COVID-19関連の動き

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1週間、ブログを休んでいる間にいろいろの動きがあった。

(ワクチン関連)

Pfizer /BioNTech

Pfizer /BioNTech は11月20日、新型コロナウイルスのmRNA ワクチン BNT162b2 について、米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可(EUA)を申請した。

英医薬品・医療製品規制庁は12月2日、Pfizer / BioNTechのワクチンを承認した。英政府は同ワクチンを4000万回分調達する契約を結んでおり、7日から介護施設の入居者や職員、医療従事者、高齢者などに優先的に接種する。

ワクチンの接種が始まったイギリスで8日、接種した人のうち2人が、激しいアレルギー反応のような症状を示していたことが分かった。高齢者などとともに接種したNHSのスタッフ2人が接種の直後、激しいアレルギー反応である「アナフィラキシー」のような症状を示した。

2人は重篤なアレルギーを抱え、アレルギー症状を緩和するアドレナリン自己注射製剤(EpiPen)を携帯していた。その後、手当てを受けて回復した。

今回の報告を受けて、イギリスの規制当局は医療関係者に対し、これまでワクチンや薬、それに食物で「アナフィラキシー」のような症状が出たことがある人には、このワクチンを接種しないよう予防的な措置としての勧告を出した。

メーカーのPfizer は「規制当局の原因究明に協力していく。4万4千人を対象とした第3段階の臨床試験のデータを検証した外部の委員会からは、これまでのところ深刻な健康への懸念は報告されていない」とコメントしている。

米国FDA12月11日、16歳以上を対象としたCOVID-19に対するmRNAワクチンBNT162b2の緊急使用を許可した。

緊急使用許可(EUA)の状況にあり、両社は追加のデータを収集し、2021年の承認に向けて生物学的製剤承認申請(BLA)をFDAにする準備を進めている。

全米各地で12月14日にワクチンの接種が始まった。感染リスクの高い医療関係者や介護施設の入所者などを優先対象とし、年内に2000万人の接種を目指す。

ファイザーは12月18日、新型コロナウイルス感染症のワクチンを厚生労働省に承認申請した。

欧州医薬品庁(EMA) は12月21日の審査会で承認する予定。 →同日、承認した。

Moderna

Modernaは11月30日、開発中の新型コロナウイルスのワクチンの有効性が94.1%で、健康への重大な影響は認められていないという結果を明らかにするとともに、FDAにワクチンを緊急で使用するための許可(EUA) を申請したと発表した。

3万人でテスト、プラセボでの発症が185人、ワクチン接種では11人・・・(1 - 11/185)x100=94.1%、重症化は30人対0人で100%
感染しても発症していない人はこの統計に入らないため、死角あり。

2020/12/1 Moderna、ワクチンの緊急使用許可申請 

米国FDAの諮問委員会は12月17日、Modernaの新型コロナウイルスワクチンの緊急使用を支持した。感染状況が深刻な米国で2つ目のワクチンが承認される道が開かれた。

FDAの諮問委は17日の会合で、モデルナのワクチンの接種によってもたらされる恩恵がリスクを上回ると判断。採決結果は賛成20、反対ゼロ、棄権1だった。

諮問委の勧告を受け、FDAは18日にも緊急使用許可(EUA)を与える可能性がある。接種は当初、ヘルスケア従事者や長期ケア施設の高齢者が中心となる。 →18日承認。

Pfizerのワクチン-70℃で保存する必要があるが、Modernaのは-20℃であれば、最大6カ月間保管することができるという。

AstraZeneca

AstraZenecaのロシア法人は12月11日、自社ワクチンとロシア製ワクチンを組み合わせた臨床試験を行うと発表した。

相手はモスクワの国立Gamaleya疫学・微生物学研究所が国防省と開発し、8月11日に承認された「Sputnik V」で、同系統である。

2020/8/4 ロシアが新型コロナワクチンの接種を10月に開始 

2種類のワクチンを組み合わせれば、免疫反応が高まる可能性があり、予防効果が向上するか調べる。

developer/manufacturer platform Type
University of Oxford/AstraZeneca Non-Replicating Viral Vector ChAdOx1-S
Gamaleya Research Institute Non-replicating Viral Vector Adeno-based

