英社、人工妊娠中絶薬の製造販売承認を厚労省に申請

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英国の製薬会社ラインファーマ(Linepharma)は2021年12月22日、開発中の人工妊娠中絶薬(ミフェプリストン及びミソプロストール)を厚労省に製造販売承認申請をしたと発表した。

承認されれば国内初の人工妊娠中絶薬となる。米FDAは2016年に承認している。WHOはガイドラインの中で飲み薬を「安全で効果的な中絶法」のひとつとして推奨 、80以上の国・地域で承認されている。

申請したのは、妊娠の維持に必要な黄体ホルモンの働きを抑制する「mifepristone」と、子宮収縮を起こす「misoprostol」の2つの薬。

1剤目(ミフェプリストン)を経口投与し、その36~48時間後に2剤目 (ミソプロストール)をバッカル投与(薬を口腔内の歯茎と頬の間に挟み、唾液でゆっくり溶かし、口腔粘膜から成分を吸収)する。


ミフェプリストンは、プロゲステロン受容体拮抗薬で、妊娠継続に必要な黄体ホルモン(プロゲステロン)の働きを抑える。

ミフェプリストンは現在、世界70カ国以上で使用されている。

ミソプロストールはプロスタグランジンE1誘導体で、子宮収縮作用を有している。ファイザーから抗NSAID潰瘍剤サイトテック錠として販売されている成分で、ラインファーマは今回、新投与経路医薬品(既承認医薬品等と有効成分は同一であるが、投与経路が異なる医薬品)として申請した。

Pfizerの「サイトテック」は、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと」となっている。

ミフェプリストンとミソプロストールを逐次併用投与することにより人工妊娠中絶の成功率が高まる。

国内の治験には、妊娠9週までの18~45歳の中絶を希望する女性120人が参加した。妊娠を続けるために必要な黄体ホルモンのはたらきを抑える薬「ミフェプリストン」を1錠服用。2日後に子宮を収縮させるはたらきがある薬「ミソプロストール」4錠を飲んだ後、経過を観察した。

その結果、112人(93.3%)が、24時間以内に胎児を包んだ胎囊が体の外に出て、中絶に至った。71人(59.2%)は治験中に有害事象が起き、このうち45人(37.5%)は薬と因果関係がある副作用とされた。
いずれも回復し、9割以上が軽度か中等度だった。下腹部痛(30.0%)や嘔吐(20.8%)が多かった。

今後、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が審査し、早ければ1年以内に承認される可能性がある。

承認取得後の販売体制について、「自社販売を考えている」としている。

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