石原産業のフェロシルト不法投棄事件の株主訴訟が和解

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石原産業が有害物質を含む産業廃棄物をフェロシルトの商品名で販売した事件に関し、株主3人が旧経営陣らに撤去費用など489億円を同社に賠償するよう求めた株主代表訴訟の控訴審が5月20日、大阪高裁で和解した。

和解内容は公表されておらず、石原産業も和解したという事実だけを発表している。
新聞報道はまちまちである。

・元取締役とその遺族計13人が計5千万円余りの和解金を同社に支払う。

・元取締役9人が和解金5千万円余りを会社に支払う。
       元四日市工場長の3人が取締役としてのコンプライアンス上の不備を認めて相当額を、
       残る6人は所有する同社株の売却代金を支払うという。

・株主側の弁護団は「当時の役員9人が合わせて数千万円を石原産業に支払う」としている。

・元取締役9人があわせて5000万円から1億円を和解金として会社に支払うことで合意した。

一審の大阪地裁では請求棄却となった元取締役17人の一部も和解金を払うこととなる。

石原産業によると、フェロシルトを含む土壌は現在、9割以上回収が進んでいるという。

同社では、「改めて全社を挙げ、より一層のコンプライアンスの徹底を図り、引き続き実効あるコンプライアンス体制の維持・強化に取り組んでまいります」としている。

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石原産業四日市工場では硫酸法と塩素法で酸化チタンの生産をしているが、1997年に硫酸法の廃棄物の減量化と酸化チタンの製造コストの低減をはかるため、製造工程から副生する使用済み硫酸を再生利用して副生品を生産・販売する研究開発に着手した。

2001年から土壌埋戻材を「フェロシルト」と命名して販売を開始し、2003年には三重県リサイクル製品利用推進条例に基づく「リサイクル製品」に認定された。

2005年4月までの間に約77万トンのフェロシルトを生産、そのうち約72万トンが販売され、委託業者を通じて東海3県や京都府加茂町など35カ所に埋設された。業者がケナフを植えるための肥料と偽って埋め捨てたケースもある。

2004年11月、大雨によって愛知県北丘地区でフェロシルトが流出し、川の水を赤く染めるという事件が発生した。
サンプル検査の過程でフェロシルト中から基準値を超える6価クロムやフッ素化合物も含まれていることが分かった。

石原産業は2006年3月決算で、フェロシルト回収費用326億円を特別損失に計上した。(2007年3月期には189億円、2008年3月期には87億円を追加計上)
同社は廃棄物処理法違反(不法投棄)の罪で罰金5000万円の支払いを命じられている。

「フェロシルト」の不法投棄事件で、廃棄物処理法違反(不法投棄)の罪に問われ、1審・津地裁で懲役2年の実刑判決を受けた同社四日市工場の元副工場長、佐藤驍被告の控訴審判決(2007/12)で、名古屋高裁は「不法投棄や隠ぺい工作の中心的な役割を担っていたと認められる」と1審判決を支持し、佐藤被告の控訴を棄却した。

2006/11/13 石原産業フェロシルト不法投棄事件

佐藤元取締役は、四日市工場の元副工場長で、フェロシルトの開発から製造、投棄までの責任者だった。

会社側は、同氏がフェロシルトが有害物を含む産業廃棄物と知りながら、その事実を隠して販売、処理し、同社に撤去・回収の費用負担を負わせたとしている。

佐藤被告は控訴審で、「不法投棄は会社ぐるみで、やめるのは非常に困難だった」とし、「上司の指示に従ったというよりも自己の立場から判断して犯行の中核を担った」とした一審判決の事実誤認を主張していた。

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この事件で2007年2月、フェロシルト問題を追及してきた市民団体「ダイオキシン処分場問題愛知ネットワーク」代表など、環境問題に取り組んでいる市民で、同社の株主となった3人が石原産業宛に取締役の責任を追及する訴訟を提起するよう請求した。

これに対して、石原産業の監査役は、刑事事件の被告人となった佐藤驍に対してのみ、10億円の賠償を求める訴訟を提起した。

しかし、3人は、これは社長をはじめとする他の取締役の責任を免罪にするものであり、しかも請求金額は、撤去費用のごく一部にすぎない等、取締役の責任追及としては、きわめて不十分なものであ るとして、関係する23人の取締役全員の責任を追及する訴訟の提起に踏み切った。
  ①
佐藤驍に対し、489億円、②他の取締役全員に対し、489億円

大阪地裁では会社からの訴訟と株主代表訴訟が合わせて審議され、2012年6月29日、これらに対する判決があった。

訴訟 対象 被告 請求額 判決
会社 撤去回収費用  佐藤元副工場長 10億円 10億円
代表
訴訟
善管注意義務違反による損害 佐藤元副工場長 489億円 475億8400万円
他の取締役 489億円 元社長←
 工場長
254億5050万円
元工場長
(故人)遺族3人
101億8020万円
(元社長と連帯、相続財産範囲)
他の17人 請求棄却


裁判長は、フェロシルトに有害物質が含まれていることを認識しながら、出荷を続けた佐藤元副工場長に損害の根本原因があると指摘。回収費用として生じた約486億円のうち、ほぼ全額の賠償責任があると判断した。

また、直属の上司だった元社長と死亡した元工場長(遺族3人が訴訟継承)についても「適切に開発、出荷されているかの調査や確認を怠った」と述べ、元社長については損害額の5割、元工場長には2割を限度に賠償責任を負うとした。

石原産業ではこの損害賠償金額の受領の可能性は未だ不確定であるとして、業績に与える影響を見込んでいなかった。

この判決に対し、佐藤元副工場長は控訴せずに確定、他の元役員の責任を巡り、双方が控訴して争っていたと報道されていた。

ーーー

本事件では上記判決以降、会社側が何も明らかにせず、不明な点が多い。

・佐藤元副工場長は控訴せずに確定とされるが、判決の金額をいくらかでも回収しているのか?

佐藤元副工場長は控訴審の判決前に、反省の意味を表すものとして、三重県弁護士会に2000万円の贖罪寄付を行っており、また、退職慰労金8100万円は不支給になっているため、財産はないと思われる。

・実際の和解金はいくらか?

・他の元取締役の和解金は一審の判決金額(元社長で254億円)と比べ低過ぎる。
 原告の株主側(一審で勝訴したのに控訴した)がどのように判断したのか?

光ファイバーケーブルと自動車用ワイヤーハーネスの2件の価格カルテルで課徴金合計88億円を支払った住友電工の場合、経営陣側計22人が解決金5億2000万円を支払うことなどを条件に大阪地裁で和解が成立した。
その他の例でも、損害額に対する和解金の割合は今回よりもはるかに大きい。

2014/5/9 住友電工の株主代表訴訟が和解

仮に和解金を1億円としても、会社が支払った罰金相当額5000万円は超えるものの、回収費用などは全く賄えず、1人あたりではごく少額である。
佐藤元副工場長が控訴せず、判決が確定したとされるが、支払い能力がないと思われ
、回収できていない筈。

佐藤元副工場長との差が大きすぎる。
1審では元社長には佐藤副工場長の約1/2、元工場長には約1/5の支払いを命じている。

元副工場長の払われなかった退職慰労金は8100万円とされる。
元社長などは全て(恐らくこれ以上の)退職慰労金を受け取っており、支払い能力に問題はないと思われる。




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