AIIBへの参加ひろがる

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アジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設準備の了解覚書が2014年10月24日に22カ国により調印された。
(うち、インドネシアの実際の調印は11月25日となった)

その後、参加が続き、2015年3月初めには27カ国となった。

3月12日に英国が参加、仏、独、伊が続き、現時点では欧州では合計7カ国が参加した。

2015/3/16 英国、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加

香港も参加した。香港は「一国二制度」が適用されており、アジア開発銀行(ADB)などの国際機関に中国とは別に加入している。

中国と米国の板ばさみとなっていた韓国は3月26日、AIIBへの参加を決定し、中国に通知した。

韓国政府は以下の発表を行った。

アジア開発銀行(ADB) の調査によると、アジア地域のインフラ施設投資需要は2020年まで毎年、7300億ドルに達するとされています。しかし世界銀行、ADBなど既存の多国間開発銀行のこの地域に対する投資資金供給は、これに全く及ばないという実情です。

従ってAIIBは、既存の他国開発銀行との相互補完関係の中にこの地域の不足した投資資金供給に力を注ぐことによって地域経済発展を先導し、地域内国家間の経済金融協力関係を強化するという趣旨で設立が推進されています。

AIIBが今後、本格的に運営される場合、アジア地域に大型インフラ建設市場が開かれると予想されています。このような状況で韓国のAIIB参加決定により、建設・通信・交通などのインフラ事業に多くの経験を持つ韓国企業の事業参加が拡大されます。

これまで政府は、AIIBの支配構造やセーフガードなど国際的水準によって設計されなければならないという意見を主な友好国と共に積極的に表明しながら、中国側に設立案改善を継続的に要求してきました。最近、これに関して相当の進展がありました。

政府は今後も主な友好国と緊密に協力しながら、AIIBが責任性・透明性・支配構造・負債の持続可能性などで既存の多国間開発銀行に合った高い水準の模範的基準を持てるようにすることによって、経済の発展に寄与するよう積極的な努力をしていくつもりです。

トルコも3月26日に参加を決定した。

トルコの副首相は訪日中の3月16日「トルコは、AIIBに参加する意向はない」と語 っていた。

オーストラリアのアボット首相は3月25日、組織運営の透明性などを条件に「豪州もぜひ参加したい」と述べた。参加に向け、オバマ米大統領や安倍首相らと協議を重ねていることも明らかにした。

現在の参加国は下記の通りで、37カ国・地域となった。

    アジア 中央アジア 中近東 欧州 オセアニア
1 2014/10/24
 
中国 カザフスタン、
ウズベキスタン
クウェート、
オマーン、
カタール
   
モンゴル        
(ASEAN) ミャンマー、
ラオス、タイ、ベトナム、
カンボジャ、マレーシア、
シンガポール、
フィリピン、ブルネイ
       
インド、スリランカ、
パキスタン、バングラデシュ、ネパール
       
22 2014/11/25 (ASEAN) インドネシア        
25 2014/11/28   タジキスタン サウジアラビア   ニュージーランド
26 2014/12/31 モルディブ        
27 2015/2/7     ヨルダン    
28 2015/3/12       英国  
31 2015/3/17       フランス、ドイツ、イタリー  
32 2015/3/18       ルクセンブルグ  
33 2015/3/20       スイス  
34 2015/3/23 香港特別区        
35 2015/3/24       オーストリア  
37 2015/3/26 韓国   トルコ    
37カ国・地域 20カ国・地域 3カ国 6カ国 7カ国 1カ国



付記


中国財政省は3月28日、ブラジル、オランダ、グルジアがAIIBに参加申請したと発表した。
ロシアのイーゴリ・シュワロフ第一副首相はボアオ・アジアフォーラムで、プーチン大統領の認可を受け、ロシアはAIIBへの参加を表明すると発表した。
デンマークは3月28日、参加を正式表明し、中国側に書面を提出した。

オーストラリアのアボット首相は3月29日、参加方針を正式表明した。

中国財政省は3月30日、エジプトとフィンランドが参加を決めたと発表した。

中国財政省は3月31日、キルギスとスウェーデンが参加申請したと発表した。
 
 合計47カ国・地域となった。


ーーー

中国の楼継偉財政相とアジア開発銀行 (ADB)の中尾武彦総裁は3月22日、北京市内で開かれた経済フォーラムにそろって出席した。

中尾総裁は会場からの質問に答える形で「アジアには非常に大きなインフラ需要があり、ADBとAIIBは協力が可能だ」と強調した。そのうえで「環境への影響を少なくするように、AIIBは(融資審査などの)国際的な基準を守る必要がある」とくぎを刺した。ADB自身も融資能力を高めるために改革を進めていると説明した。

