ブリヂストンとCarl Icahn による米国大手自動車用品小売チェーンの買収合戦のその後

| コメント(0)

ブリヂストンは12月12日、さきに買収契約を締結していた米国の大手自動車用品小売チェーン The Pep Boys - Manny, Moe & Jack との間で、買収契約の内容改定を行ったと発表した。

Carl Icahn が、ブリヂストンの買値よりも高い価格での買収提案を行ったのに対し、ブリヂストンがこれに追随したもの。

経緯
10月26日 ブリヂストン、買収契約を締結 1株当たり現金15.00ドル 総額約8億35百万ドル
12月7日 Icahn Enterprises 提案 1株15.50ドル 総額約8億63百万ドル
12月12日 ブリヂストン、買収契約を締結 同上 同上
同額だが、ブリヂストン側は既に独占禁止法など規制面での承認を受けており、金額以外の条件が評価された。


2015/12/17 ブリヂストン、Carl Icahn と米国大手自動車用品小売チェーンの買収合戦 

本ブログは最後に、「ブリヂストン側がIcahn側の提案価格と同額にしたことから、後、Ichan側がさらに価格を上げるかどうか、注目される 」とした。

やはり、Icahn は動いた。

12月18日に、Carl Icahn は買収提案価格を1ドル引き上げ、1株当たり16.50ドルとした。
Pep Boys はブリリヂストンの15.50ドルよりも「優れた提案だ」と評価し、ブリヂストンに12月23日までに対案を出すよう求めた。

Icahnは更に、ブリヂストンの対案が出る前に、新しい提案を行った。
ブリヂストンの提案価格に0.1ドルを上乗せするというもので、上限は18.1ドル (総額では10億8百万ドル)となっている。

しかし、ブリヂストンは12月24日、Pep Boys との間で、買収契約の内容改定を完了した。

株式公開買付け価格を1株当たり現金17.00ドル、株式買収総額で約9億47百万ドルに上げた。
(10/26の当初の契約より1億12百万ドル増、12/12の改定契約より84百万ドル増)

Pep Boysの取締役会は、Icahnから受領した最大で10億8百万ドルの提案はもはや優位な提案とは考えないと発表した。

株式公開買付けは、今後更なる延長がない限り、2016年1月13日に完了する予定。

もし Pep Boysが解約した場合の違約金は39.5百万ドルに変更された。(当初は35百万ドル)

米紙によると、Icahan はインタビューで、「全ての株主の価値が大いに高まったことはうれしい」と述べた上で、Pep Boysの株価はまだ過小評価されており同社取締役会は引き上げの好機を逃したと指摘し、「われわれが17ドルより高い金額を提示する意欲があったことを知りながらの取締役会の行動は理解できない」と付け加えた。

Pep Boysの株価は12月24日のニューヨーク市場で17.51ドルで終了、取引終了後にブリヂストンの提案が行われた。

付記

Carl Icahn は12月28日、1株当たりの買収提案金額を従来より2ドル引き上げて18.5ドルにすると発表した。
ブリヂストンの直近の提案額の1株17ドルを上回った。
また自らの前回の提案の「上限18.1ドル」を上回っており、今後も上積みしていく用意があると表明した。

Icahn の再提案を受け、Pep Boysは同日、Icahnの提案が優位となったとの意見を表明した。
12月31日午後5時を期限に新たな提案を受け付ける。

コメントする

月別 アーカイブ