テスラ、リン酸鉄リチウムイオン電池への世界的な移行を計画

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EVメーカーの米 Tesla は10月20日の第3半期決算の発表文で、同社が、航続距離が標準的なモデルの車載用電池については、リン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池に世界的に移行する計画だと述べた。

For standard range vehicles, we are shifting to Lithium Iron Phosphate (LFP) battery chemistry globally.

TeslaのCEOは、同社のバッテリーは最終的に製品全体で鉄ベースが3分の2、ニッケルベースが3分の1になるだろうと語り 、「これは実際に好ましいことだ。世界には十分な量の鉄が存在しているから」と付け加えた。

現在、大半の自動車メーカーはニッケルやコバルトが含まれるNCM(ニッケル・コバルト・マンガン)バッテリー を採用しているが、原料価格は上昇基調にあり需給が逼迫している。

Teslaは現在、米国ではパナソニックのNCM電池を使用しているが、中国では寧徳時代新能源科技(CATL)から供給されるLFP電池を使用している。

CATLのLFP電池は正極側にリチウムや鉄、リンを使い、長寿命で、最高800℃までの耐熱性を有し、安全性と信頼性に優れていると言われる。火災や振動、衝突など様々な危険な状況を想定した300項目以上の試験で検証しているという。

70以上の特許技術を含む「CTP(cell-to-pack)」技術をもとに生産される。モジュールを組むこと無くバッテリーセルをそのままパックに入れるもの。

この特許は中国の大学や研究機関のコンソーシアムによって管理され、10年前に中国のバッテリーメーカーとの間で、LFPバッテリーが中国市場でのみ使用されることを条件にライセンス料を徴収しないことで合意した とされる。

DaimlerのCEOも10月26日、Mercedes-Benzの次世代電気自動車モデル「EQA」「EQB」に2024年からLFPバッテリーを搭載すると明らかにした。 主力の「EQS」よりも価格に敏感であるため、今後値上がりが予想されるニッケルなどの使用を避けるもの。

電池メーカーについては明らかにしていないが、既に主力の「EQS」向けにNCMバッテリーを供給しているCATLでないかと見られている。2020年のCATLとの供給契約では、Daimlerは個別の計画ごとにCATLの「CTP(cell-to-pack)」技術の採用が可能となっており、今回、CATLのCTPーLFPバッテリーではないかと思われる。


しかし、TeslaにNCMバッテリーを供給するパナソニックエナジーの只信社長は10月25日、同社製品がTeslaから「足元でも高いレベルでの出荷を求められている」とし、両社の関係に影響はないとの認識を示した。

同社はTeslaからの要請で新型電池「4680」を開発中で、「技術的な面ではほぼ完成した」としている。「円筒形は安全性が高く電池モジュール内のセル密度を高められる点で大きなメリットになる。より走行距離の長いEVを実現する上で「4680」という電池セルは重要な技術になるだろう」としている。

TeslaのEVには、パナソニック製の円筒型セルが採用されてきた。
「Roadster」や「モデルS」、「モデルX」にはノートパソコンなどに使われていた直径18mm×長さ65mmの「18650」と呼ぶセルが搭載されている。
モデル3には直径21mm×長さ70mmの「2170」と呼ぶ電気自動車向けセルが採用された。エネルギー容量は「1865」から「2170」で1.5倍になる。

これに対し、「4680]は直径46mm、長さ80mmの円筒形電池で、「2170」から電池容量を5倍に高めることができる。


パナソニックの当面の供給には影響はないとしても、Teslaは最終的に製品全体で鉄ベースが3分の2、ニッケルベースが3分の1になるだろうと しており、他社も追随すると見られるため、NCM(ニッケル・コバルト・マンガン)バッテリーのメーカーには大きな衝撃である。


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