米最高裁、アリゾナ州の投票規制は合法

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米連邦最高裁判所は7月1日、アリゾナ州で共和党が支持する投票規制強化は1965年に制定された人種差別を禁じる「投票権法」に違反せず合法との判断を示した。各州の投票規制導入に追い風とな る。

保守派6名が賛成、リベラル派3名が反対した。

 性別 年齢 人種背景

指名した大統領

就任日 判断傾向
Clarence Thomas 男性 72歳 アフリカ系 George H. W. Bush 1991年10月23日 保守
Stephen Breyer 男性 82歳 ユダヤ系 Bill Clinton 1994年8月3日 リベラル
John Roberts  (Chief) 男性 65歳 白人系 George W. Bush 2005年9月29日 保守
Samuel Alito 男性 70歳 イタリア系 2006年1月31日 保守
Sonia Sotomayor 女性 66歳 ラテン系 Barack Obama 2009年8月8日 リベラル
Elena Kagan 女性 60歳 ユダヤ系 2010年8月7日 リベラル
Neil Gorsuch 男性 53歳 白人系 Donald Trump 2017年4月10日 保守
Brett Kavanaugh 男性 55歳 白人系 2018年10月6日 保守
Amy Coney Barrett 女性 48歳 白人系 2020年10月26日 保守


1965年に制定された「投票権法」は次のような人種差別を禁じている。

・投票には「試験あるいは仕組み」に適合することを求めること
  (識字試験、教育または知識の要件、道徳的に良い性格の証拠等)
・大統領選挙における投票の有資格者となるまでに30日以上の居住期間を求める「居住期間要件」を課すること
・資格ある人の投票あるいは資格ある有権者の票を数えることを拒みあるいはさせないこと
・他の者が投票するあるいは投票としようとするのを怯えさせ、嫌がらせを行いあるいは強制すること
・偽りと知りながら有権者登録申請書を提出すること
・連邦の選挙で二重投票すること
・英語を話せない者、あるいは障害のある者が、その人の選んだ助手によって投票箱のところまで連れて行ってもらう
 ことを妨げること 等

問題となったのはアリゾナ州法の下記の点:

・有権者が指定された投票所以外で投じた票を無効とする。

・家族などを除く第三者が有権者に代わって票を投票所に運ぶことを犯罪と見なす。

民主党全国委員会などは2016年、中南米系や黒人、先住民などが規則違反になるケースが多いとして「マイノリティーに不利な規定だ」と州を提訴した。
1審は州側が勝訴したが、2審は民主党側の訴えを認めていた。

最高裁は今回、指定投票所の規則について「有権者にとって過度の負担とは言えない。マイノリティーの方が無効票の割合は多いが、白人との差は小さく、投票機会が不平等だとは言えない」とした。

第三者による票の回収禁止も「郵便など他の手段が確保されている」と指摘した。

判決は保守派判事6人の多数意見で、リベラル派の判事3人は「統計上もマイノリティーに不利な規則なのは明らかだ」などとして反対した。

保守派のアリト判事は判決文で「影響に違いがあるからといって制度が平等ではないとは言えず、投票の機会が平等でないということにもならない」との見解を示した。

リベラル派のケーガン判事は判決を「悲劇的」とし、「識字率テスト」など過去に一部の州で行われてきた黒人の投票を阻止するための取り組みが「今までにない新しい形の差別」に変わっていると批判した。

バイデン大統領は「投票権に対する広範な攻撃だ」と非難し、「民主主義の心臓部を守るために追加の法律が必要なことがこれまで以上に明確になった」と主張した。

バイデン政権は連邦法で「投票機会の保障」を実現しようと、投票権拡大法の成立を目指しているが、共和党の反対で法案審議は頓挫 している。

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米国での投票機会の制限を巡る最近の動き

3月 南部ジョージア州で投票機会を制限する「2021年公正選挙州法」成立

期日前投票や郵便投票の実施方法を従来よりも制限
投票所に行列する有権者に水や食べ物を提供することを規制 等

5月 南部フロリダ州で投票機会を制限する州法成立

期日前投票の時間を大幅に制限
有権者の身分証明の厳格化
郵便投票希望者に選挙ごとの申請を義務付ける 等

6月 司法省がジョージア州法は「選挙権侵害」と提訴

期日前投票の規制強化などによって黒人有権者は長い行列となりがちな投票所投票を強いられるとし、
「投票方法を制限しようとする不法な試みがなされているのを司法省として決して座視しない」と述べた。

  連邦上院で投票権拡大法案「For the People Act」の審議入り否決 (50:50)

下院は3月に可決(共和党全員と民主党1名が反対)

15日間の期日前投票を導入
選挙日を祝日とする。
運転免許証を持っている人には自動的な有権者登録を保証 等

   

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