FRB、量的緩和策の前倒し終了決定

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米連邦準備制度理事会(FRB)は12月15日、物価上昇が勢いを増していることから、景気過熱に歯止めをかけるため、11月から始めた「量的緩和の縮小」のペースを加速させることを決めた。

量的緩和による資産買い入れは従来の想定より3カ月早く2022年3月をめどに終える。
その後、ゼロ金利の解除(利上げ)に踏み切り、2022年中に計3回の利上げを進める見通しも示した。

FRBの保有資産縮小に関しては「まだ何も決めていない」としている。

FRBは11月3日、11月にテーパリング(量的緩和の縮小)を開始すると発表した。

2020年3月にコロナウイルス対策で資産買入を再開し、毎月、国債を800億ドル、住宅ローン担保証券を400億ドル、計1200億ドルを購入している。

11月から毎月の購入額を国債を100億ドル、住宅ローン担保証券を50億ドルの合計150億ドルずつ減らしていく計画を正式に決定した。順調にいくと8カ月で購入はゼロとなり、2022年6月でテーパリングは終了する。

2021/11/5 FRB、11月から量的緩和の縮小開始


今回、これを変更し、2022年1月からは削減額を2倍の計300億ドルとし、同3月に購入額をゼロにする。


その後、ゼロ金利を解除し、2022年中に計3回の利上げを進める。

2018/3  1.50%~1.75%
2018/6  1.75%~2.00%
2018/9  2.00%~2.25%
2018/12  2.25%~2.50%
2019/7 2.00%~2.25%
2019/9  1.75%~2.00%
2019/10

1.50%~1.75%

2020/3/3

1.00%~1.25%

2020/3/15

 0.00%~0.25%



米国の物価は急上昇している。エネルギー価格の上昇が大きいが、食品とエネルギーを除いたコアも上昇している。

失業率も下がっている。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は2021年4月28日の時点では、物価上昇は一時的とした。

ワクチン接種の進捗と力強い政策支援を受け、経済活動と雇用の指標は強さを増した。パンデミックによる打撃がもっとも大きかった産業は依然弱いが、回復し始めている。
物価上昇率は、主に一時的な要因を反映して上昇した。経済および米国の家計と企業の信用の流れを支える政策措置もあり、金融情勢は全般に依然として緩和的だ。

しかし、その後も上昇が続き、FRBのパウエル議長は11月30日、高インフレを「一時的」とする表現を事実上撤回した。

今回、パウエル議長は「物価上昇は想定より持続的なもので、勢いも強く、そのリスクも高まってきた」と述べた。 インフレ率が目標の2%を大きく上回っている」と述べ、物価の安定を守るとした。

今回のFOMCは正副議長や理事、地区連銀総裁ら参加者18人がそれぞれ中期の経済・政策見通し(SEP)を提示した。2022年にゼロ金利を解除し、計3回利上げするとの予想が中央値となった。

次いで2023年3回、2024年2回と3年間で計8回の利上げを想定た。景気を冷やしも熱しもしない長期的な政策金利は2.5%と前回と同水準を見込んだ。

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