米下院、つなぎ予算・債務上限凍結一体化法案を可決

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米下院は9月21日、本年12月3日までのつなぎ予算と、連邦政府の債務上限の適用を2022年12月16日まで凍結する措置を一体化した民主党提出の法案を可決した。

上院は与野党勢力が拮抗しており、議事妨害を避けて法案を可決するには60票が必要となるため、成立するかどうか見通せない。

  共和党 民主党 合計 欠員
賛成   220 220  
反対 211   211  
棄権  1    1  
合計 212 220 432 3

米国では債務上限が法律で決まっている。予算の運営のためには、別の法律により、これらを引き上げる必要がある。

2019年7月22日に2021年7月末まで債務上限の2年間棚上げを決めたが、その期限がきた。

2019年3月1日時点の債務上限の22兆289億ドルに、それ以降 7月31日までに追加で借り入れた約6.5兆ドルを加えた約28.5兆ドルが新しい債務上限とな り、上限を引き上げるか、凍結するかを新たに決めるまでは、借入は出来ない。

2021/7/26 米国、債務上限復活 

民主党は現在、10年で総額3.5兆ドル規模の財政支出をめざす法案の成立をめざしている。

米下院歳入委員会の民主党メンバーは9月13日、3.5兆ドル規模の予算の財源として、一連の増税案を発表した。 当然、共和党は増税に反対である。

民主党はこの法案を上院で通すため、上院で多数決で議決可能な「予算決議案」の方法を使っている。民主党で造反が無ければ、50 対 50の場合、上院議長である副大統領の1票で法案は成立することになる。

このため共和党は、民主党が増税・支出計画を推し進める限り、上院で債務上限凍結の法案を阻止する方針を表明している。

また、10月1日から始まる新年度の予算も月末までに通る可能性はなく、政府機関閉鎖を避けるためには暫定予算が必要である。

このため、民主党は今回、とりあえず下院で本年12月3日までのつなぎ予算と、連邦政府の債務上限の適用を2022年12月16日まで凍結する法案を通したもの。

つなぎ予算案には今回のハリケーン被害などの支援に286億ドル、アフガニスタン避難民の支援に63億ドルの支出が含まれている。

共和党の上院トップ、マコネル院内総務は、「我々は債務上限の引き上げを支持しない」と改めて述べた。

しかし、債務上限問題が放置されれば10月にも政府の資金繰りが行き詰まってデフォルトに陥る可能性がある。つなぎ予算がなければ、10月1日には政府機関が閉鎖される。このため、なんらかの妥協が行なわれるが、暫くは両党でせめぎ合いが続く。

付記 

予想通り、上院共和党は9月27日、この法案を本会議で採決することを否決した。60票が必要だが、共和党、民主党から各1議員が棄権したほか、民主党の1議員が反対にまわった。

  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 46 2 48
反対 49 1 50
棄権 1 1 2
改選後 50 48 2 100


民主党のシューマー上院院内総務は、連邦政府のデフォルト(債務不履行)と政府閉鎖の両方を回避するため、今週中にさらなる措置を講じると述べた。 

特に、つなぎ予算については、9月30日までに通さないと政府機関閉鎖となる。

代替策は、つなぎ予算と連邦政府の債務上限凍結を切り離し、まず、つなぎ予算を通すことである。これについては共和党が代替案無しで反対する理由はない。

共和党の反対は、まだ時間的に余裕のある債務上限問題である。民主党の進めている3.5兆ドル規模の財政支出、その財源としての一連の増税案に対する交渉材料である。

民主党側のこれへの対策として、既に可決済みの3兆5000億ドル規模の予算決議を修正し、債務上限引き上げのための別の法案を策定することではないかとされる。その場合、過半数で議決できる。

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