EU一般裁判所、Intelへの巨額制裁金を取消

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EUが半導体最大手の米Intel に科した10億6千万ユーロの制裁金を巡り、EUの一般裁判所(一審)は1月26日、制裁金を取り消す判決を出した。Intelの勝訴となり、EU規制当局にとっては大きな後退となった。

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欧州委員会は、チップ製造でIntelに対抗するAdvanced Micro Devices(AMD)からの訴えを受け、長期間に及ぶ調査を行なったが、2009年5月13日、Intelがx86 CPUと呼ばれるコンピュータチップ市場から競合企業(AMD)を排除するため、違法な反競争的慣習を続けているとして、10億6千万ユーロの制裁金を科した。


Intelは2002年10月から2007年12月にかけて、世界のx86 CPU市場の70%以上のシェアを獲得したが、欧州委員会は、Intelがこの期間中に主に2つの違法な慣習に携わったことが判明したとした。

第一はコンピュータメーカーに対して、x86 CPUをIntelから購入することの見返りにリベートを支払った。主要な小売業者に対しても、直接的に金銭を渡し、Intel製のx86 CPUを搭載したコンピュータのみの在庫を置くように取り計らった。

リベートには消費者向け価格を下げる効果がありうることは認めつつも、リベート支払いに際し、競合する会社の製品の購入を減らす、あるいは完全に取りやめるよう条件付ける行為は不正だと述べている。

第二に、コンピュータメーカーに対し直接的に金銭を渡しつつ、競合企業のx86 CPUを搭載した特定の製品の販売差し止めや発売延期を求め、販売ルートの制限に踏み切る慣習にも手を染めていたとする。

Intelはこれに対し、同社の行為が欧州の法律に違反したとは考えておらず、制裁金については上訴するとした。

一般裁判所は2014年に欧州委のこの決定を支持したが、Intelが上訴し、2017年に欧州の最高裁に当たるEU司法裁判所が一般裁判所に対して再審理するように命じた。

一般裁判所は今回の判決で、EU競争当局の分析を批判して制裁金を無効とし、判決文で「欧州委の分析は不完全であり、問題のリベートが反競争的効果を持つ可能性がある、あるいは持つ可能性が高いということを必要な法的基準で立証していない」と指摘し 、Intelに10億6千万ユーロの制裁金を課した決定全体を無効とした。 

欧州委は判決内容を検討し、可能な次のステップについて検討するとコメントした。欧州委はEU司法裁判所 に上訴することができる。

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