日立製作所、日立建機の株式を一部売却

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日立製作所は1月14日、保有する日立建機の普通株式の一部を 日本産業パートナーズと伊藤忠商事特別目的会社、HCJI ホールディングス合同会社に譲渡する契約を締結したと発表した。


日立
建機は、ショベル、ホイルローダ、ダンプトラックなど主要建設機械主軸を置き、新車事業に加えてリューチェーン事業(部品サービス、レンタル、中古等の事業)展開を通じて、顧客や社会課題解決貢献していくことを成長戦略の基本方針として推進してい

今後、日本産業パートナーズおよび伊藤忠商事の支援によりグローバルに事業拡大を加速することで、日立ブランドの価値向上および Lumada 事業の拡大に寄与する。

日本産業パートナーズ は、日本国内において豊富な投資・支援実績を有しており、伊藤商事は、グループ内に建設機械および周辺機器等に関する事業のノウハウを有している。

日立製作所は、引き続きIoT などの研究開発やデジタル技術を活用した部品サービス事業などにおける日立建機との連携により、Lumada 事業のさらなる拡大をめざす。

Lumadaは、"Illuminate(照らす・解明する・輝かせる)"と"Data"を組み合わせた造語で、顧客のデータに光をあて、輝かせることで、新たな知見を引き出し、顧客の経営課題の解決や事業の成長に貢献していく、という思いを込めている。

具体的には、遠隔監視で建設機械を常に見守り、データレポートを配信する日立建機のサービスソリューションデータ「ConSite」などで日立が掲げるLUMADAに貢献していく。

日立建機は、2000年より油圧ショベルにオプションで通信端末を搭載、2006年より標準搭載を始め、IoTを活用して、建設機械の稼働・位置情報などのビッグデータをGlobal e-Service®に蓄積してきた。さらに2013年より、Global e-Service®のデータに基づいて、遠隔監視で故障リスクを把握し、建設機械の状態に応じて、データレポートを配信するサービスソリューション「ConSite®」を提供し、顧客の課題であるライフサイクルコスト低減に貢献してきた。

日立製作所は、「ConSite®」の機能・ノウハウを活用した価値創出型の産業機械アフターサービス強化支援ソリューションを2020年10月から提供開始した。

そのほか、ACモータや制御ユニット、トロリーシステムやネット・ゼロ・エミッション化の推進といったことで協業を行っていく。

本株式譲渡の実行後、日立建機に対する日立の議決権所有割合は現在の51.5%から 25.4%となり、同社は日立の持分法適用会社となる。

日立製作所は2023 3 月期の個別決算で関係会社株式売却益 約 1,500 円を、連結決算では事業再編等利益 約 770 億円を計上する。
株式譲渡で得られる 1,824 億円資金を財務基盤の強化や株主還元成長投資の原資として活用、企業価値のさらなる向上に努める。

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日立製作所は「選択と集中」を旗印に、成長分野と位置づけるエネルギーなどのインフラやIoT(モノのインターネット)事業に経営資源を集中させる方針である。

非中核分野を次々に売却していった。

子会社 時期 持株比率
日立物流 2016/5/19 59.01%→30.01% 株式の29%をSGホールディングスへ譲渡
日立キャピタル 2016/10 60.61%→33.40% 株式の23.01%を三菱UFJフィナンシャル、4.20%を三菱UFJリースに譲渡
日立国際電気 2017/1   4割超→ゼロ グループで保有する4割超をKKRに売却(配当金を合わせ752億円で)
KKRはTOBを実施、傘下のHKホールディングスの完全子会社とし、2018年に工機ホールディングスと改称。

KKRは日立国際電気の半導体製造装置事業を分離、2018/6にKokusai Electricを設立したが、
2019/7 これをApplied Materialsに22億ドルで売却した。→中国の承認得られず、解約

日立工機
(電動工具)
2017 
  
40.25%→ゼロ
KKRに売却(KKRがTOB)
日立アーバンインベストメントも 10.90%→ゼロ
クラリオン 2018/10 6割超→ゼロ 仏自動車部品大手フォルシアに譲渡、売却価額は899億円 
日立オートモティブ
システムズ
2019/10 66.6% ホンダのケーヒン、ショーワ、日信工業と統合
ホンダが33.4%

2009年に上場子会社は22社あった。

2009年に日立情報システムズ、日立ソフトウェアエンジニアリング、日立システムアンドサービス、日立プラントテクノロジー、日立マクセルを完全子会社とすべく、TOBを実施。いずれも上場廃止。

2014年に日立メディコと、2016年に日立モバイルと、株式交換を行ない、上場廃止。

2018年にクラリオンを売却した結果、2019年には日立化成、日立金属、日立建機、日立ハイテクノロジーズ (2020/2 日立ハイテクに改称)の4社に減った。

2020年には上場4子会社のうちの日立化成株式を51.29%全てを 昭和電工に譲渡した。

2019/12/2 日立製作所、子会社日立化成を昭和電工に売却へ
2019/12/25 昭和電工、日立化成にTOB 

日立製作所は約53%の株式を保有する上場子会社の日立金属を売却すると報道されていたが、米投資ファンドのBain Capital と日本産業パートナーズ、ジャパンインダストリアルソリューションズのコンソーシアムが独占交渉権を得たことが分かった。日立は持株全てを売却する。この場合、 日立化成の場合と同様、上限なしのTOBとなる。

日立製作所は2021年11月30日、保有する日立金属の株式を売却する時期について、当初予定していた2022年3月期から2023年3月期に後ずれすると発表した。日立は日立金属株に対する公開買い付け(TOB)を2021年11月下旬に開始する予定だったが、一部の国で競争法に基づく手続きなどが完了していないという。

日立金属の売却が実施されると、以前の御三家が全て売却されることとなる。

これにより日立製作所は以前の重工業企業から変身する。

2021/4/15 日立製作所、米GlobalLogicを買収、日立金属を売却 & 付記

日立製作所は2021年4月7日、上場子会社である日立ハイテクの完全子会社化に向けてのTOB(@8000円、総額5311億円)が成立したと発表した。買い付け予定株数の下限以上となったため、応募株式の全部を買い付ける。日立ハイテク株の保有比率は51.73%から90.55%に高まる。TOB成立により、日立ハイテク株は2020年5月18日に上場廃止となった。

今回、最後に残った上場会社の日立建機の持株の一部を売却し、子会社から持分法適用会社とする。

これで、2009年に22社あった日立の上場子会社はすべて無くなる。

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