米副大統領「中国は内政干渉」と非難、南シナ海の海洋進出もけん制

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ペンス米副大統領は10月4日、11月の米中間選挙を控え、中国が政権交代をもくろみ、あらゆる手段を講じて米国に内政干渉していると非難した。また中国は南シナ海で無謀な行動を取っているとし、同海域での海洋進出の動きをけん制した。

副大統領は米シンクタンク、Hudson Instituteでの講演で「中国は政府全体で政治・経済・軍事的手段およびプロパガンダを駆使し、米国内で自国の影響力を強め、利益を得ようとしている」と言明。「さらに、これまで以上に積極的にこうした動きを強め、米国の政策や政治に影響力を及ぼし、干渉しようとしている」と批判した。

内容は以下の通りで、強烈である。

過去2年間、大統領は習近平首席と強い個人的関係を築いてきた。二人は核問題や北朝鮮問題など共通の関心事で協力してきた。

しかし、中国は政府をあげて、政治的、経済的、軍事的手段、プロパガンダを使って、米国での影響を強め、利益を増やそうとしている。

中国はまた、これまでより強力に、米国の国内政策や政治に干渉している。

過去17年で中国のGDPは9倍になり、世界第二の経済になった。
多くは米国の中国投資によるが、同時に中国は、自由でフェアな貿易に反する行動をとってきた。関税や、割当、通貨操作、技術移転の強制、知財の盗み、補助金、等々である。これらが中国の製造基盤となったが、相手国、特に米国の犠牲によるものだ。

中国の行動の結果、米国の昨年の3750億ドルもの対中貿易赤字となった。これは米国の貿易赤字の半分にもなる。

現在、中国は、「製造2025」計画を通じて、世界の最も先進的な技術、ロボット、バイオ、AIなどで90%を支配しようとしている。21世紀の世界経済を支配するため、どんな手段を使っても、米国の知的財産を取得するよう、官僚や企業に指令している。

米国の企業が中国で仕事をすることの見返りに企業秘密を渡すことを求めている。また、米国企業の成果を取得するため、米国企業の買収を進めている。最もひどいのは、中国の治安当局は先端軍事技術を使い、米国の技術の大規模窃盗を図っている。

中国は多額の軍事予算を使い、米国を西太平洋から追い出そうとしている。

尖閣諸島の近くを定期的にパトロールしており、南シナ海では人工島の軍事基地に対船・対空ミサイルを配置している。

今週には、米の駆逐艦 Decatur が南シナ海で航海の自由作戦を実施中に中国海軍が45ヤードにまで近寄ったため、衝突回避措置を取らざるを得なかった。しかし我々は、国際法で許される限り、飛行や航海を続ける。

米国は経済自由化で中国が米国や世界の偉大なパートナーになると思ったが、経済侵略を選び、軍事強化した。

中国が国民の自由拡大に動くと思ったが、逆で、自国民のコントロール、圧迫に Uターンした。例のない監視国家になった。

信仰の自由に関しても、中国のキリスト教、仏教、イスラム教を圧迫している。

中国は「借金外交」で影響力を広めている。アジア・アフリカから欧州、さらにはラテンアメリカにまで多額の融資を行い、その利益は圧倒的に中国に流れるようにしている。スリランカは借金が返せず、港を取り上げられた。間もなく中国の軍港となる。ベネズエラにも手を出した。

昨年だけでもラテンアメリカの3カ国に台湾と手を切るよう求めた。これは台湾海峡の安全を損なうこととなる。

これらはほんの例に過ぎない。

オバマ政権はこれを黙認していたが、現政権は異なる。強化した米国の力で権益を守る。

米国は最強の軍事力を持つ。核戦力も強化した。最先端の戦闘機、爆撃機を持つ。宇宙軍も創設する。サイバーの世界でも能力を強化し、敵対勢力に対抗する。

大統領の指令で、2500億ドルの中国製品に追加関税を課した。公正な互恵取引がなされないなら、更に倍増する。

中国の市場を苦しめる意図はないが、中国が公正な互恵貿易に戻るよう、求め続ける。

最もひどいのは、中国は米国民の考え方、2018年の中間選挙、2020年の大統領選挙に影響を与える過去に例のない努力を始めた。トランプ大統領のリーダーシップがうまく機能しているため、異なる大統領が就任することを望んでいる。

