2つのMerck社

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3月13日にドイツのSchering AG は Merck KGaA から買収提案があったことを発表している。

Merck KGaA はドイツの医薬品会社で、米国のMerck & Co., Inc. とは別会社である。
Merck KGaA の起源は1668年にフランクフルトの南のダルムシュタットでフリ-ドリッヒ・ヤコブ・メルクがエンゼル薬局を創業したことに始まり、現在では 28カ国、62地域に自社工場を展開するまでになっている。

1891年、メルク一族のジョ-ジ・メルクが米国に子会社 Merck & Co.を設立した。
この会社は第一次世界大戦で敵国企業の子会社として米国政府に接収され、1917年に独立した。接収後は両社は別会社である。

実はSchering AG も同様の経験をもっている。Schering AG はドイツの会社だが、米国に Schering-Plough がある。
1851年にErnst Scheringがベルリンで“Green Pharmacy”を開いたのが Schering AGの起源である。

1876年にニューヨークに最初の海外子会社としてSchering & Glatzが設立され、1928年に Schering Corporation となった。
第一次世界大戦で同社は米国政府に接収されて米国企業となり、1952年に上場会社となった。1971年にPlough, Inc.と合併し、現在のSchering-Plough となった。

Schering と Schering-Plough は共同でホームページを持ち、元は同じだが今は別会社と説明して、それぞれのページにリンクを張っている。http://www.schering.com/

ドイツの企業は第一次、第二次世界大戦で米国資産を米国政府に接収されている。

Rohm & Haas も同様である。1907年に2人のドイツ人、ケミストのRohmと実業家のHaasがドイツでRohm & Haasを設立して成功、1909年にHaasが米国に移住してフィラデルフィアに支店を設立した。第一次大戦で接収されるのを避けてHaasが本社と縁を切って米国企業のRohm & Haasとした。(Haasは戦後 Rohmにその持分の対価を払っている)

ドイツ本社はRohmと改称、1989年にHulsに買収された。Hulsは1899年にDegussaと合併してDegussa-Hulsとなり、2001年にSKW Trostbergと合併して現在はDegussaとなっている。

バイエルは第一次世界大戦時に所有財産及び所有権利をすべて押収され、競売にかけられ、スターリング プロダクツが買収した。1986年にバイエルは買い戻したが、それまでは米国では「バイエル アスピリン」はスターリングが販売していた。米国でアスピリンを買って、ラベルをみて驚いた経験がある。

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