BHPが石油・ガス事業から脱却

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英豪系BHPグループは8月17日、石油・ガス事業を豪 Woodside Petroleumに売却すると発表した。

世界的な「脱炭素化」の流れをにらみ、本業である鉱業に経営資源を集中させる。 化石燃料から脱却し、「未来に目を向けた」商品へのシフトを目指す。石油、天然ガス部門を巡っては、一部の株主から売却を求める声が強まっていた。

BHPはまた、カナダSaskatchewanの炭酸カリウム鉱山計画Jansen Stage 1 potash projectへの57億ドル(約6230億円)投資を承認した。

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石油・ガス事業の時価総額は185億豪ドル(約1兆5千億円)とされる。

Woodsideは石油・ガス事業の取得と引き換えに新株を発行し、BHP株主に割り当てる。新しいWoodsideの株主は、既存のWoodside 株主が52%、BHP株主が48%となる。

Oil & Gas事業売却後のBHPはロンドン証券取引所への上場を廃止し、オーストラリア証券取引所に一本化する。

BHPはこれまでに、石油ガス事業の売却を進めていた。

Woodside Petroleumは2016年9月5日、BHP Billiton から豪州西部沖のScarborough ガス田などの権益の半分を4億ドルで取得すると発表した。
BHP Billiton がExxonMobil と共有しているガス田の25%分と、BHP Billiton が単独所有するガス田の50%を取得するもので、後者についてはOperator になる。

2016/9/9 豪州のWoodside Petroleum、BHP Billitonの豪のガス田権益を取得

BHP は2018年7月26日、米国のEagle Ford、Haynesville、Permian 及びFayetteville の陸上石油・ガス資産全てを合計108億ドルで売却する契約を締結した。

2018/7/31 BHP、米国の陸上石油・ガス資産全てを売却 


BHPの2020年5月期の売り上げ構成は下記の通り(日経)。

石油・ガス事業から撤退する一方、ニッケル事業を強化している。

BHPは7月22日、EV世界首位の米Teslaにニッケルを供給することで合意したと発表した。

BHPは西オーストラリア州のNickel West ProjectからTeslaに供給を行う。同プロジェクトは、ニッケル地金より利益率が高いとされる硫酸ニッケルの生産を7─9月期に開始する。

両社はまた、ブロックチェーン(分散型台帳)を用いた原材料のトレース(追跡)や、エネルギー貯蔵のソリューションについても検討する。

同社は長年にわたり西オーストラリア州でNickel West事業を行なっているが、一時は売却も目指した。

しかし2019年5月22日に、今後の電気自動車電池の需要に対応するため、硫酸ニッケル事業を拡大する意向を明らかにした。BHPのビーベン最高財務責任者(CFO)は戦略ブリーフィングで、探査か買収の形でニッケル事業の成長を図る可能性があると述べた。Nickel West事業も保有し続けると発表した。

BHPは2020年6月19日、ロシア資源大手Norilsk Nickelから西オーストラリア州にあるニッケル鉱山を取得することで合意したと発表した。

Norilsk Nickel子会社のMPI Nickel Pty Ltd,から下記を取得する。

・Honeymoon Well Nickel Project
・Albion Downs North and Jericho exploration JVの50%(残り50%はBHP Nickel Westが所有→100%に)

直後の6月27日には、BHPはカナダでニッケル探査を手がけるNoront Resourcesに総額3億2500万カナダドル(約280億円)での買収を提案した。

BHP LonsdaleはNoront Resourcesの3.7%を保有するが、全株を取得するTOBを行なうことで合意した。

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BHPは8月17日、カナダサスカチュワン州のカリウム肥料プロジェクト Jansen Stage 1への57億ドル(約6230億円)投資を承認した。

当初、ナダのカリウム肥料会社の買収に失敗した事が契機で、独自の鉱山開発に乗り出した。鉄鉱石、銅、石炭、石油に続き「第5の柱」になるとし、既に10年間で42億ドルが鉱山と製造設備に投資されたが、未だ操業計画の最初の出荷予定など詳細が公表されておらず、先行きが懸念されていた。

今回の発表では、 年間435万トンを生産する。増産も検討する。建設(地下鉱山、加工工場、倉庫、自動運転の貨車積み込み設備、港湾設備への投資を含む)に約6年かかり、2027年に出荷を予定する。

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