米最高裁判事に黒人女性を指名

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バイデン大統領は1月27日、米最高裁のStephen Breyer 判事(83歳)の引退を発表、後任の候補者を2月中に指名するとした。


バイデン大統領は2月25日、連邦最高裁判事に首都ワシントンの連邦高裁判事(Judge on the U.S. Court of Appeals for the D.C. Circuit) のKetanji Brown Jackson(51歳) を指名した。上院で承認されれば、黒人女性として初めての最高裁判事となる。

最高裁判事の保守派、リベラル派の比率は変わらない。

  保守派 Swing リベラル派
以前  保守系中道 のKennedyがswing 4 ← 1 → 4
2016 Scalia 判事死去 3 ← 1 → 4
2017 Gorsuch 就任 4 ← 1 → 4
2018 Kennedy 引退、Kavanaugh指名 5 4
2020 Ginsburg 死去 5 3
  Amy Coney Barrett 6 3

 性別 born 人種背景

指名した大統領

就任日 判断傾向
Clarence Thomas 男性 1948/6 アフリカ系 George H. W. Bush 1991年10月23日 保守
Stephen Breyer 男性 1938/8 ユダヤ系 Bill Clinton 1994年8月3日 リベラル
John Roberts  (Chief) 男性 1955/1 白人系 George W. Bush 2005年9月29日 保守
Samuel Alito 男性 1950/4 イタリア系 2006年1月31日 保守
Sonia Sotomayor 女性 1954/6 ラテン系 Barack Obama 2009年8月8日 リベラル
Elena Kagan 女性 1960/4 ユダヤ系 2010年8月7日 リベラル
Neil Gorsuch 男性 1967/8 白人系 Donald Trump 2017年4月10日 保守
Brett Kavanaugh 男性 1965/2 白人系 2018年10月6日 保守
Amy Coney Barrett 女性 1972/1 白人系 2020年10月26日 保守
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Ketanji Brown Jackson 女性 1970/9 アフリカ系 Joe Biden リベラル



今後上院での承認が必要だが、大きな問題がある。

上院司法委員会で聴聞会を経て上院への人事案送付を議決し、上院本会議で採決するが、司法委員会が民主、共和両党議席が11対11、上院は50対50で拮抗している。

司法委員会の議決が同数の場合は、上院運営規則で本会議が決定を代行することができるとが、その本会議も民主、共和議席が同数である。

通常、過半数での議決では、可否同数の場合、上院議長を兼ねる副大統領の票で決まるが、上院の「助言と承認」に関しては副大統領に投票の権限がないという説がある。

合衆国憲法の実質的な起草者のアレクサンダー・ハミルトンは、合衆国憲法の理解を深めるために1788年に出版した冊子「ザ・フェデラリスト」の69編で、「副大統領は上院で法案をめぐる採決で決定票を投ずる権限があるが、上院の"助言と承認"に関わる問題にまで合衆国憲法はその権限を与えてはない」と記している。

行政府に対する"助言や承認"に行政府の副大統領が最終的な決定権を持つことはできないというもの。

これまでは50:50の例がなく、実際にどうするかは分からない。民主党側は50:50にならないよう、共和党議員の取り込みを図るとみられる。

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バイデン大統領は2021年3月30日、連邦裁判事に指名する11人を発表した。アフリカ系女性とアジア系の他、初めてイスラム教徒も指名された。白人は2人(女性)だけである。

アフリカ系女性3人を連邦控訴裁判事に指名した。このうち 今回のKetanji Brown Jackson判事がアフリカ系女性として初めて、重大事件を扱う首都ワシントンのコロンビア特別区巡回区連邦控訴裁判所の判事に指名された。

連邦地裁判事にはアフリカ系2人、アジア系2人、ヒスパニック系1人、白人女性2人、パキスタン系1人を指名した。

パキスタン系のZahid Quraishi判事はイスラム教徒としては初の連邦地裁判事になった。

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