杏林製薬、新型コロナ検査装置の実証実験

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杏林製薬は3月17日、遺伝子定量装置「GeneSoC®」を用いて、新型コロナウイルス検査の実証実験を開始すると発表した。医療機関などで検査精度を実証したり、操作性を確認したりし、2020年3月中の利用開始を目指す。

3月10日に「新型コロナウイルス緊急対応策(第2弾)」が閣議決定され、政府が「産業技術総合研究所等が開発したPCR検査の時間短縮を可能とする迅速ウイルス検出機器(GeneSoC)について、医療機関等において検査精度等に関する実証や操作性の確認を行い、3月中の利用開始を目指す」と公表したことを受けて実施する。

GeneSoCは、産業技術総合研究所(産総研)が開発したマイクロ流路型サーマルサイクル技術を用いて15分程度 (前処理時間を除く)と短時間で試料中のターゲット遺伝子を同定することができる、小型の超高速遺伝子定量装置。研究用機器として201911月より販売を開始している

本装置は 、迅速・適確・簡便にヒト・動植物・微生物の遺伝子や微生物が有する薬剤耐性遺伝子等を同定できるため、基礎・臨床研究ならびに感染症をはじめとする各種検査・診断分野への応用が期待されており、現在、医療用機器としての開発もめている。

杏林製薬は、新型コロナウイルスの迅速な検出方法における開発の一環として、本事業に対して全面的に協力する。

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現在国内で使われる「PCR検査」は、DNAをその複製に関与するプライマー等を用いて大量に増幅させる方法で、ごく微量のDNAであっても検出が可能だが、機械にかけて遺伝物質の量を増やさなければならず、結果が出るまでに6時間程度が必要である。

神奈川県衛生研究所と理化学研究所は2月27日、既存のリアルタイムPCR装置をそのまま利用することができ、増幅時間の短縮及びエネルギー消費量の削減が可能なSmartAmp法を開発したと発表した。

これは、PCR のような複雑な温度制御を必要としない。67℃での反応のみのため、大量必要機器小型最適。

2020/2/29 COVID-19 ウイルス、迅速検出

産業技術総合研究所は、2001年に米国で発生した炭疽菌事件をきっかけとして、「迅速」 「小型化」を目指した新規PCR技術の研究を開始した。

このPCR技術の研究は、産総研発ベンチャーである㈱ジェイタスに受け継がれ、マイクロ流路を活用することでサーマルサイクルの迅速化を達成した「GeneSoC®」が開発された。

その後2017年9月に㈱ジェイタスは杏林製薬に吸収合併され、杏林製薬はマイクロ流路型サーマルサイクル技術の多分野での活用に着手した。

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GeneSoCは、マイクロ流路型サーマルサイクル技術に基づき、蛍光標識プローブを用いて核酸増幅をリアルタイムで検出する遺伝子定量装置であ る。(リアルタイムPCR法)


異なる温度帯の複数のヒーターに接したマイクロ流路内で測定試料を繰り返し往復移動させて、温度を素早く変化させる。短時間で核酸を定量できる。


本体と検出ユニットによる構成で、検出ユニットは、最大4台まで増設でき、複数試料の同時検査が可能。また、検出ユニットは独立して制御されるため、測定中であっても別ユニットを用いて別の検査を実行でき る。


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参考

2020/2/29 COVID-19 ウイルス、迅速検出  神奈川県衛生研究所と理化学研究所 SmartAmp法(上記)

2020/2/29 新型コロナウイルスの簡易検査開発へ 大阪大学発バイオベンチャー「ビズジーン」 免疫クロマト法

2020/3/14 クラボウ、15分で判定可能な「新型コロナウイルス抗体検査試薬キット」の販売開始 免疫クロマト法

2020/3/20 塩野義製薬も新型コロナウイルス検査キットを導入へ 免疫クロマト法

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