EUと米国、鉄鋼・アルミニウム関税問題で休戦

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EUと米国は5月17日、トランプ前米政権が導入した鉄鋼とアルミニウムの輸入制限をめぐり、追加関税の拡大を停止する「休戦」で合意した。

EUは6月1日に予定していた対米報復関税の拡大を保留し、両政府は貿易紛争の背景にある鉄鋼とアルミの過剰生産問題に関して対話を始める。2021年末までの合意を目指す。

欧州委員会のドムブロフスキス執行副委員長は、バイデン政権との合意に基づきEUは来月の関税引き上げを控えるほか、欧米で鉄鋼業界の過剰生産能力に関する対話を行うことを明らかにした。
関係者は、最終的な関税撤廃に向け取り組んでいるが、まだその用意はないとしている。

バイデン政権は中国に対抗するため、EUなど同盟国・地域と連携する方針。

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トランプ前政権は2018年5月31日、安全保障上の脅威に対抗する米通商拡大法232条(国防条項)に基づき、EUUや日本、中国など外国製の鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を上乗せした。

2018/6/2  米、EU・カナダ・メキシコに鉄鋼・アルミ関税発動 

欧州委員会は2018年6月6日、対抗措置として、米国からの輸入品に報復関税を課す方針を正式決定した。
EUは被害を2017年ベースで64億ユーロ(71億米ドル)としている。

  米のEUからの輸入 追加税率 追加税額
Steel 製品 59億ドル 25% 15億ドル
アルミ製品 12億ドル 10% 1億ドル
合計 71億ドル   16億ドル

EUは直ちに28億ユーロ(32億ドル)相当の製品に課税する。

対象は、鉄鋼・アルミ製品のほか、オレンジジュース、バーボン、たばこ、化粧品、シャツ、ズボン、靴、バイク、ボートなど。

残りの36億ユーロ(38億ドル)相当の製品には、3年後又はWTOでの裁定のあった時のいずれか早い時期に課税する。

EUの報復課税

対応する米国の課税

時期 製品リスト 追加税率 製品 EUからの輸入 追加税率 追加税額
即時課税 Annex 1 * 25%
(1品目のみ10%)
Carbon and alloy flat,
Carbon and alloy long
32億ドル 25% 7億ドル
後日 Annex 2 * 10%、25%、35%、50% Steel 残り 26億ドル 25% 7億ドル
10% アルミ製品 12億ドル 10% 1億ドル
合計 71億ドル   16億ドル

* 製品リスト  List of products for rebalancing

2018/6/7 EU、米国の鉄鋼・アルミニウム輸入制限への報復関税、7月発動へ

欧州委員会は2018年6月20日、報復措置の第1段階を発動すると発表した。

米国からの輸入品28億ユーロ相当に25%の関税賦課を最終承認した。対象品目はハーレーダビッドソンの二輪車やリーバイストラウスのジーンズなど。米国製のトランプカードにも10%の関税をかける。

2018/6/23 米国の鉄鋼・アルミ関税問題のその後 


EUは3年後の本年6月1日に第2陣の36億ユーロに相当する製品の関税上乗せを予定していたが、今回、これを保留する。

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