Xeroxは5月1日、富士フィルムによる買収提案を見直すと発表した。4月27日の裁判所による買収手続きの一時停止を命じる仮処分を受け、同案に反対している大株主のCarl Icahn、Darwin Deason と和解した。
2018/4/30 富士フイルムの Xerox買収、NYの裁判所が差し止め仮処分
Carl Icahn、Darwin Deasonが提案する6人の取締役候補を受け入れ、Robert J. Keegan会長、Jeff Jacobson CEO ら現在の取締役7人が辞任する。
Jacobson CEOを「ならず者経営者」と呼んだCheryl Krongard を含む 3人は留任する。
新任の取締役のうち、Icahn EnterprisesのCEOのKeith Cozzaが会長に、John Visentin(Senior Advisor to the Chairman of Exela Technologies )が副会長兼CEOに就任する。
新たな取締役会は直ちに、富士フィルムとの関係を終了したり、再編することを含め、株主価値を最大にする戦略的代替案の検討を開始するとしている。
富士フイルムは「Xerox旧経営陣と合意した買収計画の実行を新たな経営陣にも求めていく」とコメントした。「今回の和解を想定していなかった」としており、今後対応策を検討するとみられる。
富士フィルムは、4月27日の判決について、「意外な判決に驚いている。精査して、上訴を含め適切な手段をとっていく」と述べていたが、Xeroxが株主との和解に踏み切り、新たな取締役会がIcahn主導となったため、富士フィルムの買収案がこのまま通る可能性はなくなった。
付記
富士フイルムHDは 5月2日、Xeroxが大株主と合意した和解に対し異議を申し立てた。
米裁判所は4月27日、買収手続きの一時差し止めを命じたが、大株主とXeroxが和解したことで、Xeroxのみ一時差し止めが解除されることになり、同社は他社との交渉を進められることになる。
富士は自社だけ差し止めが続くことを不服としており、認められなければ上訴する。
裁判所は5月3日、和解案の発表から時間が無く、関係者の意見が出そろっていないと指摘。関係各者に書面で改めて意見を提出するよう求めた。決着までにはなお時間がかかる見通し。
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