 付記 

英政府は12月30日、AstraZeneca のワクチンを承認したと発表した。同ワクチンの承認は世界初で、2021年1月4日に接種を始める。
通常の冷蔵庫で保管できるため、途上国も含めた普及が期待される。インドも近く承認する見通し。

付記 中国

中国の国家薬品監督管理局は12月31日、製薬大手、中国医薬集団(シノファーム)傘下の北京生物製品研究所が開発した新型コロナウイルス感染症のワクチンを条件付きで承認したと発表した。
中国国産ワクチンの承認は初めてだが、緊急投与を夏から認めており、既に国内で大規模にこのワクチンを接種している。

シノファームは国外での臨床試験(治験)の最終段階の詳細な最終データはまだ公開しておらず、安全性を懸念する声もあるが、管理局は、安全性に問題はなく、深刻な副反応もないと強調した。

付記 WHO

WHOは12月31日、Pfizer /BioNTech のワクチンの緊急使用を承認した。WHOとして新型コロナのワクチンを承認したのは初めて。



ワクチンには問題も発生した。

Sanofi/GSK

製薬大手の仏Sanofiと英GlaxoSmithKline(GSK)は12月11日、開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、治験の結果、より高齢の被験者の免疫反応が不十分だったことを明らかにした。
実用化は来年後半にずれ込む見通し。

第1/2相試験で「18─49歳の成人については、新型コロナから回復した患者と同様の免疫反応が示されたが、より高齢の人では免疫反応が弱かった」という。今月開始する予定だった第3相試験を当面見合わせ、その代わりに第2b相試験を来年2月に行う。

豪 Queensland Univ / CSL

オーストラリアのモリソン首相は12月11日、同国のバイオテクノロジー企業CSLとクイーンズランド大による新型コロナウイルスのワクチン開発を中止したと発表した。

ワクチン接種後、被験者の一部がエイズウイルス(HIV)検査で、感染していないのに陽性となる「偽陽性」となった。実際の健康被害はない。
「ワクチンは安全で効果も出ていたが、エイズウイルスの反応が出た」ため、このワクチンを接種する場合はエイズウイルスの検査が必要になり、実用化に向かないとしている。

中国医薬集団(Sinopharm)

南米ペルーは12月11日、Sinopharmが開発した新型コロナウイルスワクチンの被験者1人に神経症状がみられたとして、臨床試験(治験)を一時中断したと発表した。

ペルーの国立衛生研究所は被験者1人に腕の動作が困難となる症状が出たことから、治験の中断を決定したと述べた。

「この症状はギラン・バレー症候群と呼ばれる疾患に該当する可能性が考えられる」と明かした。手足の動作に影響を与え、まひなどを引き起こすまれな非伝染性の疾患。
(ペルーでは2019年6月にギラン・バレー症候群が多数報告され、公衆衛生上の緊急事態宣言を5地域に一時的に出していた。)

ペルーでの約1万2000人を対象としたシノファームのワクチン治験は、今週中に完了する予定だった。

Sinopharmのワクチンを接種した人の数は、アルゼンチンやロシア、サウジアラビアでの被験者も含めて世界で6万人に上る。

ギラン・バレー症候群は、1976年に米国で豚インフルエンザのワクチン接種で蔓延し、(関連は確定していないが)ワクチン接種は中止された。米国でワクチン接種反対が多い理由とされる。


1976年2月に豚に由来する豚インフルエンザ患者(軍人)が出現し、24時間以内に死亡した。その頃には、数人の兵士が発症し、入院していた。同じ基地で、無症状ながら感染している兵士が500人以上いると分かり、医師たちは危機感を募らせた。

