Gazprom、ドイツ向けの天然ガス供給を削減

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ロシア国営 Gazprom は6月14日、天然ガスパイプラインNordstream 1 の供給量を40%減らすと発表した。従来の日量最大1億6700万立方メートルから1億立方メートルになる。

Gazpromは翌15日、さらに33%削減すると発表した。モスクワ時間の16日午前1時半をもって供給量は最大6700万立方メートルになるとし、「エンジンの技術的な状態」のためガスタービンの運転を停止すると説明した。

ドイツ重電大手Siemens Energyなどによると、パイプライン内のガス圧力を高めるために使われるガスタービン(aeroderivative gas turbine) 1基をカナダで修理したが、カナダ政府の制裁措置によってGazpromに提供できなくなったという。Siemens Energyではドイツとカナダ政府に事態を連絡し、解決策を協議していると発表した。

しかし、15日の発表を受け、ドイツの副首相兼経済・気候保護相は、「政治的な決定であり、技術的に正当な解決策ではない」と非難、修理の必要性は認識しているとしながらも、関連作業は秋まで行われない予定だと指摘し、この削減規模は正当化できないと述べた。

仮にNordstream 1の問題であれば、他のパイプラインでの増量が可能だが、それは行なっていない。

ドイツのウクライナ支援への報復とか、価格を更に引き上げるためとかの理由が噂されている。

現在は暖房が必要でなく、今夏を乗り越えることが出来るが、冬に備えて備蓄を開始する時期であり、ドイツへの打撃は大きい。


イタリア国営エネルギー会社ENIは6月15日、Gazpromがイタリアへのガス輸出を前日から約15%削減したと明らかにした。削減理由について説明はないという。


ドイツは3月5日、国内初の液化天然ガス(LNG)輸入ターミナル建設を発表した。
ドイツ復興金融公庫(KfW)と大手エネルギー会社RWE、オランダ政府100%出資のガス大手Gasunieが、ドイツ北部のBrunsbüttel市でLNG輸入ターミナルの建設に関する覚書(MoU)を締結した。
出資比率はKfWが50%、Gasunieが40%、RWEが10%でターミナルの運営はGasunieが担当する。

同ターミナルの年間再ガス化能力は80億立方メートルで、ドイツの年間ガス需要約950億立方メートルの8.4%に相当する。


ドイツ政府は5月5日、LNGの輸入拠点となるターミナル建設を北部Wilhelmshavenで始めた。

既存の桟橋を改良し、LNGが貯蔵できる設備を備えた船4隻をリースして洋上に停泊させる。浮体式LNG貯蔵再ガス化設備と呼ばれる大型設備で、海外から到着するタンカーからLNGを船の設備に受け入れ、船上で液体からガスに戻し、陸上のパイプラインを通じて消費地に送る。80億立方メートル程度を供給できるという。

10年契約で、秋までに完成し、RWEが運営する。陸上受け入れ基地機能の代替となる、ドイツ政府は29億4千万ユーロの予算を付ける。

付記

Venture Global LNG とドイツの電力会社EnBWは6月21日、年150万トンのLNGを2026年から20年間にわたって売買する長期契約で合意したと発表した。

Plaquemines LNGから年75万トン、CP2 LNGから75万トンを購入する。

ドイツが米国産LNGの長期購入契約を結ぶのは初めて

2022/2/21 米国で新しいLNGプラントが稼働

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Gazpromはパイプライン経由の天然ガスについてルーブル払いへの切り替えを要求しているが、多くの問題が出ている。

1)ロシアは下図の仕組みを提案した。

ロシア案の仕組みであれば、買い手は契約通りのユーロで支払ったと言え、売り手のGazpromはルーブルで支払いを受けたと言うことができる。

2)ポーランドの国営ガス会社PGNiGは4月26日、ロシア国営Gazpromから天然ガス供給を4月27日から停止するとの通知を受けたと発表した。ブルガリアも同様に4月27日からのガス供給停止を通知された。

3)ウクライナが同国のロシア占領地域経由のパイプラインを停止、ロシア非占領地帯経由パイプラインへの切り替えを要求

2022/5/12 ウクライナ、ロシア産天然ガスの欧州向けパイプラインを一部停止

4)Gazpromは5月12日、ポーランドなどを経由するパイプラインYamal Europeを通じた天然ガスの供給を止めると明らかにした。
  ロシア政府が5月11日に発表した制裁対象に、パイプラインの一部を所有するポーランド企業EuRoPol GAZが含まれていたため。

2022/4/28 ロシア、ポーランドとブルガリアに天然ガス供給停止 

5)Gazpromは、ルーブル払いを拒否したとの理由で、5月31日でオランダのガス会社Gas Terra、デンマークのØrsted、Shell Energy経由のドイツ向けの供給停止を発表した。

 

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ドイツ政府は6月14日、Gazpromの子会社だったGAZPROM Germaniaを長期的に管理下に置き、政府系金融機関が最大100億ユーロを融資する救済策を発表した。
ドイツ政府は「供給の安全性を維持するために今回の措置が必要」としている。

GAZPROM Germaniaはガスの取引、貯蔵、輸送を手掛けており、ロシアのウクライナ侵攻後の4月にGazpromが手放したことを受け、期間限定でドイツ政府の管理下に置かれていた。

Gazpromは4月1日、ドイツ子会社のGAZPROM Germaniaを手放し、独事業などから撤退することを決めた。

Gazprom傘下とみられる企業がGAZPROM Germaniaを買収した上で清算する動きがあったため、独連邦ネットワーク庁が9月30日までの期限付きで同社の議決権を取得した。
資産の処分などは同庁の許可が必要となる。

なお、ロシア政府は5月11日、ドイツ政府の管理下に置かれているGAZPROM Germaniaに対して経済制裁を科したと発表した。同社と、同社の子会社との取引を、ほかの企業などに禁じた。
同社へのガス供給をロシアが停止する可能性もある。

将来的にはEU域内でロシア産のガスを貯蔵することも禁止される可能性があるという。GAZPROM Germaniaは北西部ニーダーザクセン州にある国内最大のガス貯蔵施設を運営している。

今回、エネルギー安全保障法に基づく信託管理へと変更、政府が長期間、管理下に置けるようになる。長期管理に切り替えるのに合わせて企業名を「Securing Energy for Europe」に変更する。

ドイツ政府は4月25日、ロシアによるウクライナ侵攻の影響でエネルギー市況がさらに悪化する場合に備え、エネルギー安全保障法改正案を閣議決定した。

エネルギー供給が危機に瀕したり妨げられたりした際の危機管理の包括的な対策を定めている。具体的には、重要なエネルギーインフラを運営する企業が業務を十分に遂行できなくなり、エネルギーの安定供給が損なわれる恐れがある場合、同企業を一定期間、信託管理下に置くことが可能になる。
また、エネルギー安全保障が他の手段で確保できない場合には、最終手段として、具体的かつ厳密な条件の下で同企業の収用も可能にする。

政府系金融機関の復興金融公庫(KfW)が90億─100億ユーロを融資し、事業継続を支援する。

ドイツ政府は融資について「事業運営とガス供給の維持のみに使い、ロシアには流れない状態になっている」と説明している。

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