これに対し、楼財政相は「先進国のルールが最良とは思わない」と述べ、ADBなどを「官僚主義で(融資などの)手続きが煩雑だ」と批判し、「AIIBは途上国が主導する機関で、彼らの要求を考慮する必要がある」と主張した。理事会を常設しないなど、意思決定を迅速にする独自の体制を築く構え とされる。

AIIBの初代総裁に就く見通しの金立群・元中国財政次官も講演し「世界銀行やADBを補完するものであり、取って代わるものではない。現行の国際金融秩序を推進するものであり、転覆を狙うものではない」と訴えた。

ーーー

安倍首相は3月20日の参院予算委員会で、AIIBへの日本政府の関与について「慎重に検討していく必要がある」と述べた。
AIIBの課題として「公正なガバナンスを確立できるか、そして債務の持続可能性を無視した貸し付けを行うことにより、他の債権者にも損害を与えることにならないか」と指摘した。

政府内の一部からは参加を求める声もあり、麻生財務相は同日午前の閣議後記者会見で、融資審査の透明性の確保などを条件に「中に入って(参加に向けて)協議になる可能性はある」と発言していた。

経団連の榊原定征会長は3月23日の記者会見で、日本の成長力を高めるには海外のインフラ需要の取り込みが欠かせないと指摘し、「日本企業が競争上不利にならないような対応が必要だ」と述べ、政府内で参加の是非をめぐる議論を急ぐよう求めた。

3月26日の報道では、政府は創設メンバーとなるための期限の3月末までには参加判断を行わない方針を固めた。
日本は、理事会の設置など企業統治のあり方や、融資に関する環境・社会への配慮が不透明として、参加に慎重な姿勢を崩していない。

ーーー

安倍首相はAIIBの課題として「公正なガバナンスを確立できるか 」をあげているが、米国主導の世界銀行、IMFも問題を抱えている。

ルー米財務長官は3月18日、議会での証言で、国際通貨基金(IMF)の改革を議会が承認しないことは戦略的に危険で、中国が主導するアジアインフラ銀行創設といった問題で米国の影響力が低下するとの懸念を示した。改革案の米議会での批准が遅れていることで、新興国の間でIMF以外の機関から資金を調達する傾向が出ているとの認識を示した。

米国が承認を遅らせていることで、他国は国際機関に対する米国の姿勢を疑問視していると指摘。IMFの改革を議会が承認しないことは「戦略的に危険で間違いだ」と述べた。

IMFは2010年に、新興国の出資比率を引き上げ、理事会への登用を増やす「IMF改革」に合意した。
改革案が実現すれば、IMFへの出資比率で米国、日本に続く第3位に中国が浮上、更に上位10カ国にインド、ロシア、ブラジルが入り、新興国の発言力が増す。

IMFへの出資比率 (%)
現状   改革後
米国 17.67 米国 17.41
日本 6.56 日本 6.46
ドイツ 6.11 中国 6.39
英国 4.51 ドイツ 5.59
フランス 4.51 英国 4.23
中国 4.00 フランス 4.23
イタリア 3.31 イタリア 3.16
サウジ 2.93 インド 2.75
カナダ 2.67 ロシア 2.71
ロシア 2.50 ブラジル 2.32

しかし、米国では議会の賛成が得られず、批准されていない。

重要事項の議決には投票権で85%以上の賛成が必要で、唯一15%超の比率を持つ米国が事実上の拒否権 を行使している。

BRICS (ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の第6回首脳会議が2014年7月15日、新興国や途上国の社会基盤整備支援を目的としたNew Development Bankと、5カ国が金融危機の際に資金を融通しあう外貨準備基金(BRICS Contingent Reserve Arrangement)の設立に合意する「Fortaleza Declaration and Action Plan」に署名した。

この宣言でも「2010年に採択されたIMF改革案が実行されないことに失望し、深刻な懸念を持っている。これはIMFの正当性、信用性、有効性を傷つけている」と厳しく批判した。
世銀に対しても、もっと民主的な運営を求めている。

2014/7/23 BRICS開発銀行 設立へ    

 

 

 

 

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