東京電力柏崎刈羽原発でまたトラブル

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東京電力は2021年12月24日、7号機の消火設備の配管でずさんな溶接が74カ所見つかったと発表した。1000カ所以上の溶接を本来の仕様通りに再施工する。再施工の進捗をみながら、すでに30カ所の不適切溶接を確認している6号機の追加調査も検討する。

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原発ではトラブルが連発している。

2020年9月に社員が中央制御室に不正に入室する問題が発生した。

東電は7号機の新規制基準に基づく安全対策工事が2021年1月12日に完了したと発表したが、その後、施行ミスや未完のものが次々と見つかり、2月26日に検査日程を「未完」と変更した。

2021年6月10日、柏崎刈羽原発を巡り、新たに72カ所で工事の未完了が発覚したと発表した。

配管が壁や床を貫く約8000カ所のうち72カ所で火災の対策工事の未完了が発覚した。

さらに、2020年3月以降、テロリストなどの侵入を検知する複数の設備が壊れ、その後の対策も十分機能していなかったことが明らかになった。

原子力規制委員会は2021年3月16日、柏崎刈羽原発の核物質防護設備の機能一部喪失について、安全重要度評価 を「赤」とし、3月23日に「対応区分:第4区分」として扱うことを伝えた。

  安全重要度評価
(原子力施設の安全確保に対する劣化程度)
対応区分
(検査指摘事項の重要度評価及び安全実績指標の分類に応じて)


不良
 


安全確保の機能又は性能への影響が大きい水準 第5区分 監視領域における活動目的を満足していないため、プラントの運転が許容されない状態
安全確保の機能または性能への影響があり、安全裕度の低下が大きい水準 第4区分 各監視領域における活動目的は満足しているが、事業者が行う安全活動に長期間にわたるまたは重大な劣化がある状態
安全確保の機能または性能への影響があり、安全裕度の低下は小さいものの、規制関与の下で改善を図るべき水準 第3区分 各監視領域における活動目的は満足しているが、事業者が行う安全活動に中程度の劣化がある状態
安全確保の機能または性能への影響があるが、限定的かつ極めて小さなものであり、事業者の改善措置活動により改善が見込める水準 第2区分 各監視領域における活動目的は満足しているが、事業者が行う安全活動に軽微な劣化がある状態
  第1区分 各監視領域における活動目的は満足しており、事業者の自律的な改善が見込める状態


2021/3/29 柏崎刈羽原発の再稼働、見通しつかず 

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2021年3月以降に、特定の下請会社の名前を挙げて、「6、7号機の消火設備の配管 が、バックシールドを実施せずに溶接されている」という匿名の申告があった。

バックシールド:配管内面の酸化を防止するため、不活性ガス(アルゴンガス等)を流しながら溶接

この会社が溶接した7号機の消火配管1220カ所のうち、194カ所を調べたところ、約4割にあたる74カ所で不備が見つかった。
溶接時に酸化防止のために配管内に入れることになっていたガスを注入しておらず、長期間使うと劣化が進み、安全性に問題が出る可能性がある。

東電などが溶接士17人に聞き取りをしたところ、9人が「ガスを流さずに実施した」と認めた。記録では、ガスを注入したと虚偽の報告をしていた。「ホースを配管に差し込んだが、ガスを流さず、流したふりをしていた」と話す溶接士もいた。

作業を早く終わらせることや、ガスボンベの搬入に手間がかかるなどの理由で、2019年9月ごろから、ガスを流していなかったという。

東電は、この下請け会社が施工した1220カ所の工事を全てやり直すことを決めた。さらに、別の3社が溶接した計317カ所でも配管内の酸素濃度を管理していないなどの不備が見つかり、再工事を行う。

6号機にも、この下請け会社が溶接した配管が1200カ所ある。これまでに400カ所を調べ、30カ所で不備が見つかっている。

本件は下請け業者の悪意の不正行為で、過去から続いていたと思われる。

本件とは別に、上記のとおり、完了したとする工事が多く未完了であった。

これは東京電力の責任である。原発の安全確保の必要性から、業者の選択、教育、事後チェックに万全を図ることが必要だが、それをやっているようには見えない。

工事完了で原子力規制委員会の承認を得たとしても、その工事自体が正しく行われたかどうか信用できない。

いろいろのトラブルを考えると、東電は原発を運営する資格はないのではなかろうか。

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