米、貿易相手国の通貨政策を分析した半期為替報告書を公表 

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米財務省は6月10日、貿易相手国の通貨政策を分析した半期為替報告書を公表した。(前回は2021年12月3日発表)


2020年12月にトランプ前政権が「為替操作国」に指定したスイスとベトナムに加え、新しく台湾が「為替操作国」の認定基準を満たしたが、バイデン政権は2021年4月、該当する国について為替操作国の認定を見送っている。

1988年の法律に照らし、それら3カ国・地域に「効率的な収支調整を妨害する、もしくは国際貿易において競争上の不当な優位性を得る」意図があったと結論付ける「十分な証拠はなかった」と説明した。

今後、公式協議を含むenhanced engagementsを行い、為替相場の過小評価と対外不均衡の過小評価の基調的な原因に対応するために特化した行動計画を策定するよう呼び掛ける。

2021/4/23 米、貿易相手国の通貨政策を分析した半期為替報告書を公表  

2021年12月は台湾とベトナムの2国、今回はスイス1国が該当するが、いずれも認定は見送った。

「監視リスト」には、日本、中国、韓国、台湾、ドイツ、マレーシア、シンガポールとインド、ベトナム、イタリア、タイ、メキシコの12国が指定された。インド以下の5国は1項目だけだが、前年が監視リストのため、対象とされた。

前回、アイルランドは1項目だけだが、その前に監視リストのため、リストに入った。同国は今回、2年続けて1項目のため、監視リストから外れた。

なお、中国は(1項目だけでも)常時、監視リストに入る。


米財務省は為替操作国に指定する条件として(1)対米貿易黒字の規模(2)経常黒字の規模(3)継続的な通貨売り介入――を掲げている。

  従来の基準 2019/5より改正
①重大な対米貿易黒字 対米貿易黒字が200億ドル(米国GDPの約0.1%) 以上 同左
②実質的な経常黒字 経常黒字がその国のGDPの3.0%以上 GDPの2.0%以上
③外為市場に対する介入 GDPの2%以上(ネットで)の額の外貨を繰り返し購入
(12カ月のうち、8カ月
同左
(12カ月のうち、6カ月

3基準全てに該当すれば「為替操作国」となる。

次の場合、「監視リスト」に入る。
  2基準に該当 & 1基準だが、前年「監視リスト」の場合
  なお、中国は常時、「監視リスト」

③の外為市場介入(12カ月のうち6カ月)は、今回はスイス、シンガポールの2カ国。
日本は介入ゼロ、中国は若干の介入はあるが、12カ月のうち6カ月未満で対象外となっている。

 

操作国
3基準  
監視国
2基準  
監視国
1つだが前年に監視対象  丸数字は問題となった項目
  日本 中国 韓国 台湾 ドイツ スイス インド アイルランド ベトナム イタリア マレーシア シンガポール タイ メキシコ
2016/4
2016/10
2017/4
2017/10
2018/4
2018/10
2019/5
 

①②



①②

 

 

①②

①②

①②

①②

②③
2019/8   操作国  
2020/1
①②


①②

①②

①②

 



①②

①②

②③
2020/12
①②


①②

①②

①②
操作国
①③
操作国
①②

①②

②③

①②
2021/4
①②


①②
操作国非認定
①②
操作国非認定
①③

①②
操作国非認定
①②

①②

②③

①②

①②
2021/12
①②

①②

①②
操作国非認定
①②

①③

①③

操作国非認定
①②

①②

②③

①②

①②
2022/6
①②


①②

①②

①②
操作国非認定



①②

②③


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