Mercedes-Benz, 2030年までにEV専門メーカーに、Porscheは電池開発でBASFと提携

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Mercedes-Benzは7月22日、2030年までに電気自動車(EV)だけを生産する自動車メーカーになるための400億ユーロの計画を明らかにした。自らバッテリーを生産する。

概要は次の通り。

2022年までに全セグメントでバッテリー電気自動車を投入する。
2025年以降は、新しく出す自動車は全て電気自動車(electric-only)とする。

バッテリー電気自動車への投資は2022~2030年で400億ユーロ以上となる。

このため電地を含め垂直統合を行なう。
既に、英国ベースの電動モーター会社YASAを買収した。これにより、ユニークな 軸方向磁束(axial flux)モーター技術と、次世代の超高性能モーターを開発する力を手に入れた。

自社開発の「eATS 2.0」などの電気モーターは、インバーターとソフトウェアを含むシステム全体の効率と全体的なコストに明確に焦点を当てた戦略の重要な部分とする。世界最大の新エネルギー車(NEV)市場の中国は、Mercedes-Benzの電動化戦略を加速する上で、重要な役割を果たすことが見込まれる。

Mercedes-Benz は200ギガワットアワー超のバッテリー能力を必要とすることになる。
このため世界中のパートナーと共同で電池製造のための8工場を立ち上げる。これは既に計画している9工場に追加されるものである。
次世代バッテリーは極めて標準化され、Mercedes-Benzの車の90%以上に使われるが、一方で柔軟に顧客のニーズに対応できる。

バッテリーセルの製造に関しては、新しい欧州のパートナー(複数)と共同で、セル、モデュールを開発、製造する。欧州は今後も開発の中心となる。

次世代バッテリーの改良のため、シリコンバレーのバッテリー材料スタートアップ Sila Nanoと提携した。
Sila Nanoはアノードにシリコンとカーボンの複合物を使うことでエネルギー密度を高めるのをサポートする。これにより、航続距離を伸ばし、充電時間を短縮できる。

全固体電池テクノロジーにも注目しており、エネルギー密度が高く安全なバッテリーを開発するためにパートナーと協議中である。

世界中のパートナーと共同で電池製造のための8工場を立ち上げる。これは既に計画している9工場に追加されるものである。

既に稼働、計画している9工場は下記の通り。

① ドイツのドレスデン近郊のKamenz(2012年から生産)
② 第二工場 (2019年に稼働)

③④ Stuttgart近郊のMercedes-BenzのUntertürkheim工場で2つのバッテリー工場

⑤ 子会社 Daimler と中国の BAIC MotorsのJVのBeijing Benz Automotive Co.が北京の亦荘工業園区(Yizhuang Industrial Park)で。

⑥ 米国アラバマ州Tuscaloosaの既存のMercedes-Benz SUV工場の隣で。

⑦タイのパートナーThonburi Automotive Assembly Plant Coと共同でバンコックで。

⑧Stuttgart近郊のMercedes-BenzのSindelfingen自動車工場で。

⑨ポーランドのJaworのMercedes-Benzのエンジン工場(LG Chem のバッテリーセル工場の近く)で。

新設の8工場は、米国に1工場、欧州に4工場、中国に3工場とされる。

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PorcheはBASFと電気自動車用高性能リチウムイオン電池の開発で提携する。

Porsche AGは6月21日(BASFは7月21日)、リチウムイオンバッテリーメーカーのCustomcellsとの合弁事業を通じて高性能の電池を製造する工場をつくると発表した。

Porcheは5千万ユーロ以上(high double-digit million amount)を投じて Cellforce Group GmbHというCustomcellsとのJV (BASF 83.5%)を設立した。Weissach Development Centreで高機能電池セルを生産する。

ドイツ政府とバーデン・ヴェルテンベルク州から6000万ユーロの投資を受ける。

2024年に稼働を予定している電池生産工場は、初期に年間100MWh以上の生産能力を備え、1,000台のモータースポーツ車両および高性能車用電源を供給する。

BASFは高容量HEDTM NCM正極材を提供し、急速充電と高エネルギー密度を実現する高性能電池セルに貢献する。

BASFはフィンランドのHarjavaltaに前駆体生産工場と、ドイツのSchwarzheideに正極材生産工場を有している。

電池工場で製造時に排出される廃棄物は、SchwarzheideにあるBASFの電池リサイクルの試作工場で再生利用される予定で、リチウム、ニッケル、コバルト、マンガンは、湿式製錬プロセスでリサイクルされ、BASFの正極材の製造プロセスで再び使用される。

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このほか、自動車メーカーの電池進出が相次いでいる。

2021/7/7  英国日産、電気自動車と電池の増設プロジェクト発表

2021/7/16 VW、ドイツで中国大手とEV電池工場


韓国のHyundai Motor は7月29日、LG Chem Solusion との自動車用電池生産の50/50 JVをインドネシアに設立すると発表した。

11億ドルを投じ、Jakarta 近郊のKarawang Regency に10GW/hの工場を建設する。2023年に工場建設が完成し、翌年に電池の生産を開始する。

インドネシアはリチウム電池生産に必要なニッケルを産する。

 

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