Vogtle原子力発電所では、1号機が1987年から、2号機が1989年から商業運転を行っている。米国では30年以上、原子力発電所が新設されてこなかったが、ここに3号機が加わることとなる。
Georgia Power は2023年7月28日、4号機について、原子力委員会(NRC)から103(g)認定を受けたと発表している。
103(g)認定は、新しい発電設備が複合ライセンスおよびNRCの規制に準拠して建設され、運転されることを示すもので、認定後は燃料装填や試験運転が可能となる。
4号機の運転開始時期は2023年第4四半期後半から2024年第1四半期を予定しており、今後、燃料装荷の最終準備を行い、その後、数カ月間にわたる起動試験と試験運転が行われる。
Georgia Powerは声明で「Vogtle 3号機は今後60~80年間、顧客にクリーンで信頼性の高いエネルギーを届ける」と強調した。
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1979年のスリーマイル島での原発事故、1986年のチェルノブイリでの原発事故を受けて、アメリカの原子力産業は停止状態になってい た。
スリーマイル島での原発事故以降で運転開始したものは次の通り。
1)スリーマイル事故以前に建設が開始されたもの
1996年にテネシー川流域開発公社(TVA)のWatts Bar 原発1号機(1,121MW)が運転開始した。
その後、2007年10月にWatts Bar 原発2号機の建設が再開され、同機(1,218MW)は2016年10月に商業運転を開始した。
いずれもウェスティングハウス製の加圧水型原子炉(PWR)で、1970年代に建設が開始していたため、第2世代の原子炉である。
Watts Bar 2号機は1973年に建設認可を得たが、79年のスリーマイル島原発事故の影響で85年に建設を中断、2007年に建設再開に乗り出し、完成にこぎ着けた。
2015/10/31 米国、19年ぶり原発稼働認可
2)1979年のスリーマイル島原発事故後、米国で新規着工したもの
今回のVogtle原発3号機の稼働が初めて のもの。4号機の運転開始時期は2023年第4四半期後半から2024年第1四半期を予定している。
安全性を高めたWestinghouse製の「革新軽水炉」(AP1000)としても米国初の稼働となる。
事故や災害で原子炉が停止した場合でも、運転員の操作や電源なしに重力による水の落下で自動的に冷却できる仕組みを持つ。
東芝傘下のWestinghouseは4基の原発を受注していた。
Vogtle 3、4号機(ジョージア州) Southern電力
V.C. Summer 2、3号機(サウスカロライナ州)South Carolina Electric & Gas 及びSantee Cooper
しかし、米国ではスリーマイル島事故後、原発の建設工事が途絶えたことから熟練の作業員が不足。工期が大幅に延びた結果、建設費も増えた。
Westinghouseが米連邦破産法11条を申請したのに伴い、2017年に東芝が親会社保証として 両電力に対し計6561億円(当時のレート)を補償することが決まった。
Vogtle 3、4号機 3,680百万ドル 4,129億円 V.C. Summer 2、3号機 2,168百万ドル 2,432億円 合計 5,848百万ドル 6,561億円
South Carolina Electric & Gasは2017年7月31日、V.C. Summer 2、3号機の建設を断念すると発表した。完成を目指せば追加コストが膨らみすぎること、税額控除制度の延長が不明なこと等を勘案して決定した。
South Carolina Electric & Gas(60%出資)は事業継続も考えたが、共同事業者のSantee Cooper (40%出資)が撤退を決めたため、断念した。
既に90億ドルを投じているが、工事は40%以下しか進んでいない。3年以上遅れる見通しとなり、建設費も250億ドル以上と、当初の115億ドルの予想から2倍以上となる。
South Carolina Electric & Gasは、解体などにかかる費用約49億ドル (同社持ち分)を考慮しても現時点で建設中止したほうが、株主や顧客などにとってダメージは少ないと判断したという。
2017/7/31 東芝、米原発の保証債務 6561億円で確定
東芝は2018年1月18日、元子会社のWestinghouse(WH)関連の株式と債権の売却が決まったと発表した。
2018/1/19 東芝、Westinghouse関連の株式と債権を売却
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