BASF、中国のリチウムイオン電池のSVOLTと提携

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BASFは10月25日、中国のリチウムイオン電池の 蜂巣能源(SVOLT Energy Technology)との間で、正極材(cathode active materials:CAM) の開発、原材料供給、SVOLTのバッテリーセルのリサイクルに関して提携すると発表した。

BASFは、SVOLTとの提携で電池材料事業での地位を高めるとしている。電池材料の供給者としてのリーダーとして、SVOLTの電池に高機能正極材を供給する。 リサイクルでも協力する。

BASFは、グローバルな製造・研究開発拠点を有しており、中・高ニッケル系、マンカンリッチ系、コバルトフリーの正極材の幅広いポートフォリオを含め、正極材市場て確固たる地位を築いている。

BASFは2020年2月12日、欧州の電気自動車(EV)バリューチェーンを支援するための多段階投資計画の一環として、ドイツ Schwarzheideに電池材料の新たな生産拠点を設けることを発表した。

最新鋭の工場では年間約40万台のEVを供給できる規模の正極材(CAM)初期生産能力を有する。同社のフィンランドのHarjavaltaの工場(ロシアのNorilsk Nickel が所有するニッケル・コバルト精錬所に隣接)で製造した前駆体(PCAM)を使用するもので、両工場の操業開始は2022年を予定している。

2021年7月には、Schwarzheideにある正極材(CAM)工場の敷地内に、電池リサイクルの試作工場を新設すると発表した。

使用済みのリチウムイオン電池、およびセルメーカーや電池材料メーカーのオフスペック材料から、リチウム、ニッケル、コバルト、マンガンを効果的に回収するための運用方法を開発し、その技術を最適化する。

なお、BASFは9月16日、リチウムイオン電池大手の中国CATL(寧徳時代新能源科技)と協力のための戦略的提携を発表した。
(1)蓄電池の持続可能なバリューチェーンの構築、(2)CATLの欧州でのビジネス展開協力、(3)両社の気候中立目標達成への寄与を目指す。

BASFでは、「正極材に強いBASFと、リチウムイオン電池の専門性を有するCATLの協力は、蓄電池分野のイノベーションと、持続可能なバリューチェーン構築を世界的に加速させるだろう」とコメントした。

CATLは2019年10月、ドイツ東部チューリンゲン州に中国外で初のリチウムイオン電池工場(生産能力は14ギガワット時)の建設を開始、2022年までに操業開始予定。

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蜂巣能源(SVOLT Energy Technology)は、2012年に中国の完成車メーカー長城汽車(Great Wall Motor )の動力電池事業部( Battery Business Unit)として電池の研究を開始、2018年に分離独立し た。江蘇省常州市を拠点とし、中国国内を始め韓国、インドにも研究開発拠点をもち、新エネルギー自動車向けの最先端材料の研究開発を強化している。

2020年3月には、リチウムイオン動力電池とその陽極材料、蓄電池と関連するインテグレーション製品の研究開発などを行う目的で、日本法人の蜂巣能源日本技研を横浜市に設立した。

SVOLTは2021年7月16日、希少金属のコバルトを使わない「コバルトフリー電池」の量産を世界で初めて開始したと発表した。独自開発したもので、正極材にニッケル、コバルト、マンガンを使う「三元系」のリチウムイオン電池からコバルトを取り除いた 。ニッケルが75%、マンガンが25%である。

コバルト鉱石はコンゴ1国が世界の50%以上を生産している上に、製錬したコバルト地金の60%以上は中国で生産されているため、コバルトのサプライチェーンリスクへの不安が増している。

各社がコバルトフリーのリチウムイオン電池の開発を進めている。

東北大学多元物質科学研究所は2021年9月27日、リチウムイオン電池(LIB)でコバルトフリーの正極を用い、安定な高電圧作動に成功したと発表した。

SVOLTは本年7月、Fiat Chrysler Peugeot のJVのStellantis との間でバッテリーでのパートナーシップを発表した。SVOLTはStellantisにバッテリーセルや高圧の蓄電設備、バッテリー管理システムを供給する。

SVOLTは本年9月、四川省成都市に220億元(約3,700億円)を投じ、動力電池の新工場を設けると発表した。3期に分け て年産能力各20ギガワット時、合計60ギガワット時を建設する。併せて研究開発拠点も設置する。

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