情報筋によると、「中国は米国の州や地方政府をターゲットにし、国と地方の分断を図っている。関税などを使い、北京の政治的影響を広めようとしている。」

情報網やプロパガンダを使い、中国のやり方についての米国民の見方を変えようとしている。中国の事業を続けたいという願いを利用し、ビジネスリーダーに米国の貿易政策を非難させている。
中間選挙で影響の大きい地方の製品の関税を引き上げた。Des Moines Register に宣伝を載せ、一般国民に影響を与えようとした。

しかし米国民は騙されない。トランプ大統領の成果であるUSMCA(旧 NAFTA) は米国の農民や製造業者にとって偉大な勝利である。

北京は中国内の米企業のJVの内部に「党組織」をつくることを求めている。台湾やチベット問題でも米企業に圧力をかけている。ハリウッドにも中国を好意的に扱うよう求めている。

中国共産党は米国や世界中に何十億ドルも使ってプロパガンダを行っている。米国のジャーナリストの中国人家族を脅したり、拘留したりしている。
中国人の米国留学生の団体を動かしている。アカデミアに金を出し、中国共産党を守る動きをさせている。

これらの動きはトランプ大統領の"America First" leadership を弱めようとするものだ。

しかし我々の中国へのメッセージは、「大統領は引き下がらない、米国民はゆるぎない、我々は安保と経済のため強くあり続ける」ということだ。

以下略


中国外交部(外務省)の華春瑩報道官は10月5日、米指導者によるいわれなき対中非難について「全く根拠のない、是非を混同したでっち上げだ」と指摘した。

この発言は中国の国内政策と対外政策に対して様々ないわれなき非難を加え、米国の内政と選挙に干渉していると中国を誹謗しており、全く根拠のない、是非を混同したでっち上げだ。中国側は断固として反対する。

中国国民は中国の特色ある社会主義に強い自信を持っている。これが中国の国情に合い、国家の富強と国民の幸福を実現する成功の道であることは、すでに歴史と現実が証明している。

中国の発展は主に中国国民全体の自らの勤勉な努力によるものであり、世界各国との互恵協力のおかげでもあるが、他者から与えられた施しや恵みでは断じてない。中国国民が中国の特色ある社会主義の道に沿って断固として揺るがず歩んで行き、さらに大きな成果を得るのを阻むことは誰にもできない。事実を歪曲しようとする者はみな、頭を無駄遣いするだけだ。

中国は終始変らずに平和的発展の道を歩み、平和共存五原則を基礎に各国との友好協力関係の発展に尽力し、人類運命共同体の構築を後押しする。

中国は他国の利益を犠牲にして自らの発展を図ることは断じてないが、自らの主権、安全、発展上の利益は断固として守る。

米側が中米間の正常な交流・協力を中国側による米国の内政と選挙への干渉と言いなすのは、極めてでたらめだ。中国はかねてから内政不干渉の原則を堅持しており、米国の内政と選挙に干渉することにも全く興味がない。何かというと他国の主権を侵害し、他国の内政に干渉し、他国の利益を損なっているのが一体どの国なのか、国際社会の目にはとうに明らかだ。中国に対するいかなる悪意ある誹謗も徒労だ。

中国の対米政策は一貫した、明確なものだ。われわれは米側と共に努力して、非衝突・非対立、相互尊重、協力・ウィンウィンを実現すべく尽力している。われわれは米側に対して、過ちを正し、いわれなき対中非難・誹謗を止め、中国側の利益と中米関係を損なうことを止め、中米関係の健全で安定した発展を実際の行動で維持するよう促す。

付記

王毅国務委員兼外相は10月8日、訪中したポンペオ米国務長官との会談で「米側に誤った言動をただちにやめるよう要求する」と抗議した。米国が貿易面で中国との緊張を高めているだけでなく「台湾問題で中国の権益を損なう行為をしたり、中国の内外政策に対するいわれのない非難をしたりしている」と強調。こうした米側の行動は「両国民の利益にまったく合致していない」と断じた。

ポンペオ長官は「米中の間には多くの問題で明らかな食い違いがある」とし、南シナ海、人権問題を含めて米中双方が一致しない分野について言及した。
そのうえで「米国は中国の発展に反対しないし、中国を封じ込める考えもない」と強調した。朝鮮半島問題で「中国の一貫した立場と非核化を推進するための重要な努力を称賛する」と述べ、引き続き協力を求めた。

これに対し王氏は「(朝鮮半島問題での)協力には健全で安定した2国間関係の支えが必要になる」と突き放したという。

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