保有する豪州やカナダの炭鉱の権益を売却する。

大田社長は「当社のポートフォリオとしてはそれほど大きなものではない」とし、関連資産の売却金額は「恐らく数十億円程度のレベル」との見方を示した。

「上流の権益の撤退と併せ、顧客の同意が得られれば販売についてもやめていく」とした。ただ、山口県の石炭中継基地で行っている輸入炭の受け入れや貯蔵、出荷業務の扱いは現在未定という。

ーーー

同社の石炭事業は次の通りで、ホームページで下記の通り記している。

「総合エネルギー企業」を目指しており、石炭ビジネスもその一翼を担う重要な事業と位置付けています。
海外炭の輸入販売の他、豪州及びカナダにおける炭鉱共同運営・開発や日本国内のコールセンター事業も行い、日本のお客様への石炭安定供給に取り組んでおります。

当社は1981年に石炭事業に参入しましたが、燃料油取引で培ったお客様との関係を活かし、現在では年間約1,000万トンの石炭を日本の需要家に販売しています。

海外石炭では下記に参加している。

1) 主力の豪州産バルガ炭   (1990年資本参加)

1992年に日本の電力会社に初納入して以来、現在までに全電力会社に納入実績があり、電力会社を中心に800万トン以上販売する豪州トップブランドに成長。
露天掘と坑内掘の2つの炭鉱および選炭工場を持つ年産約1,100万トンの大規模な炭鉱。

所在地:ニューサウスウェールズ州

開発生産企業:Bulga Joint Venture

出資者:

比率 株主
Oakbridge Pty Ltd 87.5% Eneos
Glencore (Operator)
豊田通商 
JFE商事

15.2%
78.0%
5.0%
1.8%

日本製鉄 12.5%


2) カナダ Sukunka・Suska鉱区(
強粘結炭と呼ばれる希少な高品位原料炭)

2012年3月にXstrata(現 Glencore)から鉱区保有会社の株式の25%を取得した。

Xstrataは多種類の資源を扱うスイスの大手企業であり、世界最大級の資源メジャー。 2013年に筆頭株主であったスイスの商社Glencoreと合併。

立地:British Columbia州

資源量:Sukunka鉱区 2.4億トン程度、Suska鉱区 2.4億トン程度


3)インドネシア Horna 炭鉱(一般炭中心、2011 年6 月6 日にPT Horna Inti Mandiri の5%の株式取得)

立地 : インドネシア・西パプア州
資源量 : 資源量1 億トン程度
生産能力: 約200 万トン/年程度

コメントする

月別 アーカイブ