Xerox、株主との和解を撤回、現取締役会メンバー全員が留任 

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Xeroxは5月3日、株主との和解を撤回したと発表した。


Xeroxは5月1日、富士フィルムによる買収提案を見直すと発表した。4月27日の裁判所による
買収手続きの一時停止を命じる仮処分を受け、同案に反対している大株主のCarl Icahn、Darwin Deason と和解した。

Carl Icahn、Darwin Deasonが提案する6人の取締役候補を受け入れ、Robert J. Keegan会長、Jeff Jacobson CEO ら現在の取締役7人が辞任する。

新たな取締役会は直ちに、富士フィルムとの関係を終了したり、再編することを含め、株主価値を最大にする戦略的代替案の検討を開始するとしている。

2018/5/2 Xerox、富士フィルムとの統合見直し、株主のCarl Icahn、Darwin Deason と和解  


5月1日のXeroxによる株主との和解を受け、富士フイルムHDは 5月2日、Xeroxが大株主と合意した和解に対し異議を申し立てた。

これを受け、 裁判所は5月3日聴聞を開いたが、和解案の発表から時間が無く、関係者の意見が出そろっていないと指摘。関係各者に書面で改めて意見を提出するよう求めた。決着までにはなお時間がかかる見通し。

今回の発表によると、上記の和解は、裁判所が承認し、その上で株主のDarwin DeasonがXeroxを相手取った訴訟を取り下げることを条件としていたが、 裁判所が承認を保留したため、5月3日午後8時の期限までに取り下げられず、失効した。

この結果、Robert J. Keegan会長、Jeff Jacobson CEO ら現在の取締役会と経営陣は留任する。引き続き財務と事業の改善に注力するとしている。

付記

Xerox は5月4日、裁判所が4月27日に下した買収手続きの差し止め命令に対し、異議申し立てをしたと発表した。
「差し止め命令はニューヨークの法律に反する。買収提案を認めるかどうかは裁判所ではなく、Xerox の株主が決めるものだ」と主張し、裁判所による差し止めの無効を訴えた。

富士フィルムホールディングスも同日、異議申し立てをした。

付記

米ニューヨーク州の裁判所は、上訴の審理を9月から始めると決めた。
審理までは差し止め命令が継続されるため、富士フイルムはゼロックスと買収手続きを進められない。

付記

Xeroxは5月9日、株主へのレターを発表した。

これまでの経緯を説明、裁判所からは富士フィルムと代替案の交渉をすることは出来るとの説明を受けており、富士フィルムと交渉するとしている。

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Xeroxが株主との和解を取り消しても、裁判所が4月27日に出した、Xeroxに対して買収手続きの一時停止を命じる仮処分は生きている。

株主に不利益が生じるのを防ぐため、企業側の買収手続きを暫定的に差し止めるもので、Xeroxは株主が満足する買収条件に変更するか、30日以内に上訴して命令取り消しを勝ち取る必要がある。

判事はまた、Xeroxが取締役候補の指名を制限するのを止めさせることを求めた要望を承認した。IcahnとDeasonは6月と想定される次の株主総会で取締役候補を指名できる。

2018/4/30 富士フイルムの Xerox買収、NYの裁判所が差し止め仮処分 

和解を取り消したことで、大株主のCarl Icahn、Darwin Deasonとの関係は悪化する。

上訴しても、命令取り消しを勝ち取れるかどうか疑問であり、仮に命令取り消しを勝ち取ったとしても、双方の取締役候補についての取締役選任、富士フィルムによるXerox買収契約の承認を巡り、委任状争奪戦になる可能性がある。

 

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