関西スーパー 買収合戦  

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神戸地裁は11月22日、「関西スーパーマーケット」と阪急阪神百貨店などの運営会社エイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)傘下の食品スーパー2社との経営統合の手続きを差し止める仮処分決定をした。

「関西スーパーマーケット」の臨時の株主総会で 食品スーパー2社との経営統合案が承認されたことをめぐり、首都圏のスーパー「オーケー」が賛否の集計に問題があったとして統合に向けた手続きの差し止めを求める仮処分を11月9日に裁判所に申し立てていた。

関西スーパーは同日、下記の通り発表した。

当社の主張が認められなかったことは誠に遺憾であり、当社は上記の決定に対し、保全異議の申立て等を行う予定です。



付記

関西スーパーは11 24 日付で、神戸地裁に保全異議の申立てを行ったが、地裁は11月26日にこれを退けた。

同社は大阪高裁に保全抗告の申立てを行う。争いの場は大阪高裁に移る。

H2Oと関西スーパーは、統合予定日を当初の12月1日から12月15日に延期した。

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阪急阪神百貨店を傘下に持つエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングは8月31日の取締役会で、大阪や兵庫で食品スーパーを展開する「関西スーパーマーケット」を子会社にすることを決め、発表した。
H2O傘下で関西地盤の食品スーパーの「イズミヤ」「阪急オアシス」と12月に統合させる予定で、売上高は4千億円規模、約240店舗を抱える関西でトップクラスのスーパーになる。


H2Oは、関西スーパーの株式を10.66%保有する筆頭株主で、株式交換で保有比率を58%まで引き上げて子会社化する。

関西スーパーはイズミヤ、阪急オアシスを100%出資の子会社にするなどし、3社を経営統合する。関西スーパーの事業については新設する事業子会社に移し、関西スーパーは中間持ち株会社になる。一連の統合作業は来年2月の完了をめざす。

2021年3月期の売上高は、イズミヤが1330億円、阪急オアシス が1107億円。関西スーパーが1289億円。

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2021年3月末時点での関西スーパーの上位株主は、1位が取引先持株会(保有比率10.07%)、2位が伊藤忠食品(4.94%)、3位が三菱東京UFJ銀行(3.96%)とみずほ銀行(同)。首都圏地盤のオーケーも7%強を出資していた。

そのオーケーは市場を通じて約160万株を約15億9000万円で取得し、9月2日にも追加取得して合計8.04%となった。保有目的は「政策投資、営業関係強化、重要提案行為などを行うこと」としている。

オーケーは9月3日、「関西スーパーマーケット」を買収したい意向を正式発表した。
関西スーパーに対し、時価の2倍超で上場来最高値と同 1株2250円でのTOBを提案した。

以前から経営陣との協議を申し入れていたが、関西スーパーから7月に、特別委員会で検討すると連絡を受けた。その後は数回やりとりがあっただけで「実質的な協議の場」が設けられないまま、関西スーパーは8月末にH2O傘下入りを発表した 。

オーケーは、10月に予定されている関西スーパーの株主総会でH2O子会社化に反対する考えを示し、H2O傘下入りが撤回・否決された場合、TOBを実施したいとし た。

関西スーパーの最近の株価は1000円~1500円であるが、現株主は2,250円で売却できることとなり、利益は確実である。

これに対し、H2O案の場合は「新関西スーパー」(関西スーパーとイズミヤ、阪急オアシスを統合)の株式を受け取ることになるが、株価がいくらになるかは不明である。

統合による相乗効果で株価が上がるかどうか不明であり(下がることもあり得る)、上がるとしても、相乗効果がでるまで時間がかかる。

常識的にはオーケー案が有利だが、関西スーパーの株主の取引先持株会や伊藤忠食品などはH20との取引もあるため、短期の利益だけでは決められない。

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10月29日の関西スーパーの臨時株主総会(6時間)で、H2Oとの経営統合案が賛成 66.68%で可決された。可決には2/3の賛成が必要 だが、これをわずかに上回った。両方に納入する業者が多く、棄権したと見られた。

