EU、ロシア7銀行をSWIFTから排除

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欧州連合(EU)は3月2日、ロシアへの追加の経済制裁として同国2位のVTBバンクなど大手7行を国際的な資金決済網「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から排除することで合意した。

2022/2/28 ロシア追加制裁、国際決済網から排除

制裁は10日以内に発動される。

SWIFTから排除される7行の総資産は外銀を含む全体の2~3割とされる。欧州委は、ロシアの行動次第では「制裁リストにロシアの銀行を追加する用意がある」としている。

ロシア最大手のSberbank PJSCと、ガス大手Gazpromが出資するGazprombank は含まれていない。
これらを除外すれば石油、天然ガスなどの取引が出来なくなり、欧州経済への影響が大きいことを判断したとみられる。
当初から、エネルギー関連については対象外にするという考えが出ていると報道されていた。
米国もGazprombankについては新規借り入れを禁止するということに止まっている。 (欧州にSWIFT排除をやらせるための配慮とされる。)

SberbankはSWIFT排除からは外れたが、米国はSberbankに対し金融遮断しており、ドル取引ができない。

なお、Sberbankは3月2日、欧州市場から撤退すると発表した。預金流出で事業継続が困難と判断した、


別途、各国も独自の制裁を行っている。

日本は当初、下位3社のみであったが、3月3日に4銀行を追加した。

順位 SWIFT 米国 EU 英国 日本
Sberbank PJSC  1 対象外 金融遮断 *
対象外 資産凍結 対象外
VTB Bank PJSC
貿易決済を担う国営銀行
2 SWIFT除外 取引停止 資産凍結
(追加)
Gazprombank
(Gazpromが投資)
3 対象外 取引制限 対象外
Bank Otkritie SWIFT除外 取引停止 取引停止 資産凍結
(追加)
Novikombank 対象外
Sovcombank PJSC
Bank Rossiya 取引停止 資産凍結
VEB.RF
国営開発対外経済銀行 
(第一弾)

取引停止
Promsvyazbank PJSC
(軍とのつながり)
ロシア中央銀行 取引制限、外貨準備凍結


米国は2月24日、ロシア最大の銀行であるズベルバンクと第2位のVTBバンクを含む大手金融機関を幅広く制裁対象に加えた。

米国の金融機関にズベルバンクとの取引を拒否するよう求め、ズベルバンクと海外子会社25社の米金融システムへのつながりを断つ。

付記

米国は4月6日、追加制裁を発表した。ズベルバンクのほか、国内4位のアルファバンクも制裁対象とし、「米金融システムと接触する」両行の資産を凍結するとした。ただ、エネルギー取引は今回の制裁措置から除外された。


なお、既報の通り、SWIFTから排除された場合の抜け穴が2つある。

ロシアは2014年にウクライナ南部のクリミア半島を併合した際、SWIFTからのロシア排除案が浮上したのを機に、「SPFS」(FINANCIAL MESSAGING SYSTEM OF THE BANK OF RUSSIA)と呼ばれる独自の銀行間決済ネットワークを開発した。
現在、約400の金融機関などが利用しており、ロシア国内のSWIFT加盟数を上回っているが、ほとんどがロシア国内での利用にとどまっている。


http://www.cbr.ru/Content/Document/File/72210/pres_11102021.pdf


中国人民銀行は2015年、人民元の国際銀行間決済システム(CIPS :Cross-Border Inter-Bank Payments System)を導入した。

主な機能は、クロスボーダー人民元決済(貨物貿易、サービス貿易、直接投資、融資、個人送金など)にかかる顧客送金およびインターバンク決済となっている。

・直接参加行:CIPS内に専用口座を有し、直接CIPSにアクセス、中継銀行を介さず、中国人民銀行と決済することができる。
・間接参加行:直接参加行を通じてCIPSに参加

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