中国の出生率、建国以来最低、2021年1,062万人で5年連続減

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中国国家統計局は1月17日、2021年の出生数が5年連続減少し、1062万人だったと発表した。人口1000人当たりの出生数を示す出生率は7.52人と1949年の建国以来最低を記録。出生数も過去最少を更新した可能性がある。
(出生数は、2016年に1883万人で小さなピークを迎えた後、毎年減少、2019年は1465万人、2020年は1200万人)


中国は30年以上続けた「一人っ子政策」を2016年に完全撤廃して全ての夫婦に2人目まで容認し、2021年には3人目まで認めた。しかし、子育てコストの上昇などから出産に慎重な夫婦が増え、少子化に歯止めがかかっていない。

国家統計局人口雇用統計局の王平平局長が以下の通り説明している。

2021年の総人口は増えたが、伸び率は鈍化し続け、高齢化の度合いはさらに深まり、都市化のレベルは増加した。

2021年末の国民人口は14億1,260万人(2020年末比で48万人増加)、年間出生数は1,062万人(前年比 140万人減少)、死亡人口は1014万人(前年比16万人増)

1000人当たり出生数は7.52人で前年比で1.00人減少した。
1000人当たり死亡数は7.18人で、0.11人増加した。

この結果、自然人口増加率は1000人当たり0.34人で、前年比で1.11人減少した。

2021年 前年比
2021年末 人口 14億1,260万人 +48万人
    出生数  1,062万人 -140万人
    死亡数 1,014万人 +160万人
1000人当たり出生率 7.52人 -1.00
       死亡率 7.18人 +0.11人
 差引 自然増長率 +0.34人 -1.11


2012年には自然人口増加率は1000人当たり7.43
人で、数年アップダウンがあったが、2017年からは急降下している。

予測によれば、合計特殊出生率を1.3とすると、中国の総人口規模は第14次五カ年計画期間にゼロ成長、さらにはマイナス成長になる可能性もあるという。

人口増加の継続的な減速は、出生数の継続的な減少によるものであり、これは主に2つの要因の影響を受ける。

第一に、出産可能年齢の女性の数は減少し続けた。

2021年には、15歳から49歳までの出産可能年齢の女性が前年比で約500万人少なくなり、21歳から35歳までの出産可能年齢の女性が約300万人少なくなった。

第二に、出生率は低下し続けている。出産の概念の変化と初婚・出産年齢の遅れ(10年で約2年)の影響を受けて、出産可能年齢の女性の合計特殊出生率は2019年の1.70から2020年は1.30と急降下し、世界各国の水準を大きく下回ったが、2021年も低下し続ける。
(2020年の急減は異常だが、下のグラフのとおり、それまでの横這いが不自然で、過去分の修正を一気に行ったのではと思われる。)


また、
高齢化が進んでいる。


2021年末 2020年比
0〜15歳 2億6,302万人(18.6%) -528万人
16〜59歳(生産年齢) 8億8,222万人(62.5%) +247万人
60歳以上 2億6,736万人(18.9%) +329万人
 (うち65歳以上) (2億56万人) (14.2%)


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フランスのEmmauel Todd は「老人支配国家 日本の危機」のなかで、中国について以下の通り述べている。

中国の急速な少子化

米中の対立が今後も長く続き、世界の二極化が進むだろう、という点で、多くの識者と私も同じ見解です。その上で、まず人口学者として断言できるのは、中国が米国を凌ぐ大国となり、世界の覇権を握るようなことはあり得ない、ということです。

10年に一度の中国の国勢調査が今年(2021年)5月に公表されました。1カ月ほど公表が遅れ、データを改竄するためではないか、と疑われましたが、発表された2020年の合計特殊出生率は1.3人という衝撃的な数値でした。いつからこんなに低い出生率だったのか、しっかり検証する必要があります。

女性1人あたりの出生率は2.0人に近い水準でなければ、その社会は現状の人口規模を維持できず、数十年後に多大な影響を被ります。1.3人ということは、少子高齢化が急速に進むことを意味し、中国の人口規模からして人口減少を他国からの移民で補うことも原理的に不可能です。

さらに懸念されるのは、出生児の男女比です。106人(男子)対100人(女子)が通常値であるのに、今日の中国では、118人(男子)対100人(女子)という異常値を示しています。出生前の性別判断が技術的に可能になり、女子の選択的堕胎が行なわれているからで、必ず将来の人口構成に大きな歪みをもたらします。

こうした点から、中国の将来を楽観視する人口学者など一人もいないのです。

2019年の世界銀行統計で、合計特殊出生率は米国は1.71、英国は1.65、ドイツは1.54、世界平均は2.40となっている。

そのなかで韓国は0.92と極めて低く、最下位(202位)となっている。(日本は2019年は1.36で186位、中国は1.70で150位だった。)


参考 日本の合計特殊出生率




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