iPS細胞由来軟骨移植による関節軟骨損傷の再生、これを含め年内に5件の移植手術計画

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厚生労働省の作業部会は1月24日、iPS細胞から作った軟骨組織を、膝関節の軟骨を傷めた患者に移植して治療する妻木範行・京都大教授らの臨床研究について、計画の実施を了承した。近く最初の移植手術を行う。

ヒトの関節は、2つの骨が擦り合わさって動いており、骨同士が擦り合わさる部分は関節軟骨で覆われている。関節軟骨は特有の構造を持ち滑らかなため、関節をスムーズに痛み無く動かすことができる。

膝の関節軟骨がけがなどにより損傷した「膝関節軟骨損傷」では、膝を動かしたり歩いたりする際に違和感や痛みをともなう。
関節軟骨には血管が存在せず、損傷しても自然修復が起きにくい
現在は別の関節から軟骨の組織を手術で取り出して移植する治療が行われているが、患者の負担が大きいことが課題になっている。

グループは細胞リプログラミング技術を使って誘導した軟骨細胞から軟骨組織を作り、その軟骨組織を損傷部に移植し、関節軟骨を再生する研究を行ってきた

今回、交通事故やスポーツで膝の軟骨を損傷するなどした20~70歳の患者4人が対象で、iPS細胞を使って直径数ミリの軟骨組織を作り、患部に移植する。1年かけて安全性を確認するほか、周囲に残っている軟骨と一体化し、痛みを緩和できるか確かめる。

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SankeiBiz(2020/1/28)によると、iPS細胞を使った再生医療の臨床研究は年内に5件の移植手術が計画され、対象が大きく拡大する見通し。

加齢黄斑変性(理化学研究所) 2014年 網膜細胞
パーキンソン病(京都大) 2018年 神経細胞 京大がiPS細胞でパーキンソン病治療臨床試験へ
角膜上皮(大阪大) 2019年 角膜細胞
重症心不全(大阪大)虚血性心筋症 2020年 iPS細胞から作製した心筋細胞シートの移植
重症心不全(慶応大)拡張型心筋症 年内予定
網膜色素変性症(神戸アイセンター病院) 下記 1)
脊髄損傷(慶応大) iPS細胞で脊髄損傷治療
再生不良性貧血(京都大) 下記 2)
膝の軟骨損傷(京都大) 本記事


1)神戸アイセンター病院は2019年12月、
「網膜色素変性に対するiPS細胞由来網膜シート移植に関する臨床研究」に関して、大阪大学第一特定認定再生医療等委員会への臨床研究の審査に関する申請を行った。

大日本住友製薬は理化学研究所と連携し、iPS細胞由来網膜の立体組織形成と網膜色素変性治療の実用化に向けた研究開発に取り組んでおり、本臨床研究について、神戸市立神戸アイセンター病院と連携する。

大日本住友製薬は、加齢黄斑変性、パーキンソン病、網膜色素変性、脊髄損傷等を対象に、 他家iPS細胞を用いた再生・細胞医薬事業業を推進している。

2) 京都大学iPS細胞研究所は京都大学医学部附属病院と連携し、「「血小板輸血不応症を合併した再生不良性貧血」患者を対象とするiPS細胞由来血小板の自己輸血に関する臨床研究」を計画してきた。

2018年7月20日に、厚生労働大臣に、本研究に係る再生医療等提供計画を提出した。

再生不良性貧血などで血小板が不足すると、血小板輸血が行われるが、輸血後も血液中の血小板数が上昇せず。血小板輸血不応になる場合がある。その原因の一つに、輸血血小板が異物として認識され、自身の免疫細胞が輸血血小板を破壊することがある。

患者自身の細胞から作製した血小板であれば、自身の免疫細胞に破壊されず輸血の効果が得られると期待できる。


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