故李健熙サムスングループ会長の遺産相続

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2020年10月25日にサムスン電子 李健熙会長(78歳)が死去した。

2014年に急性心筋梗塞で倒れ、長く入院、実質的に長男の李在鎔副会長に権限移譲しており、副会長が会長に就任する予定である。

韓国サムスン電子は4月28日、李健熙会長の相続税が総額12兆ウォン(約1兆1700億円)を超えると発表した。韓国で歴代最高額の相続税となる。

長男の李在鎔副会長ら遺族が5年間で分割納付する。サムスングループ企業の保有株については売却せず、保有株を担保とした銀行借り入れなどで賄う。創業家によるグループ支配を維持する。

相続対象は李健熙氏の妻と長男李在鎔氏のほか、娘2人の計4人。

遺産の総額はサムスングループの株式(評価額約18兆9600億ウォン)を含め26兆ウォン(約2兆5000億円)規模で、株式のほか に、ソウル中心部の自宅や郊外の広大な土地などの不動産、さらに幅広い分野の美術品などが含まれる。

美術品はモネやダリ、ピカソやシャガールといった西洋画のほか、韓国の芸術家の絵画、国宝や重要文化財に指定されている古美術品など計2万3000点にのぼるが、これら所蔵美術品を韓国内の美術館などに寄贈する方針。
また感染症の専門病院の設立や小児がんや希少疾患の子供の支援のために計1兆ウォンを寄付する。

韓国の相続税率は50%程度と世界的に高い水準(OECD加盟国の平均は約15%)で、相続税額12兆ウォンは、韓国の2020年の総税収の2.6%に相当する。

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サムスングループの事実上の持ち株会社サムスン物産は4月30日、李健熙会長の持ち株(4.2%)の相続を発表した。

これまで、グループ企業の株式については長男に集約すると見られていたが、法定相続比率となっている。

 洪羅喜夫人  3/9
 長男 李在鎔 サムスン電子副会長 2/9
 長女 李富真 ホテル新羅社長 2/9
 次女 李叙顕 サムスン福祉財団理事長 2/9

この結果、サムスン物産の筆頭株主である李在鎔副会長の保有比率は下記の当初予想を下回り、18.13%となった。

サムスングループの創業者、李秉喆が1987年11月19日に逝去した際には、三男の李健熙がその地位を受け継ぎ、訴訟問題となったが、今回は円満に行なわれた。

2012/2/25 サムスン創業者の遺産相続で訴訟


下記の通り、一族は2015年に
第一毛織とサムスン物産(Samsung C&T)を合併し、新しいサムスン物産を設立し、継承の準備をしていた。 (当初はグループ株式は副会長が継承すると見られていた。)

しかし、この処理に伴い、李在鎔副会長は2つの罪で 起訴され、現在、1つの罪で収監されている。もう一つは裁判中。

①経営権承継に関するもの

2015年のサムスン物産と第一毛織の合併過程における背任、サムスンバイオロジクスの粉飾会計などサムスン経営権継承を巡る一連の疑惑である。

2015年9月1日、第一毛織とサムスン物産が合併し、新しいサムスン物産(Samsung C&T) とな り、Samsungグループ支配構造の事実上の持ち株会社となった。

韓国のソウル中央地検は2020年9月1日、李在鎔サムスン電子副会長を株価操作などの罪で在宅起訴した。
検察が勧告に従わずに起訴に踏み切ったことで、裁判は最長1年半かかり、最終的に最高裁が判断する事態となれば、決着までさらに2年を要することもあり得る。

2020/6/2 韓国検察、サムスン電子副会長を再度聴取、経営権継承巡る疑惑
2021/1/19 サムスントップ、贈賄罪差し戻し審で懲役2年6月、再び収監 に記載

朴槿恵・前大統領らへの贈賄罪

朴槿恵大統領の親友の崔順実被告に対する資金供与などが、2015年7月に朴大統領が保健福祉部傘下の国民年金公団を通じサムスン物産と第一毛織の合併を助けたことに対する謝礼 とみなされ、贈賄とされた。

差し戻し審で、ソウル高裁は2021年1月18日、贈賄罪などを有罪とし、李被告に懲役2年6月(求刑は9年)の実刑判決を言い渡した。
執行猶予は付かず、再び収監された。2017/2~2018/2の1年間収監されており、残り1年6月となる。

2021/1/19 サムスントップ、贈賄罪差し戻し審で懲役2年6月、再び収監

現在、サムスン電子は経営トップが不在になっている。

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