米下院、1.75兆ドルの税制・支出法案を可決、上院は不透明

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米連邦議会下院は11月19日午前、社会的セーフティーネットや気候変動対策、増税といったバイデン米大統領の経済優先施策を盛り込んだ1.75兆ドルの税制・支出法案 Build Back Better Actを賛成220、反対213で可決した。

下院の共和党トップのマッカーシー院内総務が採決を阻止しようと11月18日午後8時半すぎから19日午前5時すぎまで8時間半にわたって法案を批判し続ける異例の演説を行った。下院の歴史における最長時間を更新したと報じられている。(下院にはフィリバスター制度はない。)

  共和党 民主党 合計 欠員
賛成 220 220  
反対 212 1 213  
棄権 1 1  
合計 213 221 434 1

欠員のフロリダ州の議席は2022/1/11に決まる。

同法案は上院に送付されるが、審議の行方はなお不透明な状況だ。

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米下院は11月5日夜、バイデン政権の2つの看板政策のうち、5500億ドル規模の超党派インフラ投資法案を可決した。

これは1兆ドル予算とも呼ばれる。既に予算配分済みの支出を除いた新規支出は約5,500億ドルである。

上院はすでに可決しており、バイデン大統領は11月15日、インフラ投資法案に署名、成立した。

2021/11/8 米インフラ法案、下院で可決、成立へ


子育て支援などに10年で1.75兆ドルを投じる歳出・歳入法案
Build Back Better Actは党内調整になお時間がかかるため採決を先送りした。

これは「10年で3.5兆ドルの予算案」であったが、与党民主党内で意見が対立し、進展していないため、バイデン大統領が10月28日に1.75兆ドルに修正した Build Back Better Act を発表した。

2021/11/1 バイデン大統領、10年間3.5兆ドルの予算案を修正 

6人の中道派議員が、1.75兆ドルの予算法案について「議会予算局による財源の精査が終わっていない」として早期の法案採決に反対した。下院で民主党から4人が反対すれば可決できないため、ペロシ議長は「説得は困難だ」と判断した。

次善の策として、議長はインフラ投資法案を先に成立させる方針に転じたが、今度は左派が、インフラ法案を通してしまうと、大型歳出法案がそのままでは通らない可能性があるとして議決に反対した。

最終的に中道派議員が「議会予算局の精査の結果が政府の推計と矛盾しなければ、大型歳出法案に賛成する」と文書で約束したことで、左派が態度を軟化させ、インフラ投資法案を可決した。

2021/8/11 米上院、5500億ドル規模のインフラ包括法案を可決、下院採決時期は不透明

今回、中道派議員が賛成し(1議員のみ反対)、Build Back Better Act を可決した。

但し、議会予算局(CBO)が11月18日に公表した収支見通しによると、大企業などへの増税だけでは法案の財源がまかなえず、2022~31年の財政赤字が計3671億ドル増加する。ただ、この見通しには主要財源であるIRSの徴税強化の内容が含まれておらず、バイデン政権は徴税強化により収入が4000億ドル増加するとの試算を示し「法案の財源はすべて確保されており、財政赤字は増えない」と説明している。
しかしCBOは収入増が2070億ドルにとどまるとの独自の試算をまとめており、上院で穏健派の妥協を引き出せるか見通せない状況である。

上院では与野党が各50議席で、民主党から1名でも反対すれば否決される。

(賛否同票なら、上院議長を兼ねる副大統領が賛成票を投じると可決される。)


議会ではまだ、本年度(2021/10~2022/9)の予算が通らず、本年12月3日までのつなぎ予算で運営している。

2021/10/2 米、政府機関の閉鎖回避 12月までのつなぎ予算成立

下院は9月21日、連邦政府の債務上限の適用を2022年12月16日まで凍結する民主党提出の法案を可決したが、上院では審議に入れなかった。

その後、債務上限を4,800億ドル引き上げる法案を可決したが、イエレン米財務長官は11月16日、連邦政府の12月15日にも上限に達するとの見通しを議会に示した。

2021/10/12 米上院、債務上限の一時引き上げ可決 

12月3日までに更なるつなぎ予算が可決されないと政府機関の閉鎖もありうる。バイデン政権は、まだ大きな問題を抱えている。

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