米国の石油精製産業のストライキの状況

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全米鉄鋼労組(USW:United Steelworkers) の石油精製産業の労働者が35年目に初めてのストライキを始めた。

全国水準の団体交渉は3年ごとに行われる。3万人のうち多くの労働契約は1月31日付で終了した。

石油労働者を代表する鉄鋼労組と、エネルギー業界を代表するShellは、1月21日から賃金と作業場の安全条件などをめぐる交渉を行ったが、意見の相違を狭められなかった。

労組側は、賃上げの他にも超過労働、不安定な労働条件、火災や化学ガス放出と漏出、爆発などの危険な作業場の安全要件、労組弾圧、非組合員の契約職拡大などの問題の改善の要求をしている。

2月1日正午から9つの工場でストライキに突入、2月8日に更に2工場が参加し、その後更に、Shell とSaudi Aramco のJVのMotivaの3製油所とShell のNorcoの石化工場が参加し、合計15工場となった。

これ以外の工場では、旧労働協約を1日ごとに延長して操業を続ける。

2015/2/17    米国で石油精製産業のストライキ


参加工場は下記の通り。

    製油所 その他
Shell Deer Park, Texas Chemical
Norco, Louisiana   Chemical
Motiva
 (
Shell / Aramco)
Norco, Louisiana  
Port Arthur, Texas  
Convent, Louisiana  
Tesoro Anacortes, Washington  
Martinez, California  
Carson, California  
Marathon Catlettsburg, Kentucky  
Texas City, Texas Co-Generation
BP Whiting, Indiana  
BP-Husky JV Toledo, Ohio  
LyondellBasell Houston, Texas  
合計   12 3


3月12日に暫定合意に達した。

概要は下記の通り。

・これまでより1年長い4年の契約。

・賃上げ:初年度 2.5%、次の2年に各3%、4年度に3.5%

・健康保険:保険金を会社/従業員 80/20で分担

具体的には各工場ごとに組合員の投票で賛否を決め、更に会社側と協定を結ぶこととなる。


この結果、ストに入っていた15工場のうち、下の(黄色表示)の5工場を除き、職場復帰した。

スト中の5工場の状況は以下の通り。

Marathon 交渉中
BP BPとUSWは5月7日にスト終結の仮合意に達した。
職場復帰の契約を結んでから、組合員による賛否の投票を行う。
BP / Husky 交渉中
Lyondell Basell 会社側は "last, best and final" という提案を行ったが、以前の契約にあった残業時の premium pay 条項がなかったため、組合は圧倒的多数でこれを拒否した。

この結果、会社側は新提案を行い、組合側は5月7日、これを受け入れた。 premium pay 条項
はないが、double-time 条項が入ったとされる。

職場復帰契約はまだ締結されていない。

 

 

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