来年2007年はプラスチックが初めて誕生してから100周年に当たる。
1907年、ベルギー系アメリカ人のベークランド博士がフェノール樹脂(商品名:ベークライト)を開発した。
(1909年という説もあるが、これはAmerican Chemical Societyで発表した年)
Dr. Leo Hendrik Baekeland (1863-1944) はベルギーのGhentで生まれ、1889年に米国籍を取った。
1893年、ニューヨークに Nepera Chemical Companyを設立、最初に画期的な印画紙 Veloxを開発し、1898年にEastman Kodak Companyに技術を売却した。
次いで、新しい電解槽の開発者のClinton P. Townsend に協力してパイロットプラントを建設、これがHooker Electrochemical Company(現在のオキシケムの一部)の元となった。
その後、セラックニス(shellac :ラックカイガラムシが分泌する樹脂をアルコールに溶かしたもので古くからインドや中国で木材の塗装に利用されてきた)の代替品つくりを目指し、その延長でフェノールとホルムアルデヒドからプラスチックの製造に成功、ベークライトと名付けた。
ベークラント博士は欧州と米国にベークライト製造の会社を設立している。
まず、1910年5月にドイツに Rutgers AG と合弁で Bakelite GmbH を設立した。
次いで同年10月に自ら米国New Jersey州に General Bakelite Company を設立した。
前者はその後、Rutgers AG の子会社となったが、2004年にBorden Chemical, Inc.が買収した。
そのBorden Chemical はApollo Management LP の子会社となっているが、2005年にResolution Performance Products LLC と合併し、Hexion Specialty Chemicals となっている。
後者のGeneral Bakelite Company はその後、Bakelite Company と改称したが、1939年にUnion Carbide and Carbon Corporation (後のUnion Carbide で、2001年にダウに吸収された)に売却された。
日本では早くも1911年にベークライトが試作されている。(日本初のプラスチック)
ベークランド博士の親友であった高峰譲吉博士が、特許権実施の承諾を受けたもので、三共商店(今の三共)の品川工場で製造された。
(そもそも、三共商店は高峰博士のタカヂアスターゼを技術導入して1899年に設立されたもので、1913年に三共株式会社となったが、初代社長に高峰博士が就任している)
1932年にベークライト部門が三共株式会社から独立し、日本ベークライト株式会社が設立された。その後1955年に住友化工材工業(1938年 ㈱合成樹脂工業所として設立)と合併、住友ベークライト株式会社になった。
因みに、日本で最初に社名に「プラスチック」という言葉を使ったのは「昭和プラスチック」といわれる。 (現在 インターネット検索で出てくる千葉の昭和プラスチックとは別)
1937(昭和12年)に筒中セルロイド(現在の筒中プラスチック)の加工部門が独立してできた。筒中プラスチックは現在、住友ベークライトの連結子会社となっている。
昭和プラスチックは世界各国に手を広げたが、1998年にアジアでの金融不安をきっかけに財務が悪化、1998年に会社更生法を申請した。
その後、キョウデンが事業を引き継いだが、2003年にユニゾン・キャピタルがそのグループ会社であるタクミック・エスピーを通じて事業を買収している。
Dr.Baekeland 関連情報
http://inventors.about.com/library/inventors/blbakerlite.htm
http://www.chemheritage.org/classroom/chemach/plastics/baekeland.html
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