これを受け、オーケーは下記により、TOB提案を取り下げた。 オーケーの姿勢は立派である。

たとえ僅差による可決といえども、総会検査役の立会いの下で公正に議事運営された結果と考え、その結果を関西スーパー株主の判断であると真摯に受け止めた。

しかし、オーケーは11月8日、この臨時総会での集計に疑義が判明したことを明らかにした。

総会検査役報告によ ると、一旦は本経営統合にる議案が僅差否決となる集計結果確認した が、その後、関西スーパーの判断って一部「棄権」の投票の取り扱い「賛成」に変更されたことによりその結果が覆され、僅差での可決になったというもの

マークシートによる投票に際しては、当該マークシートには「賛成・反対・棄権のいずれにもご記入がない場合は、棄権として集計いたします。」と明記され、議長からも「マークのご記入のない投票用紙をご提出いただいた場合は、棄権としてお取り扱いいたします。」ということを再三にわたり説明されていた。

集計の結果は僅差の否決であったが、最終的に可決とされた。

ある株主から本来「賛成」する意図だったにもかかわらずマークシートを白紙で提出してしまったため、確認したい旨の申し出を 受けた。

(以下 関西スーパーの発表から)

直ちに、総会検査役の同席を求めたうえで、当該株主から事実確認を行いました。

その結果、以下の諸点が確認されました。

①この株主は、投票用紙に記入を行わなかったものの、投票用紙の回収の際に、本議案全てについて事前に行った賛成の意思表示のとおり議決権行使をする意思である旨を回収担当者に対して述べていたこと

この株主が当日受付に提出した職務代行通知書に本議案に全て賛成の意思表示をする旨が記載されていたこと
③この株主が事前に提出していた委任状及び議決権行使書においても本議案について全て賛成の意思表示がなされていたこと

このような確認を経て、当社は、投票用紙の回収に際して回収担当者に対して述べられた内容については、投票用紙への記載と同様に取り扱うべきであることから、会社法その他の法令に照らし、この株主様は本議案の全てに賛成の投票をされたものと判断し、当該賛成票も含めて最終集計を行ったところ、本議案の承認可決が確定いたしました。

オーケーの主張:

総会検査役による報告を確認したのち慎重を期して、外部の弁護士及び株主総会実務に詳しい専門家の意見を複数確認いたしました。かかる弁護士や専門家全員に共通する意見として、以下の指摘を頂いております。

上場企業における公正な株主総会の運営の在り方として、投票を締め切ったに特定の株主の投票内容のみを自社に有利に変更させること自体決してあってはならないこと

関西スーパーによる総会検査役に対する説明の真偽は確かめようがない上に、仮にその説明のとおりに、ある株主の方本来は「賛成」する意図を有していたにもかかわらず本来の意図となる投票を行ったものだったとしても、投票を締め切った以上議長自身が議場で説明したとおり「棄権」として取り扱われるべきであること

仮に何らかの理由により例外的に当該投票が無効であり「棄権」として扱うべきでないと考えたとしてもその議決権の行使については「賛成」として扱われるべきではなく無効不行使」として扱われるべきであること

オーケーは、11月9日午後、統合手続きの差し止めを求める仮処分を神戸地方裁判所に申し立てた。 

神戸地裁は11月22日、関西スーパーマーケットとエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)傘下の食品スーパー2社との経営統合の手続きを差し止める仮処分決定をした。統合を決めた臨時株主総会の手続きを巡り、食品スーパーのオーケー(横浜市)が示していた疑義を認めた。

裁判所の見解は次の通り。

白紙投票は「棄権」としか解することができない。

(株主の意図について)
総会に出席した株主は投票以外の方法で議決権を行使できない。投票した以上は、誤りがあっても訂正できない。

決議の方法に法令違反または著しい不公正があり、決議に基づく株式交換を差し止める。


12月1日に予定されていた株式交換は一旦差し止められる。関西スーパー側は決定に不服があれば裁判所に異議を申し立てることができる。

関西スーパーは、保全異議の申立て等を行う予定としているが、この裁判所の判断が覆ることはないだろう。

オーケーは22日、仮処分決定を受けて「司法の良識ある判断が示されたものと受け止めている」とのコメントを発表した。同社は、差し止めが認められた場合には完全子会社化を前提にTOB(株式公開買い付け)を行う方針と発表している。

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