厚労省は2月9日、ファイザーのワクチンについて、1つの小瓶から6回分の接種ができることとなっていたが、国内の注射器では5回しかできないことを明らかにした。
日本で一般に使われている注射器は注射器の端に薬が残る構造になっている。残った分は捨てざるを得ず、1回で0.3ml 以上が必要となり、1瓶5回が正しい。
欧米ではその部分にゴムを詰め、薬が残らない Loaded 注射器が流通している。 日本でも一部使われているが、非常に少ない。
一般の注射器
Loaded type
2021/2/16 ファイザーワクチン「5回」問題
世界最大の注射器メーカー米国のBecton Dickinsonは、このような注射器は「ニッチな製品」であり、需要は「伝統的に最小限にとどまっている」ため、「このような製品の生産能力は限られており、生産能力を高めるには時間がかかる」としている。
この特殊注射器が韓国では中小企業の3社で大量につくられており、日本から約8000万個の購入要請があったと報じられている。Poonglim Pharmatechは、世界20カ国から2億6千万個以上の注射器購入の要請を受けたと伝えられた。日本から約8000万個の購入要請があったとされる。
韓国の文在寅大統領は2月18日、全羅北道のPoonglim Pharmatechを訪問し現場懇談会を開催した。
「我が国の中小企業、Poonglim Pharmatech、新亞洋行(Shina Corporation)、Doowon Meditecが誇らしい仕事をしている」とし「3社全てが、多くの国に『最小残留型注射器』を供給することにより、世界各国のコロナ克服に大きく貢献することになるだろう。本当に素晴らしいことだ」と述べた。
大統領の発言:
診断キットに続き、K-防疫の優秀性を示すことになった。 (文在寅政権は徹底的な検査や隔離によるコロナ対策を「K-防疫」として誇っている。) KoreaのK
一般的な注射器は、ワクチン1瓶で5人接種できるものに比べて、最小残留型注射器は、注射器に残るワクチン残量を最小限に抑えることで、6人の接種が可能 である。
注射器の効率を高度化し、ワクチンを20%節約することで、最終的にワクチン20%を生産するのと同じ効果を収めることになる。今、全世界的にコロナウイルスワクチンの供給が不足している状況であるため、ワクチン1瓶から、さらに1人分の接種を可能にできる最小残留型注射器に、世界の関心が集中しており、世界的製薬会社や医療先進国も確保に総力を注いでいる 。
新亞洋行は、国内初の最小残留型注射器を開発し、米国FDAの認証と欧州CE認証を取得した企業である。* 同社の能力は年産180-200百万本で、2020年に約14百万米ドルの輸出をした。
Poonglim Pharmatechは、国際ワクチン企業から世界最高水準の技術として認められており、昨日、米国FDA(食品医薬品局)の認証を受けることで、ファイザーなど複数の海外ワクチン会社に注射器を供給できるようになった。
*同社の製造能力は月産4百万本であったが、Samsung Electronics からの技術、資金支援と政府からの資金支援、規制面での協力を得て、昨年12月に月産10百万本にひきあげた。
3月には20百万本に増やす予定。Doowon Meditecも欧州や東南アジアからの大規模な供給要請を受けている。
*同社は昨年、40.3百万本を生産した。
Poonglim Pharmatechの最小残留型注射器は、性能と安全性の面で優れている。グローバル製薬会社のニーズ基準である25μL(マイクロリットル)よりもはるかに少ない4μL以下にワクチン残留量を減らした 。
Poonglim Pharmatechは、国民のために12万7千個の注射器を無償で提供する予定である。新亞洋行とDoowon Meditecが生産した注射器もこれに劣らない。政府は二つの業者の注射器4000万本を購入し、同様に国民のワクチン接種に使用する予定である。
Poonglim Pharmatechの革新性の背後には、大企業と中小企業、政府機関の相互協力があった 。サムスンは、最小残留型注射器の需要が増えることを予測し、Poonglim Pharmatechの技術力を認め、生産ラインの自動化と金型技術をサポートするなど、全面的な協力により、優れた製品の量産を導いた 。
サムスングループは、サムスン電子、サムスンバイオエピスなど系列会社を総動員し、ワクチン注射器の大量生産から米食品医薬品局(FDA)の承認まで支援し た。
政府も一つのチームだった。大中小共存型スマート工場支援事業に選定し、工場建設資金を支援し、製品の承認時間を短縮した。
韓国政府は2月15日、医療従事者などを対象に、AstraZenecaの新型コロナウイルスのワクチンの接種を2月26日に開始すると発表した。このワクチンは65歳以上の接種について有効性のデータが不足しているとの指摘があることから、当面、対象を65歳未満にして接種を行う。
大統領は韓国の国内用の注射器は確保したとしている。
日本から約8000万個の購入要請があったとされるが、日本による半導体材料の輸出規制や、元徴用工訴訟、元慰安婦訴訟など日韓関係が悪化する中で、どうなるだろうか。
韓国政府もSamsung Group も、この注射器の必要性、重要性を事前に理解し、準備した。ワクチン到着直前に初めて気が付いた日本政府、なんら事前準備をしていなかったニプロや日本の他の注射器メーカーとの違いは大きい。
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