WHO、「アクテムラ」 をコロナ治療薬として事前認証

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WHOは2月11日、中外製薬の抗リウマチ薬tocilizumab(製品名「Actemra」、EU販売名「RoActemra」をCOVID-19治療薬として「事前認証」したと発表した。(中外の親会社のRocheを申請企業 originator companyとしている。)

発表の概要:

トシリズマブは世界の約120か国で主に関節炎の治療薬として認可されている。

トシリズマブはインターロイキン-6(IL-6)受容体を阻害するモノクローナル抗体で、インターロイキン-6は炎症反応を誘発し、COVID-19に重症の患者に高レベルで見られる。

静脈内投与されたトシリズマブは、重症で、急速に悪化し、酸素需要が増加し、重大な炎症反応を示すCOVID-19の特定の患者の死亡を減らすことが、臨床研究で示されている。WHOは、重症または重症のCOVID-19と診断された患者にのみトシリズマブを推奨している。

特許は切れているが、バイオシミラーは少なく、価格が高い。WHOは現在、Roche との間で低・中所得国向けに安価に供給できるよう交渉している。(Roch発表では原価で供給)

「事前認証」は、WHOが医薬品などの品質や安全性、効果を審査する制度で、認証されると、国連機関や医療支援の国際団体の調達の対象となる。多くの国が医薬品やワクチン、診断器具などの大量購入時の参考にしている。 (末尾の図を参照)

COVID-19治療薬としては副腎皮質ステロイド薬デキサメタゾンが事前認証されている。 (今回で 2薬品が事前 認証となった。)  

なお、WHOはGilead Sciencesの抗ウイルス薬「レムデシビル」を事前認証したが、2020年10月に「死亡率の低下などにつながる重要な効果はなかった」として、 「症状の軽い重いにかかわらず、入院患者への投与は勧められない」とする指針を公表し、事前認証から除外した。

2020/11/20 WHO、Remdesivirは「治療効果なく推奨せず」


アクテムラは、炎症を起こす蛋白質の働きを阻害する抗体医薬品。抗リウマチ薬としては各国で承認済み。新型コロナへの効果も期待されるとして、多くの臨床現場で使用されている。

中外製薬は2021年6月25日、「アクテムラ(tocilizumab)」が、新型コロナウイルスの治療薬として、米食品医薬品局(FDA)の緊急使用許可を取得したと発表した。

中外製薬の親会社Rocheの100%子会社のGenentechがFDAから緊急使用許可を取得した。

厚生労働省は2022年1月21日、新型コロナウイルス感染症の治療に使うことを承認した。

2021/6/28 中外製薬の抗リウマチ薬「アクテムラ」、FDAが新型コロナウイルス治療薬として緊急使用許可 


別途、WHOはCOVID-19治療薬の推奨、非推奨を行なっている。(下表)

WHOは1月14日にバリシチニブとソトロビマブを推奨したが、発表文のなかでこれらを「事前承認」に申請するよう求めているとしている。

https://www.who.int/news/item/14-01-2022-who-recommends-two-new-drugs-to-treat-covid-19

メーカー 日本
バリシチニブ(オルミエント) Eli Lilly 2022/1/14 重症患者に強く推奨 2021/4/27 承認
モノクローナル抗体ソトロビマブ GlaxoSmithKline 非重症患者に条件付き
回復期患者血漿 2021/12/7 推奨せず(強く)
カシリビマブ / イムデビマブ Regeneron、Roche / 中外製薬 2021/9/24 非重症患者に条件付き 2021/7/19 承認
アクテムラ Roche / 中外製薬 2021/7/6 重症患者に強く推奨 2022/1/21 承認
サリルマブ Sanofi
イベルメクチン Merck(MSD) 2021/3/31 研究開発のみ

ヒドロキシクロロキン

2020/12/17 推奨せず(強く)
ロピナビル・リトナビル AbbVie 推奨せず(強く)
レムデシビル Gilead Sciences 2020/11/20 条件付きで推奨せず 2020/5/7 承認

副腎皮質ステロイド薬

2020/9/2 重症患者に強く推奨

青字は事前認証   赤字は事前認証取り消し

詳細 https://apps.who.int/iris/rest/bitstreams/1405287/retrieve (2022/1/14発表分は上記発表文を参照)
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認証手続き


https://kyokuhp.ncgm.go.jp/library/tenkai/2020/tenkai200212.pdf



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