麗川NCCは1999年に同じ麗川で隣り合わせのハンファと大林産業がナフサクラッカーを統合したもの。同時に、ハンファはPPとHDPEを、大林産業はLDPEとLLDPEを、相手に譲渡した。
a)ハンファ
韓国政府は麗川で湖南石化のほか、ダウの50/50JVのKorea Pacific ChemicalでLDPE、EDC、VCMを企業化したが、1984年に韓国火薬が韓国ダウの事業を含めてこれを買収し、韓洋化学とした。
それより遥か前、1972年に韓国政府は既存のPVCメーカー5社を統合し、韓国プラスチックとしていたが、1988年に韓洋化学はこれを吸収合併し、電解~PVCの一貫メーカーとなった。
1994年に名前をハンファ(韓国火薬の「韓火」から)とした。
麗川のほか、蔚山のSKコンプレックスにもプラントを持っている。
1992年、麗川にナフサクラッカーをスタートさせた。
b)大林産業
韓国政府は麗川に政府出資の韓国綜合化学を設立し、エチレンは同社100%の湖南エチレンで企業化したが、1979年に韓国政府は韓国綜合化学をロッテと大林産業に売却(その後大林は離脱)、湖南エチレンは大林産業に売却した。
大林産業は1987年に湖南エチレンを吸収合併した。
麗川NCCの現状は添付の通り。
錦湖P&B(フェノール)は当初錦湖グループとShellとのJV(Kumho Shell Chemical)であったが、現在は新日鐵化学が49%出資している。
ポリミレイ(PP)は大林産業がPP事業をバゼルとの50/50JVとしたもので、サンアロマーが 30%を出資している。
錦湖ポリケム(EPR)は錦湖石油化学とJSR(35%)、EXXON(15%)のJV。
三南石油化学(TPA)は三菱化学と三養社、GS Caltex (旧称 LG Caltex )の JV。
三南化成(PC)は三養社と三菱化学(25%)三菱エンジニアリングプラスチックス(25%) のJV。
錦湖三井化学(MDI)は三井化学と錦湖石油化学のJVである。
三菱化学はアルキルフェノールの製造販売の Schenectady Koreaに50% 出資している。
(元、Kumho P&B Chemicals の事業をSchenectadyが買収したもの)
なお、第一毛織 (Cheil Industries)は三星グループ。
6)現代石油化学(大山)
現代石油化学は1988年に現代グループが石化進出のために設立した。三星とともに、供給過剰時の新規参入で、業界や政府の反対を押し切り、中国向け輸出が中心としてエチレンコンプレックスを建設した。
1990年代末に韓国では財閥の弊害が問題となった。1998年に韓国・全国経済人連合会が主管して進めた五大財閥の構造調整案(Big deal)策定のなかで現代石油化学と三星総合化学の統合案が決まった。統合新会社に両社がそれぞれ出資し、残りを外国企業の出資を導入する予定であった。
参画外資として三井物産の可能性も報じられたが、2000年末には結局失敗に終わった。このなかで、2000年11月にLGがVCM、PVCプラントを買収した。
結局2003年1月に韓南石化とLGへの売却が決まった。
2004年11月に両社はLGが第1系列、韓南石化が第2系列を分割所有することが決まり、それぞれ、LG大山石油化学、ロッテ大山石油化学を設立した。
現状は添付の通り。
7)三星総合化学(大山)
2000年末に三星と現代の合併が失敗に終わったが、2002年12月に三星は、仏石油大手トタルフィナ・エルフの化学部門であるアトフィナから資本を受け入れる覚書を結んだと発表した。
2003年8月、50/50のJVのSamsung Atofinaが設立され、三星総合化学の資産が移管された。アトフィナは8億ドルを投入した。同社は現在、Samusung Total と改称している。
2005年10月、同社は「選択と集中」戦略に基づく600億円の拡張計画を発表した。2007年前半完成を目指し、以下の増設(PPはプラント新設)を行う。
エチレン | 63万トン | → | 83万トン |
プロピレン | 32万トン | → | 55万トン |
SM | 67万トン | → | 87万トン |
PP | 27万トン | → | 57万トン |
なお、三星石油化学、三星BP(いずれも蔚山)は三星とBPのJV。
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