米国の保健当局は新たな流行を恐れ、予防接種プログラムの承認を求め、フォード大統領は巨額を投じ、実行に移すことを決めた。

1976年10月、集団予防接種が開始された。ところが数週間もたたないうちに、注射の直後にギラン・バレー症候群を発症した人の報告が入り始めた。2カ月足らずで500人が発症し、30人以上が死亡した。危険を冒してまで予防接種を受けたくないという人が増え、12月16日、当局は突然プログラムを中止した。

その後の調査で、豚インフルエンザは1918年のインフルエンザ・ウイルスよりはるかに致死性の低いウイルスだということが分かった。

豚インフルエンザそのものによる死者は一人だけだったが、そのワクチンで(関連は確認されていないが)30人以上が死亡した。


同じSinopharmのワクチンについて、アラブ首長国連邦(UAE)は12月9日、第3相治験で86%の有効性が確認されたと発表した。

接種した人の99%に抗体ができた。また、接種者で新型ウイルス感染症COVID-19の深刻な症状や中程度の症状が出た人はゼロだったという。同国の保健省は、「検証の結果、深刻な安全上の懸念は見当たらない」とした。

UAEの国営メディアは、ワクチンがUAEで「正式に登録された」と報じ た。(「承認」なのかどうか不明)

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英国で変異種ウイルス

英保健相は12月14日、英国で新型コロナウイルスの「変異種」が検出され、この変異種が最近の感染者数急増に関係していると述べた。

英保健相は、ロンドンと、イングランド南部の多くの地域で新型コロナウイルスの感染者数が「急増」しているのを受け、新たに規制を強化すると述べた。

「現在、この変異種による感染が1000件以上、確認されている。おもにイングランド南部で、60近い地方自治体におよんでいる」と述べた。

この変異種が、感染者急増にどの程度関与しているのかはまだわかっておらず、重症化しやすいという証拠も、ワクチンに耐性を持つことを示す証拠も何もない。

新型コロナ被害の男女差

南アフリカのケープタウン大などの国際研究チームは、新型コロナウイルスに感染すると、男性は女性より重症化しやすく、死亡する確率が 1.4倍高いとする分析結果を英科学誌 Nature Communications に発表した。

米英など47か国・地域で今年1〜6月に感染した約310万人分のデータを分析した。
感染者数は男女でほぼ同数になった一方で、集中治療室に運ばれるのは男性が女性より3倍高く、死亡率も39%高かった。こうした傾向は、各国でほぼ共通していた。

チームは「高血圧や肥満などの持病の有無だけでは男女差を十分に説明できない」と指摘。女性の免疫の働きが重症化を防いでいる可能性があるという。

異なる主張もある。

イタリア・パドバ大などの研究チームは5月7日、国際的ながん専門誌Annals of Internal Medicineに、男性ホルモンの影響を発表した。

新型コロナウイルスの感染や症状悪化には男性ホルモン(アンドロゲン)が関与しており、前立腺がん患者に行う「アンドロゲン遮断療法(ADT)」が感染予防や治療に役立つ可能性があるとしている。

前立腺がんは男性ホルモンで増殖するため、作用を薬で抑えるADTが行われる。
イタリア北部ベネト州の前立腺がん患者を調べたところ、ADTを行う患者は行っていない患者に比べ、新型コロナの感染率や重症化率が大幅に低かった。

ベネト州の前立腺がん患者について、ADTを行う5273人と行わない3万7161人を比較した調査では、新型コロナ感染者はそれぞれ4人と114人だった。このうち重症は1人と31人で、死者はなしと18人だった。

これは、男性ホルモンがウイルスの感染に重要な役割を果たす酵素にも働いているためと考えられる。この酵素「TMPRSS2」は、ウイルスが人の呼吸器系などの細胞表面に結合した後、細胞膜に侵入するのに利用されている。

研究チームは、新型コロナに感染した際、男性が女性より重症化しやすいのは男性ホルモンの作用が要因の可能性があると指摘。短期間のADTが予防や治療の手段になるとして、前立腺がんではない男性感染者を対象に臨床試験を行うよう提言した。

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