主要企業の2018年3月決算 ー 信越化学

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純利益が前期比51%増の2662億円となり、10年ぶりに過去最高を更新した。

塩化ビニル樹脂や半導体シリコンウエハーなどの値上げが進み、採算性が改善した。

米国の法人税引き下げに伴い、Shintechの税金費用が一時的に約300億円減ったことも純利益を押し上げた。

Shintechが100%子会社であることから、連結損益のほとんどが株主帰属損益であり、株主帰属損益では三菱ケミカルを大きく上回る。
(三菱ケミカルHDの2月6日発表の予想では、当期損益は2660億円だが、株主帰属損益は2000億円)

単位:億円 (配当:円)

  売上高 営業損益 経常損益 株主帰属損益

配当

中間 期末
2016/3 12,798 2,085 2,200 1,488 55 55
2017/3 12,374 2,386 2,421 1,759 60 60
2018/3 14,414 3,368 3,403 2,662 65 75
前年比 2,040 982 982 903 5 15
2019/3予

未定


年間配当は20円増の140円とし、3期連続で増配する。

営業損益は下記の通り。


営業損益推移 (
単位:億円)

セグメント  16/3 17/3 18/3 増減
塩ビ・化成品 447 532 932 401 Shintechがフル操業を継続、日本と欧州も好調
世界能力 PVC 415万トン、NaOH 166万トン
米国エチレン(50万トン)は2018年末完成予定
シリコーン 415 425 520 94 全分野・用途で需要伸長
機能性化学品 182 222 257 35 セルロース誘導体は、医薬用製品、建材用製品及び塗料用製品が底堅く推移、フェロモン製品やポバール製品ほかも総じて堅調な仕上がり
半導体シリコン 469 560 930 370 旺盛な半導体デバイス需要に対応、製品価格も修正
電子・機能材料 515 552 616 64 希土類磁石、フォトレジスト製品、等々、いずれも好調
その他 56 96 115 19  
全社 1 -1 -2 -0  
合計 2,085 2,386 3,368 982  



Shintech の能力は次のとおりとなる(単位:万トン)

立地 PVC VCM カ性ソーダ エチレン
Texas州 Freeport  145   -   -  
Louisiana州 Addis   58   -   -  
Plaquemine   60   160  106  
 今回増設 32 30 20 50
合計  295  190   126 50


増設分はエチレン以外は2016年度に既に稼働している。
エチレンは2018年初めの完成予定であったが、
地盤の問題で杭工事の手直しが相当量発生し、2018年末完成予定となった。
(東洋エンジはこれによる同社のコスト増負担を266億円と発表した。)

2014/4/17 Shintech、米国でエチレン工場の建設許可を申請

2017/5/24 東洋エンジニアリングの決算 米国エチレンプロジェクトで損失

今期はShintechの業績を発表していない。

信越の塩ビ・化成品の営業損益は前年比401億円の増益としており、かなりの部分がShintechと思われる。
更に、米国の法人税引き下げに伴い、税金費用が一時的に約300億円減ったことも純利益を大きく押し上げた。

2018年度では、税金減の影響は無くなるが、エチレン自製の効果が